投資信託はこう選ぶ(8) インデックスとインデックスファンドについて

Jul 29, 2021

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
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フリーランスの宮田(50代、女性)さんを迎えて投資信託についてご説明しているシリーズです。

宮田さん、ここまで投資信託はこう選ぶ NISA、iDeCoの正しい選び方(3)(4)(5)
国内外のインデックス(指標)に連動したファンドを選びましょうという話をしてきました

宮田 「はい。」

今回は復習として、インデックスについてもう少し掘り下げてお話しますね。
そもそもインデックスって何でしたっけ?

「えーっと、市場の動きを表している指標のことですよね。」

そうですね。世界中にある色んな金融市場を継続的に測定し、指数化した数字で、主に株式市場が中心ですが、債券やREITなども指数化されています。

■インデックスの種類

株式市場に関して、具体的にどんな指標があるのかまとめてみました。

インデックス種別と商品選定

表を見てください。まず対象にする地域や国で分類(投資地域分類)するのが一般的です。
全世界をカバーするものもあれば、先進国というグループや新興国というグループの指標もあります。

とうぜん単一国を測定したものもあり、米国や日本が中心です。

宮田 「その他の国もあるんですか?」

この表には記載していませんが、もちろん英国やドイツ、フランスもありますし、新興国ならブラジルやインドもあります。

ただ人気のあるのは米国や日本で、その他の国はベテラン向けといえるでしょう。

世界の金融市場を指数化している会社は色々あるんですが、主要2社の計測値が有名です。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)とFTSE(フッツィーインターナショナル)です。

MSCIは米国でFTSEはロンドンです。いわば世界の2強ですね。その他、CRSP(シカゴ大学証券価格調査センターで開発された指標)を採用しているファンドもありますが、数は多くはありません。

投資信託の商品数は多いんですが、元となるインデックスは同じものを採用しているんです。販売会社毎に名前を変えて売っているんですよ。
全く同じお煎餅でも、別々の会社が自分たちで袋詰めしてそれぞれで名前を付けて売っているようなものですね。

先進国でMSCIコクサイという有名な指標がありますが、これを採用しているファンドが数多くあります。

楽天証券の投信スーパーサーチでグローバル(除日本)のインデックスファンドの純資産上位5本(2021/07/28現在)を見ると、なんと全部がこのMSCIコクサイ連動なんですよね。

「えーっ、5本ともですか!? 指数が一緒なら、値動きも一緒ですよね???」

そうですね。マザーファンドによって微妙な差はあるかもしれませんが、ほとんど同じパフォーマンスになります。

ただ手数料(信託報酬)は各社で異なります。同じお煎餅でも、100円で売ったり、110円で売ってたりするわけです。

宮田 「中身が同じなら、安い方がいいですう。」

(笑) 中身が同じなら、当然手数料の安いものを買う方がお得ですよね。

宮田 「うーーん。商品を検討する場合、基になっているインデックスについて調べることが重要ってことなんですね。」

その通りです。順番としては先に商品を見るのではなく、どの投資地域がいいのかを決めた上で、その地域を対象としているファンドを絞り込んで、うち手数料の安いものにするという流れですね。

■インデックスファンド

さてインデックッスについてみた後は、インデックスファンドについてみてみましょう。

インデックスとインデックスファンド

インデックスファンドはインデックス(指標)と同じような値動きをするように作られた投資信託ですが、実は比較的歴史は浅いんです。

元々業界ではアクティブファンドしかなく、高いパフォーマンスを目指すという触れ込みで投資家を募ってました。各社のファンドマネージャー達が、「うちの方が利回りがいいよー」と運用成績を競っていたわけです。

インデックスファンドという概念はあったものの、面白みがなく、差別化も難しいため、証券会社は力を入れてなかったんですよ。

宮田 「アクティブファンドが本当に高い利回りになるんなら、買ってみたいですう。」

(笑)

