出口を知らずに不動産投資をやってはいけない 不動産投資の誰も言わない真実(7)

人生はわくわくとドキドキで、できている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
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「誤解と錯覚」に満ちた不動産投資のホントを語る「不動産投資の誰も言わない真実シリーズ」第七回。今回は新たに30代の新婚男性Hさんの登場です。

Hさん:
「お久しぶりです。ちょうど賃貸併用住宅を取得したところで、嬉しくて…。これからは収益物件を増やすつもりです。ところで、不動産投資ではよく「出口」って聞きますが、今イチ分かりません。出口戦略について教えてもらえませんか?」

■インカムしか言わない業界の不思議

Hさん、地道な物件探しが実りましたね! おめでとうございます。

「出口」ですか…、よくぞ聞いていただきました。実は、出口戦略を持たなければ不動産投資ではないと思ってるんですよ。

「出口」とは購入を入口として、反対にあたる売却を言いますよね。あるいは持ち続けるのかを含めて、不動産投資に対する投資評価そのものなんです。

投資のトータルリターン

ご存知のように投資のトータルリターンはインカムゲイン+キャピタルゲインですよね。
株式投資ならインカムは配当で、キャピタルは売買損益。配当狙いより売却益狙いが一般的です。

ところが不動産投資では、インカムゲインのことしか言わないんですよね。
前々回お話したように実はキャピタルの方がインカムよりインパクトが大きいのにです。

10年間のインカムで喜んでいても、売却損で吹き飛んでしまえば元も子もないんですけど。

業界で、誰もキャピタルについて言わないのには三つ理由があると思っています。

1)不確定要素が多い

一言でいうと、変動要因が多く売却額が計算しにくいので、分からないものは言わないということです。

売却額に影響をあたえるものとしては
・売却時の相場環境
・立地と需要
・建物の保守状況
・家賃水準と空室状況
・金融機関の融資姿勢
・売却理由と購入理由
など実に様々です。

ただ正確な予測はできませんが、ある程度の推定は可能なので、皆さんやるべきとは思っています。

2)言うと売れなくなる

これが最大の理由かもしれませんが、人口減、空室増加時代において不動産価値は下落傾向にあります。

建物は放っておくと老朽化で価値が下がります。土地神話は既に終焉。土地が高度成長時代のように上がり続けることもありません。

あなたの買う2000万円の区分マンションが、実はローン完済時には半額の1000万円の価値になってます、とは誰も言わないわけです。買わなくなっちゃいますから。

毎年、CFが20万円残ったところで、単純計算で20年後に400万円。
売価が1000万円なら、本当に手に入れるのは20年後の1400万円の資産です。(400+1000) どうせ買うなら、このことを分かったうえで購入したいもの。

専門家と称する人でも、このことを言わない人が多すぎて暗澹たる思いに駆られることがあります。

わたしの10年の投資歴でも、平均的な家賃下落率は大きくなっていると感じます。

友人のカリスマ不動産投資家は、当初は郊外物件とかで資産を増やしていましたが、今後は都内しか物件は買わないと言ってます。
最初はリスクを取ってハイリターンを目指しても、ある程度の資産形成ができればより安全運転を目指すということ。

よりリスクが高くなっている中、購入者は
・購入前の立地検討
・ペット可、コンセプトルームなどの差別化
・リノベーションによる物件価値の向上
・民泊、シェアハウス、シェアキッチンなどの新業態
など、賃貸業としての工夫が求められます。

3)言う必要がない

もう一つ、キャピタルへの言及が進まない理由として、言う必要がないということもあげられます。

実は、不動産はいったん買うと保有し続ける人が多いんです。
周りを見ても80%位の人がそのまま保有し続けます。地主さん系ともなればなおさら売りません。

売らない理由としては
・家賃としての固定収入を捨てられない
・大家業に満足する
・トータルリターンという概念が薄い
ということがあると思います。

投資なら純資産の増加を計算する、トータルリターンという概念が必要なはずなんですが…。

賃貸業が好きになって、そのまま大家業を続けても勿論いいんですが、物件を組み替えることも考えてもいいはずです。
少なくとも、価値計算は絶えずして欲しいんですが…。

■売却の検討タイミング

Hさん:
「なるほど…。言われてみると、家賃収入とかインカムの話はよく聞きますが売価の話はあんまり聞きません。そんな背景があるんですね。」
「じゃあ、出口を考えるとして、どんな風に考えればいいんですか?」

売却を検討するタイミングや要素にはいくつか種類があります。
内部環境と外部環境に分けてご説明します。

【内部環境】…保有者の状況に関するもの
①購入6年目以降 …税法上長期譲渡になり、税金が安くなる時期
②投下資金必要期 …大規模修繕などの大きな資金投下が必要な時期
③CFマイナス転換時…家賃下落、修繕費多発でキャッシュアウトする時期
④減価償却終了時 …以降は税額が上昇する

【外部環境】…購入者の目線でのタイミング
⑤市況、金融機関の融資姿勢…市況が活発で、資金調達が容易な時期
⑥耐用年数残15年 …購入者がまだローン設定がし易い時期(残20年も対象)

購入後は満室経営を目指す訳ですが、これらの時期がいつ来るのかを計算しつつ、売り時を検討してみるのがお勧めです。(売るつもりがなくても、計算はしておく)

多くの方は、②で大規模修繕コストが嫌で売りに出しますが、その場合は足元を見られて、安くなる可能性があるので注意してください。

新築の木造アパートなら①+⑤の時期。築6~10年での売却検討を推奨していますが、ほとんどの人は売りませんね。
満室でCFもあるのに売る必要はないと思っちゃうんですね。

ローンがあるなら、絶えず残債利回りを計算しておきましょうとも言ってます。
(ローン残債利回り=家賃収入÷ローン残高)
この残債利回りと⑤を考慮した、キャップレートを比較するわけです。

絶えず、ローンを清算したらいくら手元に残るのかを意識しましょう。

少し長くなりましたので、売却額を意識した不動産投資のトータルリターンの考え方については次回お話しますね。
ケーススタディや保有し続ける場合の話も次回させていただきます。

Hさん:
「売却を検討するタイミングも参考になりました。次回も楽しみにしてます。」

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回も出口の話が続きます。

管理人プロフィール

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やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
Webディレクター

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