東京の中古ワンルームを買いなさい!って、本当に儲かるのは誰だ?(1)
Dec 30, 2015
こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
先日、とある資産形成セミナーに行ってきました。
色んな講演があったのですが、その中で
「東京の中古ワンルームを買いなさい!」という話が・・・。
都内のこんな物件が紹介されていました。
12階建てRC、1K 22㎡
利回り 5.09%
実質利回り4.28%
東京の中古ワンルームを買いなさい! とは本当なんでしょうか?
⇒ 警告! 東京のマンション区分投資に潜む甘~い罠!
でも書いていますが、高額な区分マンションは利回りも低くあまり儲かるものではありません。
それでも、その手軽さからかなりの人気です。
その数字の意味を理解しての購入ならいいんですが、きちんと計算もせずに判断しているケースが多いと感じます。
特にローンを組んでの購入は数字の精査が必須です。
低金利時代に実質利回りが4.28%! 本当にお得なんでしょうか?
とても重要なことなので、何度でも書いて啓蒙したいと思います。
今回は趣向を変えて、儲けているのは誰なのか、その数字を検証してみましょう。
そんなこと分かっているよ、という人も今一度認識してもらえれば嬉しいです
物件内容を順番に見てみましょう。
項 目 | 金額、他 | 備 考 |
---|---|---|
価 格 | 2100万円 | 路線価60万~と推定 |
諸経費 | 60万円 | |
取得総額 | 2160万円 |
項 目 | 金額、他 | 備 考 |
---|---|---|
家賃収入 | 89,000円 | |
管理費 | 8,400円 | マンション共用部維持費 |
修繕積立金 | 2,520円 | マンション管理組合で積立 |
管理代行費 | 3,240円 | 不動産管理会社への手数料 |
手取り収入 | 74,840円 | |
ローン返済 | 69,699円 | 返済比率78.3% (÷89000) |
返済後手取り | 5,141円 | |
表面利回り | 5.09% | 89000÷21000000 |
実質利回り | 4.28% | 74840÷21000000 |
投入自己資金 | 170万円 | ローン 1990万円 |
募集情報の数字は間違いではありませんが、書いていない経費が色々あります。
何でしょうか?
・不動産取得税
土地や家屋を購入したり、交換や贈与で取得した場合にかかる税金です。
本来の税率は4%ですが、現在は特例措置中で3%です。
仮に、上記の固定資産税評価額を500万円とすると15万円になります。
(実際の金額は路線価等によって異なります)
これは、取得後に一時的にかかる経費ですから運用経費ではありません。
なので販売資料には書いてありませんが、取得するあなたは認識しておくべき。
運用関係として考慮すべき数字で、販売資料に記載のないものは次の通り。
1)固定資産税と都市計画税
毎年1月1日付の不動産の所有者に対し、課税されます。
固定資産税 1.4%+都市計画税が0.3%、計1.7%が税率です。
(都市計画税は市町村により0.2~0.3%程度の幅があります)
ここでは少なめに4~60000円と推定しておきます。
小規模宅地の特例などもありますが、区分マンションでは土地部分が少ないので元々特例メリットは少ないです。
固定資産税に関しては、まれに記述のある親切な販促資料もあります。
問題は退去発生時の経費や損失。
2)修繕費
退去後の修繕費用です。通常は家賃の3か月分程度を見込みます。
3)広告費
募集のための経費です。地域や市況により異なります。
4)空室時の売上減と固定経費(ローン)の支出
退去後、空室のままでは収入が無く、固定経費の支出だけが続くことによる損失です。
(空室率として把握することが多い)
5)家賃下落
募集時に、当初家賃と同じ家賃設