不動産投資(賃貸業)をやるなら、知っておきたい損益構造

2017-10-31 22:34:51.336

人生はわくわくとドキドキで、できている! 個人投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

このところセミナーで「不動産投資の損益構造」について話すことが続きました。
不動産投資(賃貸業)をやるならぜひ知っておいて欲しいことです。

■ふどうさんぽ 200回記念「贅沢セミナー祭り」(2017/09/09)

人生を豊かにするための交流サークル『ふどうさんぽ』でのセミナー企画です。
200回記念ということで、丸1日ぶっ通しで様々なテーマのセミナーを開催。

これから不動産投資を始めようとしている初心者の方にも…
どんどん規模を拡大させたい方にも…
不動産投資でリタイヤを目指す方にも…
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、19ものセミナーをご用意。

[初級編] ………購入までの基礎知識
[中級編] ………購入後の運営ノウハウ
[上級編] ………事業拡大のヒント

9:30~20:00という長丁場でしたが、なんと214名の参加!
ふどうさんぽ史上、最大の参加人数の回となりました。

途中参加もOK、途中退室もOK、興味のあるテーマを自由にお聞きくださいという形式でしたが、
最初から最後まで聴講いただいた方も約100名。

ありがたいことです。
サラリーだけに頼らない(頼れない?)複業熱の高まりを感じます。

わたしの担当は3つ。

ふどうさんぽ_200回記念16

[初級編]①セミナー………「不動産投資の仕組み」
[中級編]⑬セミナー………「滞納・トラブルの事例と対応」

ふどうさんぽ_200回記念17

基本的な「不動産投資の損益構造」についてご説明。
投資だけではなく相続に関しても不動産の話は付いて回ります。
初級編とはいえ、ベテランの方にも今一度押さえておいて欲しいこと。

[上級編]⑰パネルディスカッション………「物件売却の理論と実践」
ふどうさんぽ_200回記念117

上級編をご用意して、売却やサラリーマン卒業についてもご説明したのが工夫です。
他の大家さん向けセミナーには、あまり無い内容ではないでしょうか。

いくら複業収入を増やしても「サラリーマンを辞めることだけがゴールではない
その先には大家業への道、投資家・実業家への道などがあることは知っておいて欲しいのです。

この時の模様は、女性向けファイナンシャルポータルのDAILY ANDSさんにも掲載されました。
 前編:初心者にも優しい?中古マンションの「ヤドカリ投資法」とは
 後編:職場との関係がよくなった!?サラリーマン大家4人のホンネ

■日本FP協会 市川スタディグループ:「不動産投資の損益構造」(2017/10/01)

