生命保険を見直してみた!(2) チェックポイントは3つ!

Jul 31, 2014

前回はわたしの保険の見直しの話でした。 (前回はこちら)
思えばひどい保険の掛け方をしていたもんです・・・
どうしてわたしたちは保険をついつい掛け過ぎてしまうんでしょうか??

そもそも保険とは何なのか?  保険の本質をまずは確認してみます。
聴診器
保険とは「万が一の事態(災害や病気、事故)に対して経済的に備える仕組み」です。
構造的には参加者全員で経済的に分担することにより、小さな負担で大きな保障を実現します。
確率的には小さいが、起きた時の経済的ダメージが大きいもの に向いています。

保険には収支相等の原則というのがあり、保険料の収入と支払保険料は等しくなるように計算されています。 (その他として事業経費や運用益あり) そもそも貯蓄のように蓄積や利益を狙うものではありません。

家族の誰かに「万が一のこと」があった場合、それが原因で起こる経済的損失、必要経費に対し、経済的な補てんをする。あくまで経済的な側面がその趣旨です。

つまり経済的合理性としては「専業主婦の奥さんに保険を掛ける意味は殆どない」ことになります。
専業主婦の奥さんが病気やけがをしても、家族としての収入はご主人が働いている限り、変わりはないはずですから‥
ここが保険を考える時のポイントのひとつです。

■1.「感情的損失」、「経済的影響」 を切り離して考える
保険会社いわく・・ 「何かあった時の備えは必要ですよね?」  「何かあったら大変ですよね?」
→ここで言う「大変」なのは何でしょうか? 経済的な影響でしょうか? それとも感情的な部分? 日々の暮らしの不都合?

普通は 家族がケガをしたら大変! 病気になったら大変! と考えてしまいますが、感情論を切り離して経済的な影響度合いに絞って考えることが重要です。
例えば、子供が病気になったら大変ですが、それは悲しい、かわいそう、という感情的損失であって、冷静に考えれば経済的な損失は大きくはないはずです。(無論、療養費は掛かりますが、それは後述)

経済的な問題と感情的問題を一緒にすることで話が混同し、結果として保険を掛け過ぎてしまいます。
また、時系列で考えることも重要です。(前回のライフイベント表ですね)
子供が小さく、生活費負担の多い時期は保険が重要ですが、子供が大きくなれば、保険金は小さくても問題ないはずです。

■2.「正しい必要経費」を把握する
感情論を切り離したとしても、あるいは収入には大きな変化が無いとしても、
 「がんなどの病気になった時は医療費負担が大きいんじゃないの?」
 「誰かががもし病気で長期療養生活になったらどうすんの?」
という疑問があると思います。

長期療養時の必要経費を正しく理解する必要があります。
実は日本には高額療養費制度というとてもありがたい制度があります。
所得に応じて一定額以上の負担が生じた時には、健康保険より後で補填される制度です。

高額療養費制度:…所得ランク 「一般」 の場合
 自己負担限度額=『80,100円 + (医療費-267,000円)×1%』  です。

例えばがんに罹って月の総医療費が100万円掛かったとします(自己負担は3割なので30万円の支払い)
80,100円+733,000円×1% =87,430円となります。
当初の自己負担が30万円ですから差額の212,570円は後で還付されて、最終的な負担は87,430円になります。

1年間としても約100万円程度です。 がんに掛かったとしても月額9万円程度! なんです。
どうです?? 少し貯金があればなんとかなる金額ではないでしょうか?

入院に関しても調べてみましょう。
そもそも厚労省によれば、平均入院日数は下がり続け、約30日に過ぎません。 70歳以上の平均でも約40日です。
無論平均以上の入院日数になる場合もあるでしょうが、在宅医療が中心になる中、その可能性は高くはありません。

1日当たりの入院費の平均額も見てみます。 差額ベッド代にもよりますが、15,000円前後のようです。
であれば医療保険を検討するなら5,000~1万円/日 程度の補填で十分では??
無論入院費も高額療養費制度の対象です。
病気にしても怪我にしても、一時的なものであれば少し貯金があれば凌げそうなことは理解頂けるんではないでしょうか?
(一時的ではない長期の無収入状態は深刻な事態ですが、生活保護など保険以外の論議になりそうです)