気持ちは分かります。ところが、実際には市場平均をコンスタントに上回ることは難しく、長期的に高い利回りを実現するファンドはごく少数というのが現実なんです。

1973年、バートン・マルキールが著書「ウォール街のランダム・ウォーカー」で、「個人投資家にとっては、ファンド・マネジャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買って待っているほうが、遥かによい結果を生む。」と説きました。
この本は今でも、積立投資家のバイブルと呼ばれている名著です。

この考え方を実際に商品化したのがバンガードの創立者、ジョン・クリフトン・ボーグルです。

1976年に個人向けの「ファースト・インデックス・インベストメント・トラスト」(現在のS&P500インデックス・ファンド)という、世界初のインデックス・ファンドを発売しました。
それまでのファンドの経費率が約2~3%だったのに対し、年間わずか0.5%の経費率を実現したんですよ。

「へーっ、すごく売れそう。」

ところが、高利回りを目指すアクティブファンドに比べて地味な利回りに見えるため、発売当初は人気がなく、なかなか販売が伸びなかったんです。

それでも6年後の1982年、運用資産が1億ドルを突破しています。
その後、ETFという新商品も取り入れ、じわじわと販売を伸ばし、特にリーマンショック以降安定した実績が評価され、爆発的に残高を伸ばしました。

今では約7.3兆米ドル(2021年2月末時点)という運用残高になっています。

iシェアーズ(iShares)シリーズETFで有名なブラックロック社の運用資産残高が9.49兆米ドル(2021年6月末時点)でこの2社が運用会社のトップ2です。

続いてState Street Global(SPDRシリーズ)やFidelity Investmentsという運用会社がありますが、2社には大きく差を付けられています。

日本のインデックスファンドも、結局この2社のETFをベースにしている場合が多いんです。eMAXIS slimシリーズや、SMTシリーズ、iFreeシリーズなど色んな商品となって出ています。

こういった背景を知っておくと、商品を選ぶときに自信を持って選べるようになると思います。

宮田 「たくさん投資信託があっても、基をたどればごく少数なんですね~。」

さてシリーズでは「NISA、iDeCoの正しい選び方」ということでご説明してきましたが、普通に投資信託を買う時でも、結局考え方は同じなんです。NISA以外で投資信託を買う場合も、ご説明したような商品の選び方でいいんですよ。

宮田 「なんだか積立NISA以外でも運用したくなってきました。」

(笑)

運用原則として、
「インデックスファンドを買う=市場の成長とともに資産が増える」を理解すれば、投資は怖いものではありません。

わたしがいつも言っている「10年で1.5倍増を狙える資産運用の基本」がこれなんです。

自分が成長すると思う市場(インデックス)を好きに買えばいいんです。日本の成長に自信が持てなくても、世界全体という選択肢もありますし、先進国や、米国という選択肢もあります。

世界が資本主義である以上、この運用原則は変わりません。

さて、投資信託のご説明も大体終わりです。次回は、最後に積立投資の注意点をお話しますね。

「そっか、注意点も聞いておかないと、ですね! 次回も楽しみにしてます。」

お金を味方に付ければ、人生二馬力、三馬力!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です。

投資信託はこう選ぶ(7) 投資信託のコストについて

Jun 30, 2021

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

フリーランスの宮田(50代、女性)さんを迎えて、投資信託についてご説明しているシリーズです。iDeCoを入口に投資信託全般を解説しています。

宮田さん、今回は投資信託のコスト構造についてお話しますね。

宮田
「はい! よろしくお願いします。」

■ 投資信託のコスト

まず投資信託の概要図をご覧ください。

投資信託の概要図2021
一般的に投資信託は一口1万円で設定され、運用益を再投資しながら資産を増やしていきます。赤字がコスト関係で、金融機関に支払うものと税金があります。

金融機関に払うコストは次の3種です。

・購入時⇒ 販売手数料
・保有時⇒ 信託報酬
・売却時⇒ 信託財産留保額

宮田さん、どれが一番重要だと思いますか?