不動産投資をする初心者に大きく欠けている知識が二つあります。

ひとつは賃貸業の損益構造への理解。
どの程度のキャッシュが残るか、その計算式を理解していません。

賃貸業の損益構造

ポイントは事業収益と実際の手取りであるCF(キャッシュフロー)が異なること。

事業収益 ⇒事業の収益、税金計算の元になります。
CF(キャッシュフロー)⇒実際の手取り。投資としてはこちらが重要。

差異を生み出す要因は減価償却やローンの返済です。
会計が絡むため初心者には分かりにくい部分ですが、不動産投資を目指すなら知っておく必要があります。

購入前に計算しておけば、大ケガはありません。
どの程度儲かりそうか、儲からないか、仮説を持っていなければ検証もできません。

計算しないまま、あるいは販売会社の試算表を鵜呑みにして購入する人が多いことには驚かされます。
高額な投資であるのに不思議なことです。

初めての不動産投資で2億円の物件をいきなり買ったサラリーマンの方とお会いしました。
計算に基づく、きちんとした見通しがあればいいのですが…。

高属性でローンが組めるからといって、計算もしないでいきなりの高額物件は考え物です。
これはもう運まかせ。 破綻しないことを祈るばかり…。

残念ながら、多くの人は買ってから勉強を始めます。
仕方がない部分もありますが、それなら最初は少額の物件から始めたいもの。

もう一つ足りないのは、長期運営のイメージです。
賃貸業の収支傾向

これは書籍「ほったらかし投資術の甘い罠」用に作成したもので、新築マンションの単年度CFと累積CFをグラフ化したものです。

大事なのは、約10年単位で収支傾向が変化する事。

Ⅰ期(新築から約10年)
修繕も無く、順調にCFが増える時期。

Ⅱ期(築後11年から20年まで)
そろそろ修繕が発生し、都度CFが悪化する時期。

Ⅲ期(築後20年以上)
家賃下落とともに空室が多くなり、修繕が常態化しCFが悪化する時期です。

賃貸業は、通常の運営コストは大きくはありませんが、単発的に発生する修繕費のインパクトが大きく、長期的な収支に大きく影響します。

新築時の収支計算だけを見てはいけないのです。
購入前に長期的なイメージを持つことは難しいですが、先輩大家さんに話を聞くなど、対策は可能です。

20171001市川SG

不動産投資を考える人には
・損益構造を理解する
・運営の長期イメージを持つ

をお願いしています。長期的な変動が大きいのです。
5年程度のアパート経営で浮かれるのは慎みたいもの。

購入後は、経営者としてマネジメント力が問われます。

不動産に振り回されるのではなく、使いこなして豊かな人生の糧にして欲しいもの。
これからも折に触れ、ご説明していきたいと思います。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

資産形成のフロー派、ストック派。 あなたはどっち?

2017-09-19 12:26:16.886

人生はわくわくとドキドキで、できている! 個人投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

資産形成を目指す場合、大きく2つの考え方があります。
フロー派 :運用収入で年間500万円のキャッシュフロー(手取りのお金)を目指す
ストック派:純資産1億円を貯めることを目指す
何が違うのか、どちらが正しいのか、考えてみました。

フローとストック

400人以上の投資家のみなさんと会ってきましたが、不動産投資を実践される方の多くは資産運用から生み出すキャッシュフロー(手取りのお金)で給与収入以上に稼ぐことを夢見ています。

サラリーマンとして自分が働かなくても、お金が代わりに働いてくれて生活できるレベルということです。(これを経済的自由といいます)

キャッシュフローがいくらになるのかを目安にしています。

やれ、月30万円のキャッシュフローが欲しい。
わたしはゆとりを持って月50万円を目指したい。
いや月100万円を達成して、サラリーマンを卒業してバリ島で夢の生活を…。

ロバートキヨサキさんも言っています。
「一にキャッシュフロー、二にキャッシュフロー、三四が無くて五にキャッシュフロー…。」
わたしも、キャッシュフローの追求が自然なことだと思っていました。

ところが、ある社長さんは
「いや、残りの人生から逆算した純資産(ストック)の蓄積が目標ですよ」

つまりあなたが50才なら、例えば85歳まで35年間で毎年500万円必要とすれば1億7500万円。
年金支給額が7000万円なら、差し引いて1億500万円。これを貯めることを目標にするべきと言うのです。
なるほど、この純資産を達成すれば老後の不安は無くなります。純資産の増加こそが資産形成の目指すべきゴールという主張。株式投資の方には当然かもしれませんが、眼からウロコでした。

不動産投資では、フロー派が全盛です。
家賃収入から経費を除いた手取り収入を目安にしています。給与収入と対比した「代わりの収入」という意味で、分かりやすいのです。

一方、株式投資の方はストック(資産)の残高を指標にしています。
配当というフローもありますが、売却益での資産形成が目的です。売買を繰り返した結果としての金融資産残高を語ります。

ストック(資産)とは貸借対照表(資産・負債・資本)でいう現預金、債権、不動産などの合計です。
そこから負債を引いた正味資産を純資産といいます。(総資産ではなく、純資産で語るのがミソ)

資産家がお金持ちかというと、なかなか難しいものがあります。
特に不動産が関係すると、評価が難しく分かりにくいのです。

キャッシュを生まない自宅は資産か?
売却しにくい田舎の土地は資産か?

