地主のみなさん、相続税対策にアパートを建てればいいと思っていませんか? (4)

2015-03-30 23:34:45.0

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回は地主のみなさんに、アパート建築の「一括借上げ」の注意点です。

前回、ハウスメーカーさんの提案で、
「30年一括借り上げですから空室の心配はありませんから・・・」
この言葉にも罠がありますとお話しました。
(ハウスメーカーさん、ごめんなさい)

どんな罠だと思いますか?

一括借上とはサブリース方式とも呼ばれ、ハウスメーカーさんが
土地・建物を一括で借り上げ、運営を全て引き受ける賃貸システムです。
空室の発生にかかわらず、一定額の家賃(満室の80~95%程度)を保証します。
(空室保証)

オーナー側から見ると、この空室増加時代に
・家賃の保証がある (一般的には30年契約。毎月一定額が入金される)
・入居者募集や管理の手間が省ける
ことはとてもありがたいです。

空室の発生に悩む心配なし!
滞納でイライラすることもなし!
入居者対応で急に呼び出されることもなし!

良いこと尽くめです。

実はわたしの1棟目のアパートがこの方式です。
当時、まだ不動産投資の知識も無い時にこの提案を受け、
こりゃいいや! と思った訳です。

しかも、融資可能な銀行の紹介付き!
すぐに飛びついちゃいました・・・

その後に不動産投資を本格的に勉強し、
デメリット(注意点)もあることが分かりました・・・(^_^;)

注意点としては

■ 家賃設定が甘め
新築を活かして少し強気に行けるはずですが、多くは抑え目の家賃設定になっています。

結果として査定家賃がやや低めとなり、
大家側の収入が少なくなってしまいます。

最初から容易に満室になるような設定にしているのかもしれません。
空室保証を付ける分、将来的なリスクは押さえたいという思惑もありそうです・・・

■ 査定家賃の更新がある
これが最大の注意点です!
一括借上げ図
実は30年一括借り上げといっても、30年間同じ賃料水準を保証しているわけではありません!
契約にもよりますが3~5年で更新していくのが一般的です。

更新のたびに家賃査定され、当然どんどん下がっていきます。
(わたしの時は10年固定の5年更新でしたが、条件はどんどん悪くなって最近は2年更新が増えているようです)

あなたは自分の固定期間と更新サイクルを知ってますか?

ほとんどの大家さんは更新を意識してません。

いざ更新となって予想以上に下がってビックリ!
ローン返済額を下回ったら大変です!
赤字経営で持ち出しという羽目になりかねません。

実際にアパート経営してみると分かりますが、
新築からほぼ10年は修繕も発生せず、入居付けにもあまり苦労はしません。
空室リスクにさらされるのは築後10年目以降です。

つまり築後10年までは、空室保証する側にはそんなにリスクが無いんです。
そして本当に空室保証して欲しい10年目以降は設定家賃を下げられてしまうんです!
しかも高い建築費で元は取られている・・・

原状回復費、修繕費の分担範囲も要チェックです。
会社によって大家負担が発生する場合もあります。

家賃設定、更新、この2つがデメリットです。

まぁ、手間要らずというメリットも大きいので
「一括借上げ」が何が何でもダメという訳ではありません。
(わたしは2度とやりませんけどね・・・)

メリットとデメリットの両方を知ったうえで、自分に合った戦略を取るのが大事です。

なにしろデメリットは不動産会社は教えてはくれませんから・・・

次回は相続税対策のアパート建築のまとめ
「不動産投資のやってはいけない」です。

地主のみなさん、相続税対策にアパートを建てればいいと思っていませんか? (3)

2015-03-27 23:31:43.0

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回はNさんの物件シュミレーションに戻ります。

埼玉のNさんの不動産活用のお話の続きです。
おばあちゃんの土地活用は大丈夫なんでしょうか?
上尾中川邸_試算2
相続税対策としての評価額の圧縮については
(1)、 ⇒(2)
を見ていただくとして、今回は不動産投資目線での評価となります。

数字を見てみましょう。
表面利回り=6.6%
税前利益 =537千円
利益率  =7.6%

利回りがやや低いですが
年間CF =1,687千円
投下資本に対するCF率 =1.6%
  (537÷108000)
という数字は格別悪いものではありません。

収入見込みに対するローンの返済額の比率(返済比率)も50%程度のようで、かなり安全な数字です。

わたしの不動産投資の基準は
・返済比率 =55%以下
・CF率  =2.0%  です。

比較するとCF率が少し悪いですが、わたしの2.0%は少し欲張った数字で
1.0%~1.5%の物件も少ないことを考えると、我慢できるレベルです。

わたし達のようなサラリーマン投資家とは違い、
なにしろ地主さんの不動産投資です。

安全性は問題なし!
ローン設定も属性に依存せず容易!
さすがは地主さん!
羨ましい・・・・・

ん?

