投資信託はどう選ぶ?(4)シャープレシオで選んでみた!

Jun 28, 2020

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

約6000本という膨大な投資信託の正しい選び方を考えるシリーズ、四回目です。

ここまで
売れ筋商品
プロの選んだ優良商品
資産残高の大きさ
で検証してきましたが、なかなかパッシブ型のインデックスファンドを上回るものがありません。やっぱり良いアクティブファンドを選ぶ手掛かりはないんでしょうか…?

そこで思いついたのが、金融を勉強すると出てくる「シャープレシオ
今回は、このシャープレシオに注目してみることにしました。

■ シャープレシオとは

シャープレシオとは

シャープレシオとはリスク当たりの超過リターンで、リスク(標準偏差)に対しどれだけ効率的なリターンを上げているかを見るもので、超過リターン÷リスクで計算します。数値が高いほど効率的にリターンを上げていることを示します。

図の商品A、Bを見るとリターンは、それぞれ
商品A=8%
商品B=7%
です。これだけ見ると商品Aの方がリターンが高いですが、リスク値が違います。

リターン÷リスク値(標準偏差)をみると
商品A=0.5
商品B=0.7 でBの方が数値が高く、リスクに対し効率的であることが分かります。

つまり商品Bは平均リターンは低いものの価格の上下動(リスク)がAより小さく、損失確率がBより低いということです。

ただ注意点としては、あまり異なるリスク値のものを比較するのは適当とはいえません。リスク値に対する選考は各個人ごとに異なるため、アセットクラスが異なると一律に論じる訳にはいかなくなるからです。

図では同じリスク値である商品Aと商品Cを比較する方が指標としての妥当性が高くなります。(明らかに商品Cの方が優れている)

つまり、できるだけ
先進国株式なら先進国株式のファンド同士で比較する。
日本株なら日本株同士、先進国債権なら先進国債権同士、です。

■ シャープレシオ上位のファンド比較

モーニングスターで5年間のシャープレシオ上位10本を選んでみました。

投資信託_シャープレシオ上位
国内小型グロース(成長株)に分類されるものが5本
国際株式(北米)に分類されるものが4本
国内債券1本 になりました。

前段で述べた通り、同じアセットクラスで比較するため分類ごとにまとめました。

ベンチマークとしては米国株の有名なETF、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
(VTI)を選んでみました。

類似のETFにVOOがありますが、VTIは米国株式約3600銘柄、VOOは米国株式S&P500という違いがあります。VTIの方が中小株を含むことからこちらにしました。

まず国内株式グループを見てみましょう。この5本です。
・東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
・SBI 中小型成長株F ジェイネクスト「愛称:jnext」
・新成長株ファンド 「愛称:グローイング・カバーズ」
・DIAM 新興市場日本株ファンド
・マネックス・日本成長株ファンド 「愛称:ザ・ファンド@マネックス」

利回りは5年間で年利16~23%といずれも優秀。目論見書をみても、なかなか納得感のある銘柄選定です。

「ジャパン・オーナーズ株式オープン」では、オーナー経営者に注目し企業の成長性・収益性に比較して割安であると判断される銘柄を選別とあり、なかなか面白い着眼点です。

ベンチマークと比較して信託報酬は高いですが、その分の価値はありそうな実績です

5本からあえて絞り込むと
「ジェイネクスト」、「ザ・ファンド@マネックス」は資産残高が小さく、売却手数料に当たる信託財産留保額がかかるのがたまに傷。また「ザ・ファンド@マネックス」はマネックス以外では買いにくいというのもマイナス材料。

「DIAM 新興市場日本株ファンド」は新興市場という性質でしょうか、リスク値が他と比較して26.56とやや高いのが気になります。(ただリターンも高いので、この辺は好みの問題かもしれません)

残る「ジャパン・オーナーズ株式オープン」、「グローイング・カバーズ」 は有力候補といえそうです。コロナ後の値戻り、純資産の推移をみて購入してもいいかもしれません。

面白いのは運用会社です。
「ジェイネクスト」、「グローイング・カバーズ」は実はエンジェルジャパン・アセットマネジメントという同じ投資会社が組成しています。
「DIAM 新興市場日本株ファンド」と「ザ・ファンド@マネックス」はアセットマネジメントOneです。