宮田
「販売手数料と信託財産留保額は、買った時と売った時のコストなので1回だけですよね。だとすると、毎年かかる信託報酬が重要なんじゃないでしょうか?」

大正解です!

特に中長期の資産形成では、長く投資信託を保有しますので毎年かかるコストがとても重要になってきます。しかも、金融機関同士の競争もあって販売手数料と信託財産留保額は無料の商品も多くなっています。

以前のブログ 資産運用実践記(3) 投資信託はこうして買う!? 投信はコスト!コスト!コスト! でもこの辺りを説明していますので、良かったら読んでみてください。

さて、宮田さんがiDeCoで購入している2本をみてみましょう。

宮田 「はい。」

たわらノーロード先進国株式 の信託報酬は 0.10989%ですね。
楽天全米株式インデックス・ファンドは 0.162%程度とあります。
販売手数料、信託財産留保額は、さすが楽天証券ですね。いずれも無料です。

宮田「この信託報酬0.10~0.16%というのは安いんですよね?」

以前は安価なパッシブ型でも0.5~1.0%程度でしたから、十分に安価な水準です。2014年頃から運用会社の競争が激しくなり、どんどん下がったんですよ。今では5分の1程度です。

いずれにせよ、コストの安い商品を選ぶのは大切です。低金利で運用益を上げにくい時代です。やっと4%の収益が出ても、1%のコストが引かれては最終リターンに大きく影響しますからね。
なにしろ 将来運用益は未確定ですが、コストは確定です!

比較としてアクティブファンドもみてみましょう。
楽天証券のインデックス系以外の投資信託で純資産残高のトップは「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)」です。

どれどれ……、信託報酬は1.727%ですね。

宮田「うわっ⁉ パッシブ型の10倍以上ですね。高かっ!」

アクティブファンドはどうしても高いんです。これでも安くなったんですよ。以前は2.0~3.0%というのが当たり前でした。銀行などで紹介されるお薦め商品で、信託報酬が3.0%ということも珍しくなかったんですよ。

販売手数料、信託財産留保額は無料ですね。これもネット系の楽天証券ならではかもしれません。総合証券ならまだまだ有料の場合もありますよ。

宮田「成績はどうなんですか?」

このファンドはベンチマークのS&P500をコンスタントに上回っているようです。かなり優良なアクティブファンドかもしれません。
もう少し慣れたら、こんなアクティブファンドを調べて、多少ポートフォリオに組み込んでもいいかもしれませんね。

宮田「えーっ! 調べるのが大変そう…。自分だけではとても自信ないですう。」

(笑)

■ 税金と分配金

金融機関以外のコストは購入者に選択の余地がないんですが、一応知っておきましょう。
まず、税金関係ですね。

・売却時⇒ 所得税(20.315%復興特別税含)
・分配時⇒ 所得税(普通分配のみ)

まず、売却時に譲渡益があれば譲渡所得としての所得税対象となります。
もちろん損失が出れば、税金はかかりません。

次に、分配金に関する所得税ですが、分配金には2種類あり、普通分配金特別分配金があります。

宮田「毎月分配金がもらえるとかいう投資信託を聞いたことがあります。」

普通分配金とは運用収益から支払われる分配金で、元が利益なので当然所得税の対象になります。

特別分配とは元本を取り崩して支払われる分配金で、利益ではないので所得税の対象にはなりません。

宮田「??? ということは、毎月5千円、1万円の分配金があると喜んでいても、元本を崩しているだけってこともあるんですか?」

そうなんです。実際に先ほどの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型」の運用報告書をみてみましょう。