ホント?

何も問題はないの??

ちょっと待ったーーーーーーーーーーー!!

わたしの不動産投資基準は、土地、建物を含めた基準です!

あれっ!?
ということは土地がある分、本来は利回りがもっともっと高くなるはず!
キャッシュももっと残っていいはず!??

なぜでしょう?

土地があるのに、
土地込みで探すのとなんら変わらない利回りになるのは何故なんでしょう?

ここにはいくつかの要因があります。

① 高額な建築コスト
中古物件の利回り目標が8~10%であることを考えると、
土地がある場合は最低でも13~15%の利回りは欲しいところです。

ところが、(2) でご説明したように
新築の場合は購入価格に建築業者の利益が30%乗っています。

更に、ハウスメーカーの建築プランが
実需並みの豪華な建物、設備であることも多いです。

「賃貸経営を考えると、今時はこれ位の設備にしておかないと後が大変ですよ~」
と言って出てくる高い見積り・・・。

30年一括借り上げですから空室の心配はありませんよ~」
この言葉が決め手です。(ここにも実は罠があります)

ここには、業者が建築時に高い売値で利益を確保してしまうという業界構造があります。

ハウスメーカーの建築プランはパターン化されていますので、
部材等も共通化されており本来は原価的にはかなりコストダウン出来ているはずですが・・・

高いデザイン性と一括借り上げというユーザーメリットで、
建築コストの高さをカバーするビジネスモデルです。

無論、手間隙が掛からないと言う大きなメリットはありますが、
高額な建築費であることもまた理解しておきたいところです。

② 家賃設定とのコストバランス
もう一つ、家賃設定とのバランスにも問題があります。

不動産投資は対面積比で考えると、
一戸当たりの居住面積が大きくなるほど利回りが下がるという特徴があります。
(家賃を面積比に合わせたほど高く設定できないため)

独身用1ルームに比べて、ファミリー向けは約2~3倍の面積ですが、家賃は1.5倍程度です。

ハウスメーカーさんの提案は設備を豪華にし易いファミリー向けであることが多いですw
無論、ファミリー向けの方が経営の安定性が高いという意味のメリットはありますが・・・

他の要素としてロケーションの問題もあります。

Nさんの物件は駅から徒歩20分の距離にあるようです。
徒歩15分を越すと競合力が落ちてきますので、
新築といえどあまり強気の家賃設定が出来ません。

調べてみると、やはり徒歩10分圏内の物件が多く
徒歩20分圏で魅力を維持するのはかなり大変というのが予想できました。

今回のプランでも新築の割にはやや弱気の家賃設定でした。
(㎡単価1,150というのは関東ではかなり安い地区です)

こうして、家賃から見ると過剰な投下費用という図式になっていきます。

③ 運営経費
今回は情報が少なく、詳細な分析はできませんでしたが
税前利益 =537千円 は、やはり少ないという印象です。

その原因として
売上に対し、経費予想が過大である可能性も有りそうです。

新築の場合、修繕はまず発生しませんので10年間は修繕積立は少なくて済みます。
もし修繕経費が当初から大きな設定なら、交渉の余地はあるはずです。

あるいは、オプション契約経費が色々含まれているのかもしれません。
なんとか工夫して利益を出したいところです。

最終的にアドバイスとしては

・あまり設備に過剰に費用を掛けないように。
できれば建築コストの見直し交渉。

・経費削減を検討し、利益率の改善を目指す。
ことを、一括借り上げの注意点とともにご説明いたしました。

Nさんからは
「ハウスメーカーの提案のチェックポイントが分かり、交渉しやすくなりました」
という言葉をいただきました。 m(__)m

次回は、その一括借り上げの注意点についてです。
(今回は投資家目線の評価ですが、ハウスメーカーさんの提案にもメリットはあります。
要はメリット、デメリットを正しく把握しましょうということです!)