この2社の組成方針が優秀だということかもしれません。今後も注目ですね。

次に、国際株式グループをみてみます。次の4本です。
・AB(アライアンス・バーンスタイン)米国成長株投信Cコース(ヘッジ有)
・AB(アライアンス・バーンスタイン)米国成長株投信Aコース(ヘッジ有)
・netWIN GSテクノロジー株式ファンド A(ヘッジ有)
・米国NASDAQオープンAコース

いずれも利回りは12~15%と優秀です。リスク値も14~17程度。
日本株より米国株の方が上下動が少なく、安定的なリターンだったことが分かります。

「NASDAQオープンA」は残高が小さく、除外してもいいかもしれません。

AB米国成長株投信は2本ありますが、「Cコース」と「Aコース」の違いは選定セクター(業種)の違いの様です。「Cコース」が月次分配というのは長期的にはマイナスかもしれません。

AB米国成長株投信Aコース」と「GSテクノロジー株式ファンド A」がこの中では有力候補とえます。

「GSテクノロジー株式ファンド A」はプロの選んだ優良商品のチェックでも唯一ベンチマークを上回った商品でした。お見事!

最後の「日本債権ファンド」は当然リスクも小さいですがリターンが1.89%では低すぎます。低金利時代では仕方がないですが、今の時代には債権をポートフォリオに入れる必然性はない、というのが持論です。

今回ははなかなか有力なファンドを幾つも発見することができました。

シャープレシオはファンド選択に非常に役立つ指標だ!
これが今回の結論です。
相場状況で数値の評価は異なりますが、0.7以上は欲しいところです。

惜しむらくは、ファンド毎にシャープレシオを比較することはできても3年間の数字が多い。できれば5年、10年といった長期での情報整備をお願いしたいところです。証券会社の更なる進歩を期待します。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です。

投資信託はどう選ぶ?(3)「大きいことは良いことだ」のその後を検証する

May 26, 2020

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
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約6000本という膨大な投資信託の正しい選び方を考えるシリーズ、三回目です。

良い投資信託の条件の一つとして、「資産残高を順調に伸ばしているもの」というのがあります。

ということで、今回は資産残高が大きく、且つ伸ばしているファンドのその後を追跡してみたいと思います。

具体的には投資信託の総合情報サイト「投信資料館」に掲載されている「国内最大ファンドランキング」の上位30銘柄に着眼し、調査することにしました。

まず2010年12月の上位ランク30商品で、2011、2012年と運用資産を伸ばしているものをピックアップし、最近の成績をチェックするという手順です。

ところがビックリ!
2010年から2年連続で資産を増やしているものが、わずか2銘柄しかありません。30本中にです…。

1.フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド  …米ドル建て高利回り事業債に投資

2.高金利先進国債券オープン(毎月分配型):月桂樹…「高利回り先進国債券ファンド 」を通じ、ソブリン債や社債、CPなどに投資

2銘柄しかないというのも驚きですが、どちらも債権というのも時代ですね。

2010年といえばリーマンショックの傷もまだ癒えぬ頃。株式市場には資金が流れず、高金利の債権にシフトしていたと考えられます。アベノミクス効果も本格的には2012年から。

ただ高金利債権といえばリスクも高いため敬遠される気もしますが、高利回りという言葉の魔力でしょうか…。

2本だけの追跡ではつまらないので、連続で伸びている訳ではないが組成方針に妥当性がありそうで、その後も期待できるものを独断で4本追加することにしました。

以下の4本です。

3.財産3分法ファンド「不動産・債券・株」(毎月分配型) …国内不動産投信25%、海外債券50%、国内株式25%に分散投資

4.DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算):ハッピークローバー …高格付資源国の公社債(カナダ、豪、ニュージーランド、ノルウェーなどのAA以上の債権)

5.マイストーリー分配型(年6回)Bコース   …世界の債券、国内外の株式を対象とする投資信託証券を通じ、インカムゲイン+キャピタルゲインの獲得を目指す

6.野村世界6資産分散投信(分配コース)   …国内および外国の債券、国内および外国の株式、国内および外国のREITにバランスよく投資

この当時は債券系やREITが伸びていた時代の様で、株式型はなく3本がバランス型です。リーマンショックに懲りて安定成長狙いの時代だったのでしょうか。残る資源国の公社債というのも魅力的な気がします。

