投資信託はどう選ぶ?(3)「大きいことは良いことだ」のその後を検証する

May 26, 2020

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

約6000本という膨大な投資信託の正しい選び方を考えるシリーズ、三回目です。

良い投資信託の条件の一つとして、「資産残高を順調に伸ばしているもの」というのがあります。

ということで、今回は資産残高が大きく、且つ伸ばしているファンドのその後を追跡してみたいと思います。

具体的には投資信託の総合情報サイト「投信資料館」に掲載されている「国内最大ファンドランキング」の上位30銘柄に着眼し、調査することにしました。

まず2010年12月の上位ランク30商品で、2011、2012年と運用資産を伸ばしているものをピックアップし、最近の成績をチェックするという手順です。

ところがビックリ!
2010年から2年連続で資産を増やしているものが、わずか2銘柄しかありません。30本中にです…。

1.フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド  …米ドル建て高利回り事業債に投資

2.高金利先進国債券オープン(毎月分配型):月桂樹…「高利回り先進国債券ファンド 」を通じ、ソブリン債や社債、CPなどに投資

2銘柄しかないというのも驚きですが、どちらも債権というのも時代ですね。

2010年といえばリーマンショックの傷もまだ癒えぬ頃。株式市場には資金が流れず、高金利の債権にシフトしていたと考えられます。アベノミクス効果も本格的には2012年から。

ただ高金利債権といえばリスクも高いため敬遠される気もしますが、高利回りという言葉の魔力でしょうか…。

2本だけの追跡ではつまらないので、連続で伸びている訳ではないが組成方針に妥当性がありそうで、その後も期待できるものを独断で4本追加することにしました。

以下の4本です。

3.財産3分法ファンド「不動産・債券・株」(毎月分配型) …国内不動産投信25%、海外債券50%、国内株式25%に分散投資

4.DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算):ハッピークローバー …高格付資源国の公社債(カナダ、豪、ニュージーランド、ノルウェーなどのAA以上の債権)

5.マイストーリー分配型(年6回)Bコース   …世界の債券、国内外の株式を対象とする投資信託証券を通じ、インカムゲイン+キャピタルゲインの獲得を目指す

6.野村世界6資産分散投信(分配コース)   …国内および外国の債券、国内および外国の株式、国内および外国のREITにバランスよく投資

この当時は債券系やREITが伸びていた時代の様で、株式型はなく3本がバランス型です。リーマンショックに懲りて安定成長狙いの時代だったのでしょうか。残る資源国の公社債というのも魅力的な気がします。

ベンチマークとしては前回同様、MSCIコクサイに連動する、ニッセイ外国株式インデックスファンドをチョイス。

選定した6本のその後(2017~2019年の3年間の成績)をベンチマークと比較することにしました。分配金込価格と純資産残高の3年間での増減率の比較です。

(その後驚異的な伸びをみせ、今では残高5000億を超す「ひふみ投信」は当時はまだランクインしてませんでした)

■ 運用資産残高上位 追跡調査

投資信託_資産残高上位
選定した6本全て分配金型(毎月、隔月)というのはやはり時代でしょうか。

分配型は複利効果も無く、税効率も悪いのでお得とは言えないのですが、今も昔も高齢者には人気があります。

定期的に分配がもらえるのが嬉しいという心理は理解できますが、普通分配と特別分配の違い等は分かっているんでしょうか? メリット、デメリットを理解して買っているならいいんですが…。

さて、分配金込価格と純資産残高の増減率をみてみましょう。

分配金込み価格はなんとか5本がプラスですが、なんとも上昇幅が少ない。+10%越えはフィデリティ・USハイ・イールドと財産3分法の2本だけです。
ベンチマークが3年で約36%上昇していることと考えると物足りない限り。

純資産残高に至っては殆どが3年間で減少です。

唯一、財産3分法ファンドだけが2指標共にプラスです。ただバランス型だけに大きなリターンは望みにくい理屈はありそうですが、ベンチマークとの見劣り感は否めません。

国内最大ファンドランキングの上位といえば、過去に大いに売れた商品でもあります。
必ずしも長期的にインデックスに勝るとは限らない商品が、何千億もの残高というのは、売る側の力なんでしょうか、それとも買う側の勉強不足か…。