分配金内訳_米国成長株投信

7ページに「分配原資の内訳」がありました。
当期分配金の「当期の収益欄」にあるのが普通分配で、「当期の利益以外」の欄が元本取り崩しです。

8月18日~欄に「当期の利益以外」200円とあります。翌期繰越分配対象額が前月の2151円から1952円に減っているのがわかりますね。
つまり分配金の200円分、残高が減っています。

あらら、この報告書の6か月のうち半分の3か月で特別分配を使っていますね。

宮田「えーーーっ、毎月の分配金で喜んでいても、ただのタコの足食いってことですか! こんな数字気がつかないですう。」

実は、2012年に法改正されるまでは内訳表示義務がなく、分配金合計額の表示だけのファンドも多かったんですよ。普通分配なのか特別分配なのか、購入者には分からなかったんです。

宮田「ひどい…。」

今は、こうやって内訳が表示されていますが、それでも運用報告書をじっくり見ないと、簡単には分かりません。とても初心者が読めるような代物ではありませんね。

このことも、以前のブログ 利益による分配はたった3割! 毎月分配型投信の事実(1) に書いていますので、良かったらどうぞ。 この時の調査では普通分配はたった3割しかありませんでした。

もう一度、概要図を見て欲しいんですが、そもそも投資信託は運用収益を再投資して資産を増やしていくものです。

いくら収益が出ても、都度分配金を出していたのでは資産が増えにくくなります。その意味でも、分配型は中長期投資には不向きといえます。

高齢者がお小遣い代わりに分配型を買うのはいいんですが、ちゃんと意味を分かって買って欲しいんですよね。

宮田「うーーん。買ってる人が理解しているとはとても思えません。」

■ iDeCoのコスト

最後にiDeCo特有のコストについても知っておきましょう。

NISAは普通の投資信託とコスト構造は同じなんですが、iDeCoには特有のコストがあります

iDeCoは国の年金制度の一部なので、国民年金基金連合会への報告義務があり、その分の事務負担金が発生するんです。

まず加入時ですが、国民年金基金連合会分が 2,829円必要で、プラスその金融機関の手数料が
発生します。(202106執筆時)

プラス部分の金融機関管理費は各行で異なりますが、200~500円程度が多いようです。
楽天証券は0円のようですね。

宮田「楽天証券を選んで良かったですう。ほっ」

保有時のコストは投資信託なら信託報酬はもちろん必要ですが、やはり国民年金基金連合会関係の負担も発生します。

・国民年金基金連合会分 105円(月額)
・事務委託先金融機関(信託銀行)分 66円(月額)
合計で年間2052円が最低でも必要になります。

年間約2000円というのは、iDeCoの積立額が小さいため最初はコスト負担が気になります。
ただ良いのは、このコストは絶対額のため、3年、5年と積立総額が大きくなれば、相対的に小さな負担になっていくということ。残高が数十万円になれば、たいしたコストではありません。
信託報酬のように「残高×%」というコスト構造でないところが嬉しいところですね。

宮田「じゃあiDeCoの場合、信託報酬以外は気にしなくていいということですね。安心しました。」

この辺りも、以前のブログ 資産運用実践記(4) 投資信託はこうして買う!? 特別分配金と普通分配金  に書いています。

投資信託のコストについてはここまでです。信託報酬が最重要!、と覚えてくださいね。

宮田「今日も、ありがとうございました。」

お金を味方に付ければ、人生二馬力、三馬力!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です。

投資信託はこう選ぶ NISA、iDeCoの正しい選び方(2)

Jan 30, 2021

人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

iDeCoの正しい商品の選び方について、フリーランスの宮田(50代、女性)さんを迎えての引き続きのご説明です。

少し時間が空いてしまいましたね。前回の話は覚えてますか?