地主のみなさん、相続税対策にアパートを建てればいいと思っていませんか? (2)

2015-03-19 12:40:37.0

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回は不動産活用のお話の続きです。 ⇒前回

前回は、アパート建設は評価額が圧縮できて、と~ってもお得!
というお話でしたが・・・

う~ん、計算式だらけで、ちっとも分からん!
てな声が聞こえそう・・・ m(__)m

まぁ結局、6,600万円の土地がなんと評価額マイナス680万円の新築アパートになりました!
というお話なんですが・・・

式として整理すると、アパートの最終評価額は

「土地」 + 「建物」 なので、建物をローンで建てると
「土地」相続税評価額 + 「建物」固定資産評価額-ローン残高になります。

では
「土地」だけの価格よりアパートを建てると評価額が下がる、
その秘密は何なんでしょう??

■一つは貸家に関する様々な法的な減額処置です。
昔は収益還元という考え方が無かったので、積算評価主体でした。
収益力より資産価値重視ということです。
処分がし難いというマイナス面のみが考慮されたせいだと思われます。

また、当時は住宅の供給不足でどんどんアパートを建てて欲しいという政府の思惑もあったかもしれません。
建築業界の強~い要望もありそうです。

■もう一つは実体価値とローンとの差額による歪みです。
ローン額、つまり建築費用より評価額が低いことによる差額の発生です。
新築物件でも購入した瞬間から中古になり、
建物は築浅中古としての市場評価になります。

一般的に新築物件は購入後、市場価格が20~30%程度下落する、と言われています。
購入時は建築業者の利益分が実体価値に上乗せされている、
と考えてもいいかもしれません。
多少高くても、新築にはそれだけの魅力があるということですが・・・

以前、
 ⇒急いてはことを仕損じる!? 投資の前に自分B/Sを作ろう!
で自宅マンション購入時の価値概念図を掲載しました。

基本概念は同じです。
木造アパートを図式化するとこうなります。(土地有りの場合)
アパート建物価値減価概念図
新築の場合、多くは30年ローンです。一方、原価償却は22年!
購入時に価値が30%下がり、更に22年かけて減価されていく・・・

償却期間よりローン期間が長いので、何時までたっても債務超過です!
23年目以降は価値は無くなるが借金返済だけは残る・・・ なんという理不尽!
(実際の固定資産税の評価では経年減点補正率というものを使いますので、この通りではありませんが、考え方は上記です)

最近の木造はしっかりしていますので30年でローン設定するのも理解できますが、
それなら減価償却期間も見直して欲しいものです・・・

さて、ではここに潜むリスクは何でしょう?

この評価額がもし市場価格に連動しているとすると、
売却時にはローン残高の方が大きいので、赤字になってしまいます!
つまり、売却時の損失リスクが潜んでいるわけです。

「バブルの時にロ-ンを組んで自宅を購入。
年齢とともに家庭事情が変わり、売りに出したもののローン残高より安くしか売れず、
売却損が出てしまった・・・」

こんな話を聞いたことはありませんか?

気を付けるべきポイントは何でしょうか?

実際には市場価格は評価額とイコールではありません。
市場価格の推移や見通しに注意を払う必要があります。

と言っても将来の市場価格は分かりません。
では、どうやって推測するのか??

売却時は収益還元法を参考に、売り出し価格を検討しますので
どの位の収入があるか?がベースになります。

ネットで近隣の同じような間取りの築10年物や築20年物の、
家賃相場を調べてください。


設定した新築向け家賃と近隣の築古物件家賃を比較することで
あなたのアパートが築10年、20年たった時の下落率を推測するわけです。

その上で、長期的収支シュミレーションをし、
将来売却可能額を推定しておきます。

もう一つ・・・
残債で売った場合の物件利回り(残債利回りといいます)は何%ですか?
市況としてのキャップレートと比較してください。
(キャップレートとは還元利回り、収益還元率、期待利回りなどのことです)

残債利回り>キャップレート  なら
売却時に少なくとも借金は残らないということです。

何時この状態になるのか長期的収支シュミレーションで確認しましょう。
5年後? 10年後?  早いほうが安全度が高いです。

この2つは
相続税対策にアパートを建てる前に確認するようにしてください。

1)家賃収入と売却可能額の長期予想を立てる
2)返済期間における残債利回りを意識する


これで
失敗する危険性はグッと減るはず・・・
アパ-ト建設を検討する人は覚えてくださいね。

次回はNさんの物件シュミレーションに戻ります。

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やんつ(山本 常勝)

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