運用残高が大きいからと言って、何時までも好調という訳ではない。
その時代の人気によって商品が選ばれているのが実態。
これが今回の結論のようです。

アクティブファンドの選び方に何か蓋然性のある手法は無いか? と始めた本シリーズですが、アクティブファンドの良さがなかなか見えてきません。

毎回「インデックスが最強説」を裏付ける結果になっています。
もう少し、なにかいい購入尺度はないか考えてみます。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなく、あくまで個人的な見解に基づく記事です。

投資信託はどう選ぶ?(2) 「プロが選んだ優良商品」のその後を検証する

Apr 29, 2020

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
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投資信託の正しい選び方を考えるシリーズ、二回目です。

約6000本と数が多く、どれを選んでいいか分からない投資信託。
それなら、プロが選んだ優秀な商品なら間違いないはず。何しろ金融機関の人たちは専門家なんだから…。

ということで今回は、広範な情報提供で定評のあるモーニングスター社の選ぶ「ファンド・オブ・ザイヤー」に輝いた、いわばプロがお墨付きを与えた商品のその後を追跡することにしました。

毎年、国内の追加型株式投資信託を対象に、リスクやリターンといった定量面と、運用調査体制等の定性面の両面から、優れた運用実績とマネジメント体制を持つファンドを『Morningstar Award “Fund of the Year”(ファンド オブ ザ イヤー)』として選考し、表彰しています。

受賞はその年の運用成績等が優れた上位約1%で、且つ長期的なパフォーマンスも考慮される、としています。1999年から毎年発表している権威ある賞です。表彰は国内株式型部門、国際株式型部門、債券型部門、バランス型部門など多くの部門からなっています。

そのうち、国内株式型部門、国際株式型部門の2部門から 2010年、2011年の上位各2本(計4本)を追跡することにしました。

「良いファンドは長期的に安定した実績をあげるはず」

この仮説に基づき、表彰から時間の経過した2017~2019年の3年間の成績をベンチマークと比較することにしました。分配金込価格と純資産残高の3年間での増減率の比較です。

■ 日本株部門

投資信託ファンドオブザイヤー_日本株
表彰された4本は以下の通りです。

1.ストラテジック・バリュー・オープン 「真価論」…割安性評価と実力評価で国内の株式を厳選。

2.損保ジャパン・グリーン・オープン 「ぶなの森」…「環境経営」を基に割安度が高い銘柄を選定。

3.JFザ・ジャパン …利益成長性が高く、株主を重視する企業に投資。

4.三菱UFJ グローバルイノベーション 「ニュートン」…イノベーションに挑戦する日本を含む世界の株式。

ベンチマークは対象商品の多くがTOPIXを意識していることから、eMAXIS TOPIXインデックスを選定。誰でも買える、分かりやすい商品です。(後継商品eMAXIS Slimの販売により資産残高が分散されたことから、純資産残高は合算して計算しています)

増減率を見てみると、分配込価格では4商品ともにプラス、+12.6%から+36.8%まで。それなりの成績のように見えますが、ベンチマークとの比較ではなんと全敗!

純資産は2銘柄が減らし、残る2銘柄も、7~13.8%と大きな増加ではありません。
対してベンチマークは3年で約35%増と順調な増加。

ファンドの構成情報をみると、割安性評価と実力評価、環境経営にイノベーション。もっともらしく感じますが、プロの考えた選定基準でも単純なインデックスにはなかなか勝てない、という結果になりました。

インデックスに比べて4~5倍の信託報酬を取っているアクティブファンドですが、残念ながら高い手数料の根拠は無さそうです。

ということで、日本株部門はインデックスの圧勝!

■ 国際株部門

投資信託ファンドオブザイヤー_国際株
国際株部門はこの4本。

5.PCA インドネシア株式オープン …インドネシアの株式に投資。

6.netWIN GS・インターネット戦略ファンドB …ITの発展により恩恵を受ける米国企業。

7.DIAM世界好配当株オープン(毎月決算)「世界配当倶楽部」…平均配当利回り、地域配分、業種配分等を考慮した日本を除く世界各国の好配当株式。

8.アメリカン・ドリーム・ファンド…米国小型成長株。4つの投資資格(企業優位性、高シェアと利益率、売上成長力、有能な経営陣)対象約300社から20-60社へ厳選。