宮田
「資産(アセット)クラスという分類を教えていただきました。運用の対象として株式、債券、REIT(不動産投資信託)、コモデティ・金などの種類があるんでしたよね。」

そうですね。対象地域でさらに国内、先進国、新興国などでも分類されています。

今回は投資家向け情報提供で定評のあるモーニングスター社のデータでご説明します。

アセットクラス別リスクとリターン
表をみてください。
これは、2008年から2020年までの13年間の資産別平均リターンとリスク値をわたしが集計したものです。これでどんな資産に投資するのがいいのか考えてみましょう。

平均リターンは13年間の単純平均利回りで、リスク値は変動幅を表します。
リスク値の意味については、少し難しいので今度ゆっくり解説するとして、平均リターンが高くてリスク値が低いのが優良な投資対象と覚えてください。

この表から何がわかりますか? 宮田さん、少し考えてみてください。

■ 資産(アセット)クラス別リスクとリターン

まず株式をみてみましょう。こうなってますね。

《株式》13年間平均リターン、リスク値
・国 内 4.0%、21.5
・先進国 8.2%、22.0
・新興国 4.8%、32.1

「日本はあんまり経済成長してない印象があるんですが、4.0%も利回りがあるんですね!」

そうですね、日本株式は2012~2015年のアベノミクスで大きく値を上げていますので、それを反映した数字です。

「先進国って8.2%ですか! ちょっと驚きました。」

リーマンショック以後日本の株式も悪くは無かったんですが、米国を含む先進国では実はもっと成長してたことが分かります。

先進国株式と国内株式はリスクが同程度ですから、投資するならよりリターンが高い先進国株式が良さそうということが分かりますね。日本の経済成長がこれから大きく見込めるなら別ですが…。

「うーん。将来の成長期待は米国や先進国の方がありそうな気がします。日本は対象外にしちゃいましょう!」

あはは、宮田さんだけじゃなく皆さん日本については悲観的ですなんですよね~。

新興国株式については、リターンは国内株式よりやや良かったという結果ですがやはりリスクが高いですね。この辺は、好みで少しポートフォリオに組み込むかという感じでしょうか。

次に債券を見てみましょう。

《債券》
・国 内 0.9%、1,2
・先進国 -0.9%、5.2
・新興国 -1.7%、7.7

「あれっ!? 先進国と新興国は利回りがマイナスなんですね。」

前回、世界中が低金利になっている今は債券を選択する必然性が薄いという話をしましたが、その理由が分かっていただけると思います。債券はリスクは低いもののリターンが低すぎるわけです。
なんとモーニングスターでは2019年からは数値表示そのものがなくなりました。

債券を組み込むのは世界的に金利上昇傾向が出てからで十分と思います。米国でも2023年までは低金利政策が続くとみられていますから。

教科書ではリスク分散のために債券を入れましょうと書いてあるんですが、これは超長期では正しいんですが、今の低金利時代を反映していない説明なんです。

その他の資産もみてみましょう。

《REIT、他》
・国 内REIT 3.2%、24.8
・先進国REIT 0.7%、24.5
・コモデティ・金 5.0%、16.7

国内REITは海外と同程度のリスクでリターンが高いですね。選ぶなら国内が底堅そうです。
ただREITは元来分配金狙いの商品なので、安値圏の時に購入して3~4%の分配金を確保するという性質のものです。
メインではありませんが、一定割合を組み込むのは有効といえます。

REITは実は株式系投資信託との違いがあまり理解されてません。
この辺は、時間がある時に細かくご説明しますね。

コモデティ・金はリターンは中程度ですが、リスクも低く安定的です。
これはコロナ禍での金の高騰を受けた数値なので、少し割引いてみる必要があるかもしれません。金は過去の最高値圏と同水準になっていますので、今後については警戒が必要でしょう。

