超ワンマン社長に大見え! 営業生活30年間でたった一度の啖呵。
こんにちは! 53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたに、今日はわたしが出会ったお金持ちのエピソードです。
若かりし時代はITシステムの営業マンとして中小企業の社長さんに会う機会が意外とありました。
みなさん お金の5つのスキル がとてもバランス良く‥
とはいかず、実に個性的な方が多かったです。
経営者ですから当然ビジネスで「稼ぐ力」はありますが、逆にその部分だけが突出した方も‥
わたしが金沢勤務時代に出会った「超ワンマン社長」です。(仮にY社長としておきます)
このY社長、会社設立8年で年商200億!を達成しマスコミでも取り上げられました。
野性的なカンと強力なリーダーシップ、斬新なビジネスモデルで業界に旋風を巻き起こしました。
出会ったのは会社設立5年目の頃、ぐんぐん伸び始めた時です。
担当者と常務からITシステムの相談がありました。(約5000万円の商談だったと思います)
常 務: 「社長が日経新聞の全段広告に載りたい、と言ってるんだけどなんとかなりませんかね?」
わたし: 「 ???? 」
当時、とある外資系ITメーカーが社長シリーズという連載広告企画をやっていました。
そのメーカーの社長とユーザー企業の社長が、システム導入の経緯や効果について対談するというもの。
どーん、と二人の顔写真が対談と共に日経新聞の全段ぶち抜きで掲載されていました。
天下の日経新聞ですからユーザー企業としては宣伝効果も高いです。何より写真付き! 目立つ、目立つ‥
これを見たY社長、 「俺もこれに出たい!」
見事なワガママっぷりです。
日経の全段と言えば、当時(約25年前)で約1500万円の掲載料だったと思います。
どう考えても億円単位の商談規模でないと釣り合いがとれません。
しかも掲載企業は上場企業か歴史のある会社ばかり… どうアピールしても、選考されるはずがありません。
会社の急成長でシステム刷新は急を要します。購入にはY社長の無理難題に応える必要があります。
常務さんもはたと困ったという訳です。
前代未聞のリクエストです。丁重にお断りしようと思いましたが、担当者と常務はほとほと弱り果てています。
わたし: 「うーん…確約は出来ませんが、出来る限りのことはしてみます」
ここから苦難のドラマが始まります。
わたしは、連載企画をしていた外資系メーカーとはライバルにあたる国産メーカーの販売店という立場でした。
(外資系よりは無理が効くと踏んだのかもしれません)
まずはメーカーの金沢支社を窓口に本社の宣伝部に掛け合ってもらいました。
障害になったのは金額ではなく、企画そのものでした。
大きな会社では当然ながら広告宣伝のポリシーと戦略があります。
宣伝担当: 「急に企画上げられても困るんですよね~ もう年度計画は決まってますし‥」
わたし: 「そこを何とか‥ 効果あると思うんです。」
当然のことながら難航します。 進捗は逐一、常務さんに報告していました。
幸い、メーカーの担当者が非常に好意的で粘り強く宣伝部を説得してくれました。
半年以上の交渉の結果、次年度の計画に押し込むことに成功したのです!
そしてY社長がワガママを言い始めてから1年半後、いよいよゲラ刷りが上がりました。
客先の大広間にY社長、常務、担当者、わたしとメーカ担当者、そして東京本社の制作スタッフが揃いました。
メーカ担当: 「社長さん、長い間お待たせいたしました。 原稿が出来上がりました。」
ようやく完成した新聞広告のゲラ刷りを渡します。みんな期待に満ちています。
原稿を一瞥したとたんY社長の顔色が変わります。
「だめだ!こんなもの。 気に入らん!」 原稿を丸めて放り投げます。
空気が凍りつきます。
原稿は日経の全段ではなく、2/3でした。 真中にあるのは顔写真ではなく上品なイラストでした。
わたし: 「社長さん、ご希望とは違うかもしれませんが、これが出来る精一杯なんです。 ご理解いただけませんか?」
Y社長: 「だめだ! 話が違う! 約束したはずだ!」
わたし: 「出来るだけのことはしますと申し上げましたが、出来ますとはお約束していません!」
Y社長: 「なにー! 嘘をつけ!」
わたし: 「嘘ではありません。 常務さんには始めからお話しています。」
Y社長: 「本当か! 常務!」 常務を振り返りました。
常務さんは俯いたままで無言です。
Y社長: 「話にならん! 持って帰れ!」
これまでの1年半の苦労が頭をよぎります。 関係者がさんざん苦労したのはよく知っています。
関係者にこれ以上迷惑はかけられません。もはやこれまでと観念しました。
わたし: 「分かりました。 持って帰ります!」
都合30年にわたる営業マン生活で、一度納品したシステムを持って帰ると啖呵を切ったのはこの時だけです。
胃が縮むのが分かりました。
ところが‥
メーカ担当: 「ちょっと待ってください。 社長さん、持ち帰りますので、もう一度チャンスをください!」
驚くわたしに、彼はもう一度頑張りますとうなずき、関係者を納得させました。
‥そして3ヶ月後‥ 日経新聞の全段に載りました!
真中にY社長と奥さまが自社商品を持ってにっこりと笑う写真が‥
そのメーカーに取っても前代未聞の広告でした。
‥そしてさらに1年後‥
急激な業績拡大の中で、在庫を持ち過ぎて会社は倒産してしまいました。
ざーけんなよ!
