不動産投資、ローンは甘いか酸っぱいか? 不動産投資の誰も言わない真実(5)

Mar 31, 2019

人生はわくわくとドキドキで、できている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

「誤解と錯覚」に満ちた不動産投資のホントを語る「不動産投資の誰も言わない真実シリーズ」第五回。引き続き30代のバリキャリ女子Yさんとの質疑です。

■不動産投資の醍醐味はローンにあり?

Yさん:
前回のお話で、わたしでもできそうとちょっぴり安心しました。」
「と言っても大きなローンは怖いので、現金買いでいける築古戸建てにチャレンジしようかなあと…。」

築古戸建てですか、良いですね。
金額が取っ付きやすいのか、女性にとっても人気なんですよ。

ただローンについて補足しておくと、借金が怖いと無闇に避けるのも勿体ないですね。
友人で「大きなローンは怖いんですよ。頑張って3000~5000千万までならなんとかいけそうな気がします。」と言ってた方がいます。

多くの人が、そんな感覚のようです。車のローンが数百万円、住宅ローンで数千万円。金額の尺度がどうしてもその位になっちゃいますよね。

でも、その友人はどうなったと思います?
3年後にはローン残高5億円越えでにっこりしてます! (笑)

それに5000万までが買いやすいと考える人が多く、その価格帯の物件は競合も激しいんです。買いにくいんですよね。

高属性のサラリーマンの知人で数千万円の価格帯をわざと避け、億越えの物件に注力して成功した人もいます。

借金が怖いのは当然ですが、良い借金というのもあります。要は借金に負けない資金計画と事業計画があればいいんです。

わたしが億単位の借金があるという話をした時に、
サラリーマン時代の後輩は「大丈夫ですか?」と心配顔でした。
ところが年配の苦労人の方は「そりゃ大したもんだ!」と褒めてくれました。
借金も甲斐性のうちってことなんでしょうね。

ローンを使いなさいとまでは言いませんが、不動産投資のローンの効果についてご説明しておきます。

ローンのレバレッジ

図は自己資金(自己資本)3000万円の人が10年間の不動産投資で得られるリターンを、ローンの有無でモデル化したものです。どちらも表面利回りは10%。単純化するため経費等は省き、価格下落も無しにしています。

上段がローン無し(現金購入)の場合。
下段がローンを使った場合です。

細かな前提条件や計算は「説明」を参照してくださいね。

ローン無しでは自己資本3000万円が10年後に2倍になります。これでも、じゅうぶん立派なリターンです。

ところが、ローンを活用した場合は5年後に約4倍になり、その資本を全額投下するとさらに5年後に約4倍です。
10年間では4×4=16 10年後に16倍になるんです!

つまり、ローンの活用の有無で理論上は8倍もの差が付く可能性があるということなんです。

これだけ大きな差が付く要因を、ローンの2つのレバレッジ効果と呼んでます。

①資金拡大効果
これはローンを組むことで、自己資金以上の物件を購入できることの効果です。
例では手持ち資金の10倍の物件を購入しています。

ローン返済が発生しますので、CFはそのまま10倍とはいきませんが、それでも現金購入の2~3倍のCFが見込めます。

この効果は物件金額と収入が大きくなるので分かり易いと思います。

②元本返済効果
もう一つ、こちらが見落としがちなんですが、ローンの元本返済が実物資産として目に見えない貯金になる効果です。

物件金額の90%でローンを組むと所有権は最初10%しかありませんが、元本返済が進むとその分所有権割合が積み上がっていきます。
最初は物件の1割しか自己所有が無くても、半分返済すれば半分自分のものという事ですね。