ベンチマークとしてはMSCIコクサイ・インデックスに連動するファンドとして安価で知られる、ニッセイ 外国株式インデックスファンドをチョイスしました。

各ファンドの情報をみると、とても魅力的なファンドが並んでいます。

「インドネシアの成長に期待するのも面白いなあ。」
「これからの時代、ITに着眼する視点はいいよね。」
「高配当銘柄なら確実な成長が期待できそう。」
「厳選された米国小型成長株。ぜったい魅力的だよね。」
わたしも思わず買いたくなります。

さて、成績はどうでしょう?
おっ!? 素晴らしいファンドがありました!

netWIN GS・インターネット戦略ファンドB名称変更で今は、netWIN GS・テクノロジー株式ファンドB)です。

分配込み価格は3年で75%を超える上昇! 純資産は10倍を達成しています。ベンチマークと比べても見事な成績です!

他の3本は?と言うと、 とほほ…。
一応プラスではあるものの、ベンチマークの35.9%には遠く及びません。

純資産に至っては、3本とも大幅減少。約4割減が2本と早期償還も心配されるほどの減少ぶり…。
これではインデックスの10~20倍にもなる信託報酬に意味はありません。

唯一の好成績の GS・インターネット戦略ファンドについては、あくまで3年間の比較なので、今後も継続的にアウトパフォームできるかを注目したいところ。この成績を維持できれば、手数料が約20倍といっても納得かもしれません。

実は調査前は、さすがにファンド オブ ザ イヤーともなれば、もう少し継続して優秀な成績をあげるファンドが多くあると期待していました。ある意味、とても残念なこと…。

これでは、猿のダーツ投げで選定した銘柄構成よりも、プロが運用するアクティブファンドの方がリターンが劣るという、『ウォール街のランダムウォーカー』の有名な一説を裏付ける結果です。

たったこれだけの調査で断定はできませんが、毎年多くのアクティブファンドが組成されますが、勝率は決して高くはないようです。ましてや購入者が選定するのは至難の業。

無闇にラインナップを増やすことで却って分かり難くし、自らの首を絞める結果になってしまっている気もします。 米国のバンガード社はインデックス系の個人販売に注力してて、いまや500兆円を超す資産残高になっているんですが…。

プロが選ぶ優良ファンドでも、インデックスには容易には勝てない

これが今回の結論でした。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です。

投資信託はどう選ぶ?(1) 「売れ筋商品」のその後を検証する

Mar 29, 2020

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

投資や資産運用で最初の選択肢に挙がるのが投信信託。
プロに運用を任せるから安心、素人でも始められると言われます。

ところがいざ購入しようとすると、皆さん頭を抱えて「どれを選んでいいのか分からない」という嘆き。

なにしろ数が多い!国内だけでも約6000本です。残念ながら商品情報は溢れていますが「正しい選び方」の情報はいたって少ない。

そこで投資信託の正しい選び方を色々考えてみることにしました。
今回は「売れ筋情報は参考になるか」ということを検証してみます。

金融機関で「このファンド、今売れてるんですよ~」と言われ、思わず買った方も多いはず。

(売れている商品 = 良い商品)という関係式がが成り立っていれば何の問題ありませんが、金融商品では…??。

■ 過去の売れ筋商品は?

検証として「過去に売れていた商品が、その後どんなパフォーマンスか?」をテーマに10年前の売れ筋商品のその後を調べてみることにしました。

いざやってみると、これが意外と難しい…。

例えば、投資信託協会に統計データがありますが、ファンド合計値の推移などで、個別銘柄の数字がありません。

モーニングスターに「投資信託への資金流出入速報」というのがありますが、月次の速報で年間ランキングはありません。同じく「ファンド別資金流出入ランキング」には最新の月間ランキングはありますが、過去データを探せません。(執筆時点)

証券各社がバラバラに売れ筋を発表しているため、統一性が無く全体比較ができません。
しかも3~5年程度の情報が主で長期のデータが少ない。(リスク、リターン、シャープレシオなど) 個別銘柄毎に調べるしかなく、比較がとても大変です。

仕方がないのでWebで見つかった2010楽天証券買付ランキング、2012上半期楽天証券買付ランキング、2013上半期資金流入ランキング(投資信託ニュース)などから下記6本をチョイス。検証してみます。

投資信託_売れ筋商品調査

1.楽天日本株トリプル・ブル
2.フィデリティ US ハイイールド・ファンド
3.野村 日本ブランド株投資(ブラジルレアル)
4.ピクテ グローバルインカム株式・ファンド
5.ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース、毎月分配型)
6.アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)

