最後の戦い…税金がなんと5000万円超! 秘策は「代位弁済」
こんにちは、人生は50代からがもっと楽しい!不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
1983年、26歳のサラリーマンのわたしが、逃げ出した親父の借金を返済する
親父の夜逃げシリーズ(10)です。
前回で、田の一般売買と農業短大への一括販売がまとまり2億円を越える現金化に成功しました。
最後に待っていたのは税金との戦いです。
当時、長期譲渡所得税が20%、プラス住民税で、計25%が税金でした。
一般売買金額= 約 8000万円
農業短大売買= 約1億4000万円 計2億2000万円 に対する税金は…
みなし取得原価が5%なので、課税対象は売価の95%。(100-5%)
譲渡所得税は課税所得(22000×95%)×25% で税額なんと5225万円!
納税は国民の義務、 とはいえこれは痛い…
儲けて利益を出したお金ならともかく、借金の返済で右から左に消えるお金。
弁済金にプラス税金は勘弁して欲しいものです。
なんとかならないか…?
………………
秘策がありました!
「譲渡所得の代位弁済の特例」というものです。
保証人などが肩代りをして債務を弁済する保証債務の履行については、土地建物などを売った場合でも所得がなかったものとする特例です。
つまり
他人の借金を、保証人として返すんだから譲渡所得税は勘弁してあげるよ~
という意味です。
ここでは、銀行から借金をしたのが法人であったことがポイントになりました。
債務者 =法人
連帯保証人=法人代表者である個人としての父
弁済人 =個人としての父
法人の債務に代表者個人が連帯保証をするのはごく普通のことですが、例え社長であっても個人と法人は法律上は別人格なのです。
(これを法人の有限責任と言います。合名会社や合資会社の無限責任社員とは異なりますのでご注意ください)
この「代位弁済の特例」については誰の発案だったか記憶が定かではありませんが、実はかなり早い時期から分かってました。
なんと、この適用を受けられれば5225万円が不要になるのです!
■ 法人化のメリット
少し話はそれますが、不動産投資では
「法人にすると、どんなメリットがありますか?」
「年商が幾らくらいから検討したほうがいいですか?」
という質問をよく受けます。
回答としては、
「事業拡大するなら法人がお勧めで、且つ、できれば物件も法人で取得していくことがお得です」
が答えです。(実際は色んなハードルがありますが…)
法人化のメリットは、
法人税率が一定で個人のような累進課税ではない
所得を法人と個人に分散できる
などもありますが
なんといっても、経費の自由度が高い!
これが大きなポイントと感じます。
デメリットとして、事務の煩雑さや事業コストが発生する。
(法人税の均等割り、社会保険の加入義務など)
もありますのでそれらを勘案した上で、検討する必要があります。
不動産収入がいくらになったら検討すべきか、については不動産以外の給与収入や税率、ローンウェイト、資産内容によって答えは一律ではありません。
ただ、目安として
「不動産年収が1500万円を越えると検討してもいいんではないでしょうか?」
と回答しています。
(実際には、事業拡大を目指している周囲の知人はもっと早い段階から法人化しています)
最近は、マイクロ法人のすすめ などの言葉もあるようです。自身で確定申告をすることでも、大きな発見があります。
一般の社会人もこんな知識も持っておくべきかもしれませんね。
■ 代位弁済の実行
さて代位弁済の実行です。
ポイントは返済が債務者の返済ではなく、連帯保証人である個人からの弁済として処理されることです。
当時まだ法人は残っていましたが、法人名義で返済してはダメなのです。
金銭消費貸借契約書を返してもらって抵当を外してもらうだけでは足りないのです。
(その後、法人は廃業や解散では手続きが煩雑なため休眠に)
銀行に、確かに連帯保証人である個人からの返済であることを証明してもらう必要がありました。
先日、この記事のため実家の押入れをひっくり返しました…
ビックリ! 手書きの、こんな書類が出てきました。
銀行でも代位弁済の実行は珍しかったんですね。
定型の書式がなく、なんと手書きです。
よく、まあこんなものまで作ったものです。
これを添付して、税務署に申告しました。
なんせ5000万円を越える金額が掛かっています。
普通の領収書や通帳の写しでは適用を受けられるか自信がありませんでした。
確か、事前に税務署に確認のため訪問しアドバイスを受け、その上で1985年の確定申告で正式申請したはずです。
それが 親父の夜逃げシリーズ(1) の以下のシーンです。
「よくやった! 偉い!」
分厚く膨れ上がったA4バインダー5冊の資料を差し出すと、ごま塩頭の税務署員が大きな声で褒めてくれました。
あーーっ! もう一つXX興産の借金の顛末が抜けていました。
では、その話は次回で………
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
個人的な話ですが、次回でシリーズ最終話です、読んでもらえると嬉しいです。