ベンチマークとしては前回同様、MSCIコクサイに連動する、ニッセイ外国株式インデックスファンドをチョイス。

選定した6本のその後(2017~2019年の3年間の成績)をベンチマークと比較することにしました。分配金込価格と純資産残高の3年間での増減率の比較です。

(その後驚異的な伸びをみせ、今では残高5000億を超す「ひふみ投信」は当時はまだランクインしてませんでした)

■ 運用資産残高上位 追跡調査

投資信託_資産残高上位
選定した6本全て分配金型(毎月、隔月)というのはやはり時代でしょうか。

分配型は複利効果も無く、税効率も悪いのでお得とは言えないのですが、今も昔も高齢者には人気があります。

定期的に分配がもらえるのが嬉しいという心理は理解できますが、普通分配と特別分配の違い等は分かっているんでしょうか? メリット、デメリットを理解して買っているならいいんですが…。

さて、分配金込価格と純資産残高の増減率をみてみましょう。

分配金込み価格はなんとか5本がプラスですが、なんとも上昇幅が少ない。+10%越えはフィデリティ・USハイ・イールドと財産3分法の2本だけです。
ベンチマークが3年で約36%上昇していることと考えると物足りない限り。

純資産残高に至っては殆どが3年間で減少です。

唯一、財産3分法ファンドだけが2指標共にプラスです。ただバランス型だけに大きなリターンは望みにくい理屈はありそうですが、ベンチマークとの見劣り感は否めません。

国内最大ファンドランキングの上位といえば、過去に大いに売れた商品でもあります。
必ずしも長期的にインデックスに勝るとは限らない商品が、何千億もの残高というのは、売る側の力なんでしょうか、それとも買う側の勉強不足か…。

運用残高が大きいからと言って、何時までも好調という訳ではない。
その時代の人気によって商品が選ばれているのが実態。
これが今回の結論のようです。

アクティブファンドの選び方に何か蓋然性のある手法は無いか? と始めた本シリーズですが、アクティブファンドの良さがなかなか見えてきません。

毎回「インデックスが最強説」を裏付ける結果になっています。
もう少し、なにかいい購入尺度はないか考えてみます。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなく、あくまで個人的な見解に基づく記事です。

投資信託はどう選ぶ?(2) 「プロが選んだ優良商品」のその後を検証する

Apr 29, 2020

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

投資信託の正しい選び方を考えるシリーズ、二回目です。

約6000本と数が多く、どれを選んでいいか分からない投資信託。
それなら、プロが選んだ優秀な商品なら間違いないはず。何しろ金融機関の人たちは専門家なんだから…。

ということで今回は、広範な情報提供で定評のあるモーニングスター社の選ぶ「ファンド・オブ・ザイヤー」に輝いた、いわばプロがお墨付きを与えた商品のその後を追跡することにしました。

毎年、国内の追加型株式投資信託を対象に、リスクやリターンといった定量面と、運用調査体制等の定性面の両面から、優れた運用実績とマネジメント体制を持つファンドを『Morningstar Award “Fund of the Year”(ファンド オブ ザ イヤー)』として選考し、表彰しています。

受賞はその年の運用成績等が優れた上位約1%で、且つ長期的なパフォーマンスも考慮される、としています。1999年から毎年発表している権威ある賞です。表彰は国内株式型部門、国際株式型部門、債券型部門、バランス型部門など多くの部門からなっています。

そのうち、国内株式型部門、国際株式型部門の2部門から 2010年、2011年の上位各2本(計4本)を追跡することにしました。

「良いファンドは長期的に安定した実績をあげるはず」

この仮説に基づき、表彰から時間の経過した2017~2019年の3年間の成績をベンチマークと比較することにしました。分配金込価格と純資産残高の3年間での増減率の比較です。