なかなか(?)のラインナップで、見事に月次分配型が並んでいます。
楽天日本株トリプル・ブルもかつては分配していたようですが、最近はリターンが悪く分配無しの様子。

ブラジルレアルにトルコリラ…。昔はこんなのが売れてたんですね、嗚呼…。

2010~2012年頃はリート(REIT:不動産投資信託)が数多くランクインしていますが、株式系の投資信託とは少し性格が異なるため検証からは除外しました。

バブル崩壊で2010~2011年は不動産市況が悪くREITも下落したため、相対的に分配金利回りが6%程度に上昇した時代です。割安感で売れ始めた時代なんですね。このこと自体は蓋然性はあります。
(今はコロナショックで下がっているので、REIT購入にいい時期かもしれません)

ランキングとは別に、グローバル・ソブリン・オープン(略してグロソブ)を追加しています。

これは1997年12月に登場し一世を風靡した人気ファンドで、2007~2008年には6兆円近くの資産残高を誇りました。2002年から12年間投信純資産高首位の座をキープ、月次分配型を世に広めた立役者です。

これらの計7本を検証します。

ベンチマーク(比較対象)としては、パッシブ型(インデックス系)の代表として人気のある「ニッセイ 外国株式インデックスファンド」を選びました。

マザーファンド経由でMSCIコクサイ・インデックスに連動するもので、新興国と日本を除外した、いわば先進国株式連動ファンド。

■ 売れ筋商品の検証

検証としては
 ・分配金込み価格
 ・純資産残高
の最近の増減をチェックします。これらを順調に伸ばしているのが良い商品という判断です。

証券会社の投資信託部門にいた知人曰く、「純資産残高を長期にわたって伸ばすファンドが良いファンドだが、実際は殆どないよ。」

2017末と2019末を比較、直近2年間のパフォーマンスです。
(もっと長期間での比較が良かったかもしれません)

売れ筋商品はインデックス系と比較して、さてどの程度優秀なのか?

ベンチマークの「ニッセイ 外国株式インデックスファンド」では2年間で価格は14.55%の上昇。純資産は102.88%アップとほぼ倍増!米国株高を背景に順調な成長が伺えます。

では、他の7商品は…?

どれもコストに当たる信託報酬はベンチマークの10倍以上。販売側にとって、儲かる商品であることが分かります。これでも以前に比べれば随分下がりました。1%程度は仕方がないとみるか?

肝心の分配金込み価格をみると、2年間でマイナスになっているものが2本。
増やすつもりで減ったのでは何のための運用か?

上昇率がベンチマークを上回ったものは「ピクテ グローバルインカム株式・ファンド」のみです。

こちらはマザーファンド経由で世界の高配当利回りの公益株(電力、鉄道、通信など)に投資するもの。

純資産増減に至ってはなんと6本が減少です。
利回りが低くなったため購入より解約が多く、資産を減らしたことが分かります。

グローバル・ソブリン・オープンは25%のダウン。それでもまだ4100億円とかなりの規模ですが、ピークの約6兆円と比較すると十分の一以下! とても残念な現状です。

純資産増減についても同じく「ピクテ グローバルインカム株式・ファンド」のみが増加しています。

純資産増加率はベンチマークほどでもありませんが、22.47%の価格上昇は魅力的です。10倍の信託報酬に見合うか?

「高配当利回りに注目する」というのは説得力のある手法ということかもしれません。この着眼点で、VYM:米国高配当株式ETFなどと比較してみるというのもありそうです。

結論としては
売れ筋ランキングはほとんど当てにならない」でした。
売れている商品は必ずしも優良ファンドとは限らないということ。まあ、予想通り。

随分と情報公開が進んだ金融投資ですが、まだまだユーザーが本当に必要な長期の情報が少ない、という印象です。

3~5年ではなく、10年分の情報は欲しい。チャートを示すだけでは正しい情報公開とはいえません。

単なる商品情報だけではなく、選び方の啓蒙もやって欲しいもの。

FP自身のスキルアップは勿論ですが、皆さんも投資は危険とか、難しいとは言わず、しっかり研究しましょう。
正しくデータで考えたいもの。

お金に働いてもらえば、人生二馬力、三馬力!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です

管理人プロフィール

やんつ写真

やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
Webディレクター

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