つまりキャッシュフローを生まない資産は投資の世界では資産とは言えないのです。
会計上の資産と投資における資産が異なるのです。
(キャッシュフローを生まない資産家を、わたしは「死惨家」と呼んでいます)

不動産の評価が難しいことが不動産投資家でフロー派が多い理由かもしれません。
問題は不動産のフローが漸減すること。長期的には家賃が下がり、空室率は上昇します。
目先の収入だけでは無く、やはり純資産の増加に目を向けるべきですね。

一般的な老後資金の目安は約3000万円です。⇒覚えておきたい老後資金のキモ、3000万円の貯金と4%ルール!
計算上はこれで十分ですが、お金の知恵を伴っていないと、この額では「不安心理」がまだまだ残ります。

病気になったら…
介護が必要になったら…

計算上は安全圏と知っていても、万が一が心配なのです。

給与というフローが無くなった場合、貯金だけでは「取り崩して、無くなってしまう不安」からは逃れられません。これが月次分配型の投資信託が売れる理由です。

ところがお金の知恵を身に付け、3~5%で運用できるスキルがあれば、年間90~150万円の利回り。
運用スキルや稼ぐ力があれば、同じ3000万円の貯金でも不安は無くなります。

資産形成とは、純資産の増加だけではなく、運用スキルの習得も必要ということ。

30~40代なら、まだまだ教育費なども必要で3000万円ではサラリーマン卒業とはいきません。
運用スキルを身に付けながら、1億円程度の「不安心理」が無くなるレベルの残高が必要でしょう。
(これだけ資産形成できる方は必然的にスキルも身に付いています)

整理するとこんな感じでしょうか
老後資金の蓄積を目指す方⇒運用スキルを身に付けながら、3000万円を目標とする
経済的自由を目指す方  ⇒運用スキルを更に磨いて、不安が無くなる程度の純資産を形成する
経済的自由の達成後   ⇒大きな純資産を活かしてキャピタル狙いで更に増やしていく

フロー重視か ストック重視か
あなたはどっち?

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

民泊はニューエコノミーの旗手か破壊者か!? 民泊の光と影

2017-07-29 15:53:42.816

人生はわくわくとドキドキで、できている! 個人投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

住宅宿泊事業法(民泊新法)が2017年6月9日、国会で可決成立しました。
わたしの周りにも民泊をやっている友人がたくさんいます。不動産投資家なら関心が高いテーマです。色々と賛否もありますが、今一度「民泊の光と影」について考えてみました。

■ 民泊のいま

長らく800万人程度で推移してきた訪日外国人観光客数ですが、2013年に1000万人を突破すると急激にその数を伸ばしています。2016年には政府の当初目標を上回る2400万人を達成しました。数年前には考えられなかった数字です。

政府もこれを受けて、目標を大幅に上方修正し、2020年までに4000万人、2030年に6000万人を目指すとしています。タイの2988万人、香港の2668万人(各2015年)を一気に抜き去る目論見です。日本経済が停滞する中、観光業は数少ない有望産業といえるかもしれません。

Airbnbの2017年4月24日「日本における短期賃貸に関する活動レポート」によれば2016年の宿泊人数はなんと370万人です。
これは全観光客数の15%を占める大きな数字で、いつの間にこれだけの存在になっていたのか驚きです。普段あまりAirbnbの凄さを感じないのは、海外からの宿泊客が93%を占めており、国内での利用者が少ないからでしょう。

標準的なホストの年間貸出回数は89泊で、平均宿泊日数は3.4泊、直接的経済効果は4061億円としています。この数字はホテル御三家のホテルオークラ、ニューオータニ、帝国ホテルの売上合計の約2倍という規模で、もはや国内でもトップクラスの宿泊業者といえます。

2016年滞在上位10都市をみると、大阪、東京、福岡、奈良、広島、沖縄、徳島、群馬、高知、栃木であり、地方都市への拡がりを感じさせます。常連の京都は圏外になりましたが、これは供給不足が原因ではないかと思います。

■ 民泊はデジタル・ディスラプター(既存業界の破壊者)か

成長する民泊ですが、課題も数多く指摘されています。

光と影

2017年3月17日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の招聘で、フランスのホテル&レストラン業界団体を招き「民泊の不都合な真実 ~世界最大の観光大国フランスで起こっていること~」と題した緊急フォーラムが都内で開催されました。

年間約8000万人のインバウンドを誇るフランスで、民泊が多くの脱税を生み、業界の雇用を奪い、普通にパリに住む権利を破壊したことが報告されたのです。

アパートの所有者がより利益の上がる民泊事業に物件を回したため、家賃相場が急上昇。賃貸契約の約25%が契約更新されず、それまでの住人は高額な値上げを受け入れるか、郊外への引っ越しを余儀なくされたそうです。