返済している間はこの価値は目に見えませんが、売却した場合、その分が持ち分の売却益となって実現利益になる分けです。

Yさん:
「なるほど、元本分の不動産を毎年貯金しているイメージなんですね。」

その通りです。考え方を変えれば 借金は貯金だ! です。借金イコール悪ではありません。
不動産投資の醍醐味はローンレバレッジにあると言ってもいいと思います。

これはベテラン投資家や実業家の方には賛同してもらえるんですが、経験がないと分かってもらえません…。

投資ではOPM(Other People's Money)という言葉があります。自己資金を使わず、資金調達をしてリターンを上げる方が効率がいいという事。

Yさん:
「ローンがそんなに有利なんですか。でも、その分のリスクはありますよね? それに不動産は保有してると、価値が下落するんじゃないですか?」

勿論です。ただローンをすればいいというわけではありません。
投資構造を理解していないまま、自己資金が少なくローンで買えたと喜ぶのは失敗の元です。

せっかくなので次回、ローンのリスクについてもう少しお話しましょう。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回はローンリスクについてです。

--「図の説明」--------------------

【上段】ローン無し
利回り10%の物件を3000万円で購入
10年後の売却可能額(資産価値)が購入時と変わらず3000万円と仮定

年間家賃収入は300万円(3000万×10%)
経費を無視してそのまま利益だと仮定
10年間の収益=300×10=3000万円

10年後の資産価値は3000万円
10年間の総取得資産は3000+3000=6000万円

【下段】ローン有り
自己資金3000万円を10%頭金にして、3億円の物件を購入
20年ローン、金利1.5%、ローン額2.7億円

年間家賃収入は3000万円(3億×10%)
ローン返済があるためCF率2%として年間収益は600万円
5年の収益=600×5=3000万円

5年後の売却額を購入時と変わらず3億円と仮定
残債は2億250万なので売却益は9750万円(3.0-2.025億)

5年間の総取得資産は3000+9750=1億2750万円
5年間で4.25倍(1億2750万÷3000万)
10年後では 約4倍×約4倍=16倍

投資はリスクとリターン、そしてワークで考える 不動産投資の誰も言わない真実(4)

Mar 25, 2019

人生はわくわくとドキドキで、できている! 個人投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

「誤解と錯覚」に満ちた不動産投資のホントを語る「不動産投資の誰も言わない真実シリーズ」第四回です。今回は新しい質問者から。

質問者Yさん:仕事を楽しみながらも資産形成もしたい30代女性

■投資のリスクとリターン、そしてワーク

Yさん:
「将来を見据えた資産形成を考えていて、投資に興味を持ったんですが…。」
「株式投資だと価格の上下が激しそうで、安定的な家賃収入が入る不動産投資がいいかなあと。向き不向きとかありますか?」

将来に備えて投資に興味を持ったわけですね。大切なことだと思います。定期預金に預けっぱなしではなく、ぜひお金にも働いてもらいましょう!

向き不向きをお話しする前に、投資手段の違いについて少し説明します。

投資にはリスクとリターンがあるのはご存知ですよね?
実はもう一つ、ワーク(作業)という観点も重要だと考えてます。

リターンを得るためにはそれなりのリスクを取る必要がありますが、その上で地道なワーク(作業)も必要なんです。投資と言っても、決して楽して濡れ手に粟、一攫千金というわけではありません。

投資のリスク・リターンとワーク
図を見てください。投資手法のリターン・リスク・ワークの大小をわたしなりにまとめたものです。

○×は優劣ではなく、程度の大小を表してます。×だから駄目という意味ではなく、程度が大きいので要注意ということです。例えば不動産の1棟物ローンレバレッジという手法はリターンも大きいですが、リスクも大きくなります。

ワークというのは、実行するのに伴うワーク(作業)量です。
不動産投資は賃貸業ですから、多くのフィールドワークが必要となります。

・物件の現地調査
・仲介会社とのパイプ作り
・金融機関との融資交渉
・管理会社との打ち合わせ
・リフォーム業者への手配
などですね。

Yさん:
「結構、大変そうですね…。」

賃貸業というビジネスですから、外に出ていく行動力とコミュニケーション力は必須なんです。サラリーマンでも十分できますが、土日を費やす覚悟はしてください。

管理を全てお任せでフィールドワークがほとんど不要の手法もありますが、その場合リターンは少なく、資産形成には向かないので注意が必要です。高額区分マンションの欄を見てください。