後にも先にもこんなに強烈なワンマン社長はこれきりです。
どうやら5つのスキルのうち1つだけが突出してもマズイようです‥
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたに、今日はわたしが出会ったお金持ちのエピソードです。
若かりし時代はITシステムの営業マンとして中小企業の社長さんに会う機会が意外とありました。
みなさん お金の5つのスキル がとてもバランス良く‥
とはいかず、実に個性的な方が多かったです。
経営者ですから当然ビジネスで「稼ぐ力」はありますが、逆にその部分だけが突出した方も‥
わたしが金沢勤務時代に出会った「超ワンマン社長」です。(仮にY社長としておきます)
このY社長、会社設立8年で年商200億!を達成しマスコミでも取り上げられました。
野性的なカンと強力なリーダーシップ、斬新なビジネスモデルで業界に旋風を巻き起こしました。
出会ったのは会社設立5年目の頃、ぐんぐん伸び始めた時です。
担当者と常務からITシステムの相談がありました。(約5000万円の商談だったと思います)
常 務: 「社長が日経新聞の全段広告に載りたい、と言ってるんだけどなんとかなりませんかね?」
わたし: 「 ???? 」
当時、とある外資系ITメーカーが社長シリーズという連載広告企画をやっていました。
そのメーカーの社長とユーザー企業の社長が、システム導入の経緯や効果について対談するというもの。
どーん、と二人の顔写真が対談と共に日経新聞の全段ぶち抜きで掲載されていました。
天下の日経新聞ですからユーザー企業としては宣伝効果も高いです。何より写真付き! 目立つ、目立つ‥
これを見たY社長、 「俺もこれに出たい!」
見事なワガママっぷりです。
日経の全段と言えば、当時(約25年前)で約1500万円の掲載料だったと思います。
どう考えても億円単位の商談規模でないと釣り合いがとれません。
しかも掲載企業は上場企業か歴史のある会社ばかり… どうアピールしても、選考されるはずがありません。
会社の急成長でシステム刷新は急を要します。購入にはY社長の無理難題に応える必要があります。
常務さんもはたと困ったという訳です。
前代未聞のリクエストです。丁重にお断りしようと思いましたが、担当者と常務はほとほと弱り果てています。
わたし: 「うーん…確約は出来ませんが、出来る限りのことはしてみます」
ここから苦難のドラマが始まります。
わたしは、連載企画をしていた外資系メーカーとはライバルにあたる国産メーカーの販売店という立場でした。
(外資系よりは無理が効くと踏んだのかもしれません)
まずはメーカーの金沢支社を窓口に本社の宣伝部に掛け合ってもらいました。
障害になったのは金額ではなく、企画そのものでした。
大きな会社では当然ながら広告宣伝のポリシーと戦略があります。
宣伝担当: 「急に企画上げられても困るんですよね~ もう年度計画は決まってますし‥」
わたし: 「そこを何とか‥ 効果あると思うんです。」
当然のことながら難航します。 進捗は逐一、常務さんに報告していました。
幸い、メーカーの担当者が非常に好意的で粘り強く宣伝部を説得してくれました。
半年以上の交渉の結果、次年度の計画に押し込むことに成功したのです!
そしてY社長がワガママを言い始めてから1年半後、いよいよゲラ刷りが上がりました。
客先の大広間にY社長、常務、担当者、わたしとメーカ担当者、そして東京本社の制作スタッフが揃いました。
メーカ担当: 「社長さん、長い間お待たせいたしました。 原稿が出来上がりました。」
ようやく完成した新聞広告のゲラ刷りを渡します。みんな期待に満ちています。
原稿を一瞥したとたんY社長の顔色が変わります。
「だめだ!こんなもの。 気に入らん!」 原稿を丸めて放り投げます。
空気が凍りつきます。
原稿は日経の全段ではなく、2/3でした。 真中にあるのは顔写真ではなく上品なイラストでした。
わたし: 「社長さん、ご希望とは違うかもしれませんが、これが出来る精一杯なんです。 ご理解いただけませんか?」
Y社長: 「だめだ! 話が違う! 約束したはずだ!」
わたし: 「出来るだけのことはしますと申し上げましたが、出来ますとはお約束していません!」
Y社長: 「なにー! 嘘をつけ!」
わたし: 「嘘ではありません。 常務さんには始めからお話しています。」
Y社長: 「本当か! 常務!」 常務を振り返りました。
常務さんは俯いたままで無言です。
Y社長: 「話にならん! 持って帰れ!」
これまでの1年半の苦労が頭をよぎります。 関係者がさんざん苦労したのはよく知っています。
関係者にこれ以上迷惑はかけられません。もはやこれまでと観念しました。
わたし: 「分かりました。 持って帰ります!」
都合30年にわたる営業マン生活で、一度納品したシステムを持って帰ると啖呵を切ったのはこの時だけです。
胃が縮むのが分かりました。
ところが‥
メーカ担当: 「ちょっと待ってください。 社長さん、持ち帰りますので、もう一度チャンスをください!」
驚くわたしに、彼はもう一度頑張りますとうなずき、関係者を納得させました。
‥そして3ヶ月後‥ 日経新聞の全段に載りました!
真中にY社長と奥さまが自社商品を持ってにっこりと笑う写真が‥
そのメーカーに取っても前代未聞の広告でした。
‥そしてさらに1年後‥
急激な業績拡大の中で、在庫を持ち過ぎて会社は倒産してしまいました。
ざーけんなよ!
後にも先にもこんなに強烈なワンマン社長はこれきりです。
どうやら5つのスキルのうち1つだけが突出してもマズイようです‥