招聘されたディディエ・シュネ氏は語っています。
「日本はまだ今なら間に合う、フランスと同じ轍は踏まないで下さい。良識ある日本の皆様のご検討をお祈りしております」
非常に重い発言です。関係者は真摯に受け止める必要があります。

Airbnbはシェアリングエコノミーとも呼ばれ、空いているものを有効利用する新しい経済活動ですが、一方で既存業界を破壊するデジタル・ディスラプター(デジタル時代の創造的破壊者)でもあることが示されたのです。

シェアリングエコノミーのディスラプターとしては配車サービスのUberも有名です。同じように世界中を席巻していますが、日本と中国ではそれほど普及していません。

日本では法規制の壁もありますが、日本交通によるアプリ「全国タクシー配車」が先行しており、すでに一定のシェアを確保しています。全国47都道府県でタクシー会社135グループが参加、約2万3000台が配車可能です。

5~6年前に日本交通さんの発表会に参加したことがあります。全国で登録台数が1万台を超えた頃で、米国ではUberが話題になっていましたが、日本には未上陸でした。
講演の中で、
「『黒船襲来』に備えなければならない。日本のタクシー業界は身内で争っている場合ではない。」と力説されていたのが印象的でした。既存業界が切磋琢磨し、スマホ時代に立派に対応した例といえます。

■ 民泊新法

今回制定された民泊新法の概要は、
 ・都道府県知事への届出制
 ・年間提供日数の上限は180日
 ・条例によって地域の実情を反映する
 ・事業の適正な遂行のための各措置の義務化

  (衛生・安全の確保、名簿の常備、周辺からの苦情対応、定期的な報告など)
 ・家主不在型の管理委託の義務化
となっています。

事業の適正な遂行のための各措置が盛り込まれ、正常な業界育成を目指す内容です。

問題はホストの多くが小規模な施設提供者のため物件数が約5万件にも上り、どこまで実態を把握、統制できるかが不透明なことです。宿泊客へのマナー徹底は不十分であり、周辺住民への対応窓口を持っている業者はありません。
筆者の周りでも既にAirbnbを始めている人は多いのですが、管理会社は玉石混淆といいます。業界自体がまだまだ未成熟なのです。

民泊新法を順守すれば体制も必要になり運営コストは上昇するため、管理会社の淘汰が進むものと予想されます。アパートオーナーとしても、順法の中で取り組むことが求められそうです。

■ 住環境や賃貸業への影響

賃貸業がビジネスである以上、一般賃貸に比べて利益が2倍以上になるといわれる民泊は大家にとって魅力です。増大する空き家の活用としても有効で、有力な選択肢であることは間違いありません。

ただ自分のアパートを闇雲に民泊にするのではなく、一般居住用とを分離するなど、節度ある態度が求められます。
利益追求だけではなく、近隣との調和のとれた賃貸業を目指すべきでしょう。戸建て、もしくは民泊専用アパートに限定する、などの自制が必要かもしれません。

管理会社の体制が整備されるまでは、騒音やマナー問題など住環境への影響は出そうです。特に観光地に隣接する地区は注意が必要で、自治体の責任も重いものがあります。アパートの民泊への転用に一定の制限を設けるなどの条例が出ることもありそうです。

■ まとめ

住環境を破壊するものとして民泊を廃絶しようとする意見もありますが、安価で特徴のある宿泊施設にニーズがある以上、いたずらな反対は得策ではないと考えます。少子化対策や経済活性化のため観光立国が避けられないとすれば、むしろ積極的に健全な成長を目指す方が賢明です。

古くはCDがアナログレコードを駆逐しました。
スマホの高機能化で安価なデジカメを代替しました。
百貨店はSPAや専門店の台頭で歴史的役割を終えそうです。
EVは既存の自動車産業を根底から変えようとしています。

イノベーションを伴う商品の成長ステップは、
1)最初の普及、拡大
2)事故、問題の発生
3)対策・法整備
4)健全なる発展
という順になることが予想されます。

ニューエコノミーで既存業界のある部分はなくなりますが、最終的には共存しながら新しい経済圏を生み出しています。既存の価値観と異なるものであれば、生みの苦しみを伴います。
頭から否定するのではなく、新しい経済活動を機会として正しく参入したいもの。

民泊はニューエコノミーの旗手か、デジタル・ディスラプターか?
あなたはどう考えますか?

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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やんつ(山本 常勝)

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