■3.保険と貯蓄を分離して考える
もう一度、前回のわたしの保険を見てみましょう。

全体の主契約は②の積立ファンド部分でした。 ここでチェックすべきは「基準金利1.5%」という所です。
貯蓄としてみた場合にこの基準金利が高いのか、低いのかが重要です。
保険だけだと掛け捨てが基本なので、なんだかもったいない気がしますが、「貯金にもなりますよ~」という言葉を聞くととても魅力的に感じてしまいます。
その上 「定期よりお得ですよ~」 と言われると、保険+貯蓄かぁ〜、それならお得じゃん! と思ってしまいます。

ここで大事なのは保険部分と貯蓄部分とを分けて、それぞれで評価することです。
特に貯蓄部分は初期コストが引かれたり、維持費が掛かったりと基準金利以外のコストのチェックも重要です。

終身型年金の話でも書きましたが、初期コストを引いた実質金利で比較をする必要があります。
わたしの保険の例で言えば、1.5%での運用に自信がなければ「お得」と評価できますし、それを上回る運用益を期待できるのなら保険に依存する必要はありません。

ちゃんと探せば、もう少し期待利回りの高い商品は色々あります。
わたしの401Kは約10年で年率約5.6%の実績です。(バランス型投資信託が中心)

残念ながら、保険における貯蓄部分とは 金融商品を知らない無知につけ込んだもの と言えます。 (´Д` )

う~ん‥  50歳を過ぎてから気が付くなんてちょっと遅すぎました‥ orz
保険のお話、次回も続きます。

家計の見直し3大ポイント、 生命保険を見直してみた!(1)

Jul 30, 2014

こんにちは! 53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ、今日はわたしが生命保険を見直したときのお話です。

お金の勉強を始めて少し経った頃、家計見直しの3大テーマは住宅、車、保険ということを学びました。
ちょうど更新時期が近づいていたこともあり、ならばと生命保険の見直しに着手しました。

生命保険に最初に加入したのは家族が出来る前、独身時代です。
生保レディの 「本当に必要なのは結婚後ですが、早いほうが安く入れますよ~」 という甘い言葉で加入。
結婚後、内容は多少見直したものの同じ大手生保の新商品に変えただけでした。

■ステップ1、 現状分析

何事もまずは走り出す前に現状認識から、ということで掛け金の内訳を保険会社に確認しました。
うんげーーー! べらまっちょ!!
出てきた掛け金内訳です(大手生保のリガードなんとかのファミリータイプです) (>_<)

①定期保険     ‥ 収入保障付き。 期間限定、65歳まで!
②積立ファンド   ‥主契約 積立部分=1.5%の基準金利
③3大成人病特約 ‥医療保険   がん、心筋梗塞、脳卒中
④5大重度慢性疾患特約  ‥医療保険  高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、すい炎
⑤入院治療重点保障特約  ‥医療保険 ~4日までの入院、手術一時金
⑥災害入院特約 ‥医療保険 4~184日までの災害入院
⑦疾病医療特約 ‥医療保険 4~184日までの疾病入院
⑧成人病医療特約 ‥医療保険 成人病、がん入院含む長期入院付 
⑨傷害特約     ‥災害保険 傷害、死亡
⑩災害割増特約  ‥災害保険 高度障害、死亡

これ以外にファミリーパックとして女房の分があります……
  反省
お恥ずかしい‥‥   特約のオンパレードで何がなんだか分かりません。

主契約は②で積立の金融商品部分です。 そこに①の定期保険(65歳まで)が加わり、中核となっています。
③~⑧は医療保険部分で特約のオンパレードです。 ⑨~⑩は災害保険部分。
特約だらけの割には全て80歳までの期間で、医療保険に一番必要な終身部分がありません‥ orz

掛け金も更新で59歳で5万/月を越え、65歳で更に上がることが判明しました!
これは払えません!
悲惨な現状分析の次は時系列での見える化です。何時、どれくらいのお金が必要になるのか?
家族の年齢と供に、どんなイベントがあるのか図式化してみました。

(FP(ファイナンシャルプランナー)の世界ではライフイベント表というようです)
ライフイベント表
お金の掛かりそうもの⇒ 長女の大学、次女の高校~大学関連費用。住宅ローンの支払い。
将来的基本収入⇒わたしの年金と女房の年金。
これらをプロットしてみました。

■ステップ2、 基本情報の整理

更に前提条件として年金支給の見込額を把握する必要があります。ねんきんネットで調べてみました。

「年金見込額試算」という機能がありますので、ここで試算します。
定年までの勤務形態などを入力するだけで計算してくれますのでとても便利です!
ただ試算結果が 老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢厚生年金の基金代行部分 と分かれており、かなり見難いです‥ (´Д` )