■ 投資タイミングの重要性

もう少しこの表を見てみましょう。右端に通算リターンを算出しています。これは実際に投資していたらどうだったのかを計算しています。

上段が2007年末に100を投資した場合の2020年末の資産残高で、下段()が2008年末に投資した場合の残高です。

つまりリーマンショック前に投資した場合と、リーマンショック後に投資した場合を比較したわけです。

・国内株式では
2007年末投資残高 122.1
2008年末投資残高 209.8
です。

つまりリーマンショック前(2007年末)に投資をすると、一旦その後のリーマンショックで大きく値を下げるため13年後も1.22倍にしかなっていません。

ところがリーマンショック後(2008年末)の安くなった時に投資をすると、2倍以上になっているんです。大きな差ですね。

先進国と新興国もみてみましょう。

・先進国株式
2007年末開始残高 190.8
2008年末開始残高 420.3

・新興国国株式
2007年末開始残高 87.9
2008年末開始残高 249.8

いずれも2007年末に投資した場合と2008年末に投資した場合では2倍以上の大きな差があることが分かります。新興国ではリーマンショック前に投資した場合、いまだにマイナスです。

「えーっと…。 つまり安い時に買うのが大事ということですか?」

そうなんです。当たり前のことですが株式は値動きが大きいため、購入タイミングがパフォーマンスに大きな影響を与えます。

問題は、何時がそのタイミングか誰にも分からないということです。
じっと暴落を待つ選択肢もありますが、何時までも運用開始できないままでは機会損失になるかもしれません。
また、下落時にはどこまで下げるか分からないので、なかなか手を出せないということが起こります。

特に初心者の方は、何時が投資タイミングかを判断するのは難しいと思います。暴落時はみんなが悲観的になるので冷静に判断するのが難しいんです。2020年3月のコロナショックで株式は大きく下げましたが、ここで買えるのはベテラン投資家の方でしょう。

「じゃあ、わたしみたいな初心者はどうすればいいんですか?」

実は、初心者の方が覚えておくべき「ドルコスト平均法」というのがあります。

■ ドルコスト平均法による効果

ドルコスト平均法とは、価格が変動する商品について一定の金額で定期的に購入していく方法です。つまり積立投資ですね。

このブログでも、以前 「投資の基本。ドルコスト平均法のウソ、ホント!」で書いていますので、よかったら後で読んでみてください。

先ほどの表に、毎年一定額を積立てた場合の残高を追加しました。

アセットクラス別リスクとリターン_ドルコスト法
右端のドルコスト平均法の部分をみてください。
上段が2007年末から積立てた場合の最終残高で、下段が2008年末から積立てた場合です。

・国内株式
2007年末開始残高 154.7
2008年末開始残高 157.4
・先進国株式
2007年末開始残高 220.7
2008年末開始残高 223.2

見ていただきたいのは、この方法では2007年、2008年のいずれに積立てを始めても、ほぼ似たようなリターンになっていることです。
しかもコツコツと積立てた場合の方が、リーマンショック前に投資した場合よりも良いパフォーマンスになっています。

もちろん、リーマンショック後の安値の時に投資したようなパフォーマンスには届きませんが、そこそこ堅実な利回りになっていることが分かります。

つまり積立投資は、タイミングを気にしないで初心者が堅実なリターンを得られる手法だということです。

積立NISAやiDeCoはこの手法を前提としていますので、誰でも相場状況を気にせ何時からでも始めればいいということですね。

積立ならタイミングを気にせず、何を買うかだけ考えればいいわけです。

「わたしにぴったりかもしれません。10年で1.5~2.0倍になるんなら十分です。」

確実にそのリターンになるかは分かりませんが、とても負けにくい投資手法なんです。

さて、今日のまとめは 投資はタイミングが重要だけど、初心者には難しいのでタイミングを気にしない積立てで始めましょう。 です。

理解していただけましたか?

「はい! 少し購入商品が絞れる気がしてきました。」

次回はいよいよiDeCoとNISAの商品選定です。
検討すべきは先進国株式と国内REITが中心ということも今回分かりましたよね。
その上で実際の商品をみてみましょう。楽しみにしてください。

「よろしくお願いいたします。」

お金を味方に付ければ、人生二馬力、三馬力!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
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