ちょっとガッカリ…誰も言わない個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の弱点
Feb 28, 2017
人生はわくわくとドキドキで、できている! 不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
2017年1月から個人型確定拠出年金の加入対象が大幅に拡大され、愛称も「iDeCo(イデコ)」に決まり、注目を浴びています。
金融庁を始めとしFPや金融関係者も、ここぞとばかりにPR合戦の呈。
Webも充実してきました。
・個人型確定拠出年金ナビ
・国民年金基金連合会
わたしも、「専業主婦である女房向けにいいかも」と興味をそそられました。
ところが調べて、ちょっとガッカリ… 思わぬ弱点が…
今回は、誰も言わない個人型確定拠出年金の注意点をお話しいたします。
■個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは
個人型確定拠出年金は自営業、DC制度の未導入会社の社員に対しては、従来から存在してました。
ところが2017年1月から、公務員、主婦、企業型導入会社の社員まで加入者の範囲が拡大したことで、一気に注目されるようになったのです。
節税をしながら年金作りができるので、とてもありがたい制度。
今回新たに対象になった人たちの掛金の上限は
公務員 12,000円/月
会社員(企業年金無) 23,000円/月
専業主婦 23,000円/月
この個人型確定拠出年金に3つの大きなメリットがあるのはよく知られているところ。
1)掛け金の所得控除(節税メリット)
2)運用益非課税
3)受取時の優遇税制(年金控除or退職所得控除)
1)が個人型確定拠出年金の最大の特長です。
ん? これは所得税が安くなるってことだよなあ…生命保険控除や医療費控除と同じじゃん。
あれれ、女房は専業主婦だから控除しようにも所得がないからダメじゃん!
つまり専業主婦や所得税の課税限度内のパートタイマーは最大のメリット1)が活かせないのです。
残念!(無論、課税されているパートの方には有効です)
2)はNISAも同じ。
3)はありがたい制度ですが、制度趣旨としては当たり前でしょう。
主婦が60歳時にまとまって受け取ると、ご苦労さまという感じで嬉しいかも…
■誰も言わない個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の弱点
【弱点①】原則として60歳まで使えない
これは、あちこちで指摘されていますのでご承知と思います。
NISAと比較して、ここは大きな弱点。
趣旨が貯金ではなく、年金用なので仕方がありません。
注意したいのは、積立期間が長期にわたるため、停止処理や転職時がやっかいなこと。
特に、既に企業型の加入者は要注意です。
退職などで収入が下がった場合など、一時的に積み立てを止めることはできますが、その場合は運用指図者となり、残高が運用されるだけとなります。停止と復活が面倒。
企業型の対象者がDCの無い会社に転職した場合、個人型に移すことができますが、申請を怠ると自動移管といい、ただの預り金になります。この場合は運用もされず、もったいないことになります。
【弱点②】費用が高い
実はほとんどここが指摘されていません。
必要経費は色んな所で開示されていますが、記載のみで詳しい解説はありません。大人の事情でしょうか?
少し見てみましょう。
「加入時の手数料」
多くの金融機関が2777円です。若干、違う金融機関もあるようです。
これは初回きりなので大きな問題ではありません。
問題は毎月の維持費です
「口座管理費」
毎月の費用は各関係機関の手数料として次の4種類です。
1.国民年金基金連合会 103円
2.事務委託先金融機関(信託銀行) 64円
3.信託報酬 商品により異なる
4.金融機関管理費(販売元) 各行にて異なる(500円~が多い)
1.2.は各行共通で、最低でも103+64=167円掛かることになります。
小さな金額のようですが、なにしろ掛け金に上限があります。
上限額の23000円の場合で0.7%のウェイトです(167÷23000) 15000円の積み立てなら1.1%になります。
3.信託報酬は商品によって異なりますが、概ね0.5%程度
つまり1.+2.+3.で 最低コストが 1.2%~となります。
この低金利時代に1.2%の維持コストは高すぎます!
2~3%の運用益しか見込めないかもしれない時代………
最後に、4.金融機関管理費(販売元)ですが、
2017/02現在、手数料を0円にしている金融機関は数社しかなく、ほどんどの金融機関が500円~の手数料です。
2%を超える手数料を更に払うわけです。合計で3.2%のコスト!これはいけません。
直接、自分でインデックスを積み立てれば1.2.4は不要で、3.の0.5%のコストだけでいいのです!
どんな節税メリットが有っても、運用益が見込めないコスト構造では意味がありません。
本当に普及を考えるなら、国基連部分を半額にするなど思い切ってほしいもの。
まだまだスタートしたばかりとはいえ、これでは加入者がかわいそう。
救いはコストが絶対金額のため、数年たてば運用額に対するウェイトが下がって比率が3.2%からどんどん小さくなること。*
うーーん、専業主婦の女房用にはイデコの活用は諦めて、2017年の税制改正で予定されている積立NISAに期待しましょうかね。
(DC制度の未導入会社の社員の方には、魅力はありますのでご活用くださいね *)
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
(*当初。ちょっと弱点を強調し過ぎたので2018/01/24に加筆しています)