また、老齢厚生年金のプラスアルファ部分に関してはここでは計算されず、加入している厚生年金基金に自分で問い合わせる必要があります!
(更に付加年金とか加給年金とか加算がありますが、その試算機能はないようです‥
法改正による将来の減額もありうるのでこの辺の加算は考えないでおきます。 あぁ・・ややこしい・・・・)

もう一つ、必要生活費を検討しました。
いろんな統計によれば 定年後の夫婦2人での標準的生活費は26万/月程度といわれています。
少し余裕のある暮らしをする場合(たまに旅行を楽しむとか)は35万~/月程度になるようです。
やっぱりゆとりある生活はしたいので、この35万/月を目標値として、どの時期に幾らぐらいの収支になるかざっくり計算します。

■ステップ3、 分析・目的の明確化

見える化の結果、大きく3つの性格のゾーンに分かれることが分かりました。

・教育費ゾーン  →子供の教育がまだまだ掛かる時期。 現役時代と定年後の収入のない時期に2分されますが、期間が限定されています。最悪、貯蓄の取り崩しでもしのげそうです。

・生活費ゾーン  →年金支給がスタートするが、生活費の補填が少し欲しい時期。

・安全ゾーン   →女房の年金も始まり、2人分の生活費は賄えそうな時期。

ここまでくると必要な保険が見えてきました。

①教育費ゾーンをカバーする定期保険。掛け捨ての期間限定でOK。
②終身型医療保険 入院を最低限カバーするもの、特約関係は原則カット。但し、期間は一生涯が必要。
通院に関しては国の高額療養費制度を活用することにし、保険からは外しました。

生活費ゾーンには少し収入が欲しい訳ですが、その部分は保険ではなく
不動産投資や金融投資の収益で補填することにしました。
(自分年金作り戦略として別途、検討。ここでは触れないことにします)

安全ゾーンに関してはほぼ心配なさそうです。

■ステップ4、 保険の決定・契約

①、②に絞り込めたので、各社の商品を掛け金や支払い方法など具体的に比較します。 

また、払い済み保険への移行が可能かをチェックしました。
払い済み保険とはある時期に支払を終了するやり方で、保障は生涯としながらも、例えば65歳の時に掛け金を貯金から一括払いをし、以降の支払を無くす手法です。
(高齢での支払い事務の負荷を考慮しました)

コストを考えてネット系生保を中心に3社ほど見積を取りました。
‥ で、比較検討の結果 ‥ (あくまで2011/12時点での比較検討結果)

最終的には①、②共にオリックス生命さんの商品になりました。

これで生命保険の見直しは終わりましたが、自分がいかにダメな入り方をしていたか!
ホントに見直して良かったです‥‥

みなさんはご自分の生命保険の内訳をご存知ですか?
(自分が分かってなかったくせに、というツッコミは無しで‥ (^∇^))

超ワンマン社長に大見え! 営業生活30年間でたった一度の啖呵。

Jul 20, 2014

こんにちは! 53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたに、今日はわたしが出会ったお金持ちのエピソードです。
お金の木
若かりし時代はITシステムの営業マンとして中小企業の社長さんに会う機会が意外とありました。
みなさん お金の5つのスキル がとてもバランス良く‥
とはいかず、実に個性的な方が多かったです。
経営者ですから当然ビジネスで「稼ぐ力」はありますが、逆にその部分だけが突出した方も‥

わたしが金沢勤務時代に出会った「超ワンマン社長」です。(仮にY社長としておきます)
このY社長、会社設立8年で年商200億!を達成しマスコミでも取り上げられました。
野性的なカンと強力なリーダーシップ、斬新なビジネスモデルで業界に旋風を巻き起こしました。

出会ったのは会社設立5年目の頃、ぐんぐん伸び始めた時です。
担当者と常務からITシステムの相談がありました。(約5000万円の商談だったと思います)

常 務: 「社長が日経新聞の全段広告に載りたい、と言ってるんだけどなんとかなりませんかね?」
わたし: 「 ???? 」

当時、とある外資系ITメーカーが社長シリーズという連載広告企画をやっていました。
そのメーカーの社長とユーザー企業の社長が、システム導入の経緯や効果について対談するというもの。
どーん、と二人の顔写真が対談と共に日経新聞の全段ぶち抜きで掲載されていました。
天下の日経新聞ですからユーザー企業としては宣伝効果も高いです。何より写真付き! 目立つ、目立つ‥

