2億円の借金でどん底の男と、2億円の借金でにんまりする男。
こんにちは、人生は50代からがもっと楽しい!不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
親父の夜逃げシリーズ(6)です。
1983年、父は2億の借金で逃げ回ってどん底でした。
わたしは今、2億の借金でにんまりです。もっともっと借金したいくらい。
この違いは何でしょうか?
不動産事業の失敗や放蕩がたたり借金が膨らみ返せなくなった父ですが、そもそも貸す側は回収の見込みがあるから貸すわけです。
どうして金融機関から1.8億もの借金ができたんでしょう?
■犯人は土地神話?
銀行が融資審査でみるのは資産背景と属性評価、そして人物です。
これは今も昔も変わりませんし、不動産投資の場合でも同じです。
この総体が「信用」と呼ばれます。
山本家は父で6代目となる文化文政時代から続く由緒正しき(?)水呑百姓。
当時の資産は約3.0Ha(3万㎡)の田と約600坪の異様に広い実家と空き地が少々(竹やぶ)。
これらは全てが都市計画法でいう市街化調整区域にあります。
今では資産として評価はされませんが、当時は高く評価されたため土地を担保にすれば簡単にお金は借りられたのです。
日本の都市計画法では住宅化を推進する市街化区域と、住宅化を抑制する市街化調整区、そのいずれでもない地域に分けられます。
市街化区域には正しく街づくりを促進するための用途地域が定められます。
住居系地域、商業系地域、工業系地域に分類され、
当時は 8区分、今はもう少し細分化されて12区分になっています
用途地域に合わせて建ぺい率、容積率などが建築基準法に定められており、
これは不動産投資のイロハでもあります。
一方、市街化調整区域は住宅化を抑制する地域のため、そもそも建物を建てることが困難です。
農作業場や農家の自宅以外の建設は厳しく制限されています。
(都市計画法で建築可能なものとして、農家等の分家住宅,集会所,既存建築物の建替,大規模流通業務施設,老人保健施設,有料老人ホーム等、とあります。)
土地売買についても農業委員会の許可が必要です。
建物無しでは、田んぼそのものの収益力はとても小さく、
約3.0Haを額に汗して耕しての総売上が年間400万円程度。(1983年米価当時)
そのため、今では市街化調整区域の土地は経済的評価が低く、ほとんど担保に取ってはくれません。
ただ、それは現代の話。1970年代は土地神話の時代でした。
不動産価格はずーっと右肩上がりで「歴史上下がったことはない」と言われていました。
売買すら簡単ではない市街化調整区域ですが、当時は都市計画による開発が色んな地方で盛んにおこなわれていました。
ある日、それまで田で価値の低かった土地が市街化区域に変更され、
一夜にして経済的評価が10倍に大化けする。
そんなことが全国で起きていました。
田舎の農家が、ある日突然田んぼが住宅になり、お金持ちになる。
土地成金があっちでもこっちでも。
昨今の中国の土地バブルと民主導と官主導の違いはあるが構造は同じ。
歴史は繰り返しますね。
なので銀行は将来の市街化を期待して、
「山本さん、土地を担保にさえ入れていただければ
いくらでもどうぞ、どうぞ」 てな感じです。
成金になってからなら、まだしも
売れるかもしれない将来の価値を当て込んでの借金でした。
なので、破綻すると大変。
売るにも売れない資産(?)しかないのですから。
■良い借金と悪い借金
お金に色は付いてません。
借金自体が悪いわけでもありません。
借金にも良い借金と悪い借金があります。
調達した資金の使い道で良くも悪くもなります。
良い借金⇒投資の資金。CFを生む借金。
悪い借金⇒消費に使うお金。浪費。
父は丸顔で背が低く好々爺とた風貌。とても社交的で人当たりは良い人でした。
ただちょっと女性にだらしなく計算が出来なかっただけ・・・
父は借金の種類をどこまで理解していたんでしょうか?
土地を担保に簡単に借りられた分、無駄使いや浪費が多かったような気がします。
返済に着手して驚いたのは収入源が全く無かったこと。
資産らしきものがほとんど無く、ゴルフ場の会員権が3つばかり。
(逃げ出す前に処分していたのかもしれませんが、投資の結果としての資産がもう少しあってもよかったはず)
儲け話を持ち込まれては手を出して、すってんてんになったんでしょうか?
■不動産投資と融資
少し話がそれますが、不動産投資では借金は実は貯金と同じです!
わたしは融資を受けて購入した不動産でキャッシュフローを生み出しています。
自己資金だけではなく、借金することでレバレッジを利かせます。
借金すると返済が始まりますが、元本返済するということはその元本分の物件の所有権を少しずつ手に入れているということ。
20年ローンで返済していくと、年に1/20ずつ実物貯金しているということになります。
20年後に不動産が丸々自分の所有になります。
これが 借金=貯金 の理屈です。
日本では借金は悪いものという先入観、価値観があり、これがメンタルブロックとして我々を邪魔します。
投資の場合でもここがハードルになる人も多いです。
個人個人の金額認識のキャパシティも関係します。
数百万円 ⇒高額ですが、何とか判子をつける金額。
マイカーが、100万円から数百万円。大きな買い物ですが無くはない。
数千万円 ⇒サラリーマンが清水の舞台から飛び降りる一生に一度の金額です。
マイホームが3000~4000万円。一生に一度、あるかないか。
億単位 ⇒普通の生活ではお目にかかることはない金額。
この金額認識のためでしょうか、不動産投資でも5000万円程度の借金がひとつの壁になるようです。
借金=貯金 なら金額が大きいほどお得なはず、ですが・・・
未知なる金額が心理的な壁になります。
投資サークル仲間でも1億、2億の借金と聞くと、
「いやぁ、わたしには出来そうもありません」とか、
「借金せずに堅実にやりたいです」という人は多い。
はてさて、あなたの上限額はいくらでしょう?
ところが融資を受けて不動産を購入し、額が億を超えるとメンタルブロックが外れます。
(無論、大家業がうまくいってる前提ですが)
ここでOPM(other peoples money)を実感します。
投資では、他人のお金をいかに上手く効率的に使うか、とよく言われます。
これが資金調達というノウハウ。
ここを乗り越えると投資家としての次なるステージでしょう。
借金そのものが悪なのではなく、借金に振り回されることが悪。
親父は振り回されてしまったという訳。残念です。
借金の背景も分かったところで、いよいよ返済計画の検討と着手です。
その話は次回に。(続く)
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
個人的な話ですが、読んでもらえると嬉しいです。