一方、株式投資ではデスクワークが中心となります。
業界や企業に関する情報収集と分析ですね。想定株価の計算も必要です。

面倒な交渉事はありませんが、四季報のチェックや株価トレンドの分析など意外に時間はかかるものです。
朝30分の株価チェックだけで出来るなんていう話もありますが、それはベテランになって自分のスタイルを確立した人の話。

もう一つ、株式では感情コントロールも重要です。
株価が毎日変動するので、下がった時の心理的な圧迫は大変なもの。
適切なタイミングでロスカットできるか、冷静な判断が求められます。

Yさん:
「そうなんですよね~。下がっちゃうとドキドキして、冷静なロスカットなんてできそうもないです。」

どちらのワークが自分にできるかが、向き不向きと言ってもいいでしょう。自分の行動が利回りに結び付く不動産投資か、色んな会社を観察する株式投資か。

いずれにせよ短期間での資産形成を狙う場合は、大きなリスクと同時に大きなワークも要求されるということです。どんな投資も「面白がれるか?」が大事です。面白くないとワークにも身が入らないですし、継続もできませんから。

投資で上手くいってない人と話すと、驚くほどきちんと勉強してません。ワークが足りないんです。断片的な知識で手を出して失敗し、もう懲りたとやらなくなる訳です。

実は不動産投資も株式投資もきちんと勉強し実践さえすれば、誰でも10%程度のリターンは得られる可能性があるんです。まあ、簡単ではないですけどね。

仲介会社や金融機関の言葉を鵜呑みにするんではなく、自分なりに情報収集してちゃんと学んでほしいんです。

株式にしろ不動産にしろ、どんな投資でもリスクはあります。
ビジネスだってリスクのないビジネスはありませんよね? リスクを取って工夫して努力するからリターンがあるんです。

リスクは避けるものではなくマネジメントするもの! です。

Yさんも、まずは色々勉強してみて面白そうと思う分野を深掘りしましょう。
分からないことはどんどん聞いていいですよ。

■女性のメリット、デメリット

Yさん:
「不動産投資では色んな会社との折衝が必要なんですね。ちょっと敷居が高そうな気もしますが、女性でもできますか?」

株式投資も不動産投資も随分と女性が増えています。
株式投資関係のスクールでは女性が過半数のところが多く、時には7割以上が女性であることも珍しくないんですよ。不動産投資では以前は女性が少なかったんですが、築古戸建て投資法などが知られるようになり比率は増えてます。

不動産投資サークル「ふどうさんぽ」では男女比が6:4くらいですかね。中にはベビーカーを押しながら、物件巡りをしてる方もいらっしゃいます。

女性の方に不動産投資の魅力を聞くと、
・実物資産であること
・リフォームのデザインや家具選びが楽しい
・価格変動が少なく安心(心理的負担が軽い)
・自分が行動した分が利回りにつながる
といったことを話されます。

女性ということで、物件探しで仲介会社から軽くあしらわれたというような体験談もありますが、逆に珍しがられて価格交渉が有利になったという話もありました。一長一短ですね。

中には、活発な奥さまが外で物件探し、数字に強いご主人が収支計算、とそれぞれ分担されてる例もありました。ご夫婦で取り組まれるなんて素敵ですよね。

『金持ち父さん 貧乏父さん』で有名なロバートキヨサキさんの言葉で、
投資にいい悪いがあるのではない、良い投資家と悪い投資家がいるだけだ。」
という言葉があります。女性でも良い投資家になれますよ。

頑張ってチャレンジしてください。応援してます。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回も引き続きYさんからの質問です。

管理人プロフィール

やんつ写真

やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
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