これを見たY社長、 「俺もこれに出たい!」
見事なワガママっぷりです。

日経の全段と言えば、当時(約25年前)で約1500万円の掲載料だったと思います。
どう考えても億円単位の商談規模でないと釣り合いがとれません。
しかも掲載企業は上場企業か歴史のある会社ばかり… どうアピールしても、選考されるはずがありません。

会社の急成長でシステム刷新は急を要します。購入にはY社長の無理難題に応える必要があります。
常務さんもはたと困ったという訳です。

前代未聞のリクエストです。丁重にお断りしようと思いましたが、担当者と常務はほとほと弱り果てています。

わたし: 「うーん…確約は出来ませんが、出来る限りのことはしてみます」

ここから苦難のドラマが始まります。
わたしは、連載企画をしていた外資系メーカーとはライバルにあたる国産メーカーの販売店という立場でした。
(外資系よりは無理が効くと踏んだのかもしれません)

まずはメーカーの金沢支社を窓口に本社の宣伝部に掛け合ってもらいました。
障害になったのは金額ではなく、企画そのものでした。
大きな会社では当然ながら広告宣伝のポリシーと戦略があります。

宣伝担当: 「急に企画上げられても困るんですよね~ もう年度計画は決まってますし‥」
わたし:  「そこを何とか‥ 効果あると思うんです。」

当然のことながら難航します。 進捗は逐一、常務さんに報告していました。
幸い、メーカーの担当者が非常に好意的で粘り強く宣伝部を説得してくれました。
半年以上の交渉の結果、次年度の計画に押し込むことに成功したのです!

そしてY社長がワガママを言い始めてから1年半後、いよいよゲラ刷りが上がりました。
客先の大広間にY社長、常務、担当者、わたしとメーカ担当者、そして東京本社の制作スタッフが揃いました。

メーカ担当: 「社長さん、長い間お待たせいたしました。 原稿が出来上がりました。」
ようやく完成した新聞広告のゲラ刷りを渡します。みんな期待に満ちています。

原稿を一瞥したとたんY社長の顔色が変わります。
「だめだ!こんなもの。 気に入らん!」  原稿を丸めて放り投げます。
空気が凍りつきます。

原稿は日経の全段ではなく、2/3でした。 真中にあるのは顔写真ではなく上品なイラストでした。

わたし: 「社長さん、ご希望とは違うかもしれませんが、これが出来る精一杯なんです。 ご理解いただけませんか?」
Y社長: 「だめだ! 話が違う! 約束したはずだ!

わたし: 「出来るだけのことはしますと申し上げましたが、出来ますとはお約束していません!
Y社長: 「なにー! 嘘をつけ!」

わたし: 「嘘ではありません。 常務さんには始めからお話しています。」
Y社長: 「本当か! 常務!」 常務を振り返りました。
常務さんは俯いたままで無言です。

Y社長: 「話にならん! 持って帰れ!

これまでの1年半の苦労が頭をよぎります。 関係者がさんざん苦労したのはよく知っています。
関係者にこれ以上迷惑はかけられません。もはやこれまでと観念しました。

わたし: 「分かりました。 持って帰ります!

都合30年にわたる営業マン生活で、一度納品したシステムを持って帰ると啖呵を切ったのはこの時だけです。
胃が縮むのが分かりました。
ところが‥

メーカ担当: 「ちょっと待ってください。 社長さん、持ち帰りますので、もう一度チャンスをください!
驚くわたしに、彼はもう一度頑張りますとうなずき、関係者を納得させました。

‥そして3ヶ月後‥  日経新聞の全段に載りました!
真中にY社長と奥さまが自社商品を持ってにっこりと笑う写真が‥
そのメーカーに取っても前代未聞の広告でした。

‥そしてさらに1年後‥
急激な業績拡大の中で、在庫を持ち過ぎて会社は倒産してしまいました。

ざーけんなよ!
激おこ
後にも先にもこんなに強烈なワンマン社長はこれきりです。

どうやら5つのスキルのうち1つだけが突出してもマズイようです‥

管理人プロフィール

やんつ写真

やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
Webディレクター

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・楽をして一攫千金を狙う人
・受身で自己研鑽意欲のない人
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