■ 日本株部門

投資信託ファンドオブザイヤー_日本株
表彰された4本は以下の通りです。

1.ストラテジック・バリュー・オープン 「真価論」…割安性評価と実力評価で国内の株式を厳選。

2.損保ジャパン・グリーン・オープン 「ぶなの森」…「環境経営」を基に割安度が高い銘柄を選定。

3.JFザ・ジャパン …利益成長性が高く、株主を重視する企業に投資。

4.三菱UFJ グローバルイノベーション 「ニュートン」…イノベーションに挑戦する日本を含む世界の株式。

ベンチマークは対象商品の多くがTOPIXを意識していることから、eMAXIS TOPIXインデックスを選定。誰でも買える、分かりやすい商品です。(後継商品eMAXIS Slimの販売により資産残高が分散されたことから、純資産残高は合算して計算しています)

増減率を見てみると、分配込価格では4商品ともにプラス、+12.6%から+36.8%まで。それなりの成績のように見えますが、ベンチマークとの比較ではなんと全敗!

純資産は2銘柄が減らし、残る2銘柄も、7~13.8%と大きな増加ではありません。
対してベンチマークは3年で約35%増と順調な増加。

ファンドの構成情報をみると、割安性評価と実力評価、環境経営にイノベーション。もっともらしく感じますが、プロの考えた選定基準でも単純なインデックスにはなかなか勝てない、という結果になりました。

インデックスに比べて4~5倍の信託報酬を取っているアクティブファンドですが、残念ながら高い手数料の根拠は無さそうです。

ということで、日本株部門はインデックスの圧勝!

■ 国際株部門

投資信託ファンドオブザイヤー_国際株
国際株部門はこの4本。

5.PCA インドネシア株式オープン …インドネシアの株式に投資。

6.netWIN GS・インターネット戦略ファンドB …ITの発展により恩恵を受ける米国企業。

7.DIAM世界好配当株オープン(毎月決算)「世界配当倶楽部」…平均配当利回り、地域配分、業種配分等を考慮した日本を除く世界各国の好配当株式。

8.アメリカン・ドリーム・ファンド…米国小型成長株。4つの投資資格(企業優位性、高シェアと利益率、売上成長力、有能な経営陣)対象約300社から20-60社へ厳選。

ベンチマークとしてはMSCIコクサイ・インデックスに連動するファンドとして安価で知られる、ニッセイ 外国株式インデックスファンドをチョイスしました。

各ファンドの情報をみると、とても魅力的なファンドが並んでいます。

「インドネシアの成長に期待するのも面白いなあ。」
「これからの時代、ITに着眼する視点はいいよね。」
「高配当銘柄なら確実な成長が期待できそう。」
「厳選された米国小型成長株。ぜったい魅力的だよね。」
わたしも思わず買いたくなります。

さて、成績はどうでしょう?
おっ!? 素晴らしいファンドがありました!

netWIN GS・インターネット戦略ファンドB名称変更で今は、netWIN GS・テクノロジー株式ファンドB)です。

分配込み価格は3年で75%を超える上昇! 純資産は10倍を達成しています。ベンチマークと比べても見事な成績です!

他の3本は?と言うと、 とほほ…。
一応プラスではあるものの、ベンチマークの35.9%には遠く及びません。

純資産に至っては、3本とも大幅減少。約4割減が2本と早期償還も心配されるほどの減少ぶり…。
これではインデックスの10~20倍にもなる信託報酬に意味はありません。

唯一の好成績の GS・インターネット戦略ファンドについては、あくまで3年間の比較なので、今後も継続的にアウトパフォームできるかを注目したいところ。この成績を維持できれば、手数料が約20倍といっても納得かもしれません。

実は調査前は、さすがにファンド オブ ザ イヤーともなれば、もう少し継続して優秀な成績をあげるファンドが多くあると期待していました。ある意味、とても残念なこと…。

これでは、猿のダーツ投げで選定した銘柄構成よりも、プロが運用するアクティブファンドの方がリターンが劣るという、『ウォール街のランダムウォーカー』の有名な一説を裏付ける結果です。

たったこれだけの調査で断定はできませんが、毎年多くのアクティブファンドが組成されますが、勝率は決して高くはないようです。ましてや購入者が選定するのは至難の業。

無闇にラインナップを増やすことで却って分かり難くし、自らの首を絞める結果になってしまっている気もします。 米国のバンガード社はインデックス系の個人販売に注力してて、いまや500兆円を超す資産残高になっているんですが…。

プロが選ぶ優良ファンドでも、インデックスには容易には勝てない

これが今回の結論でした。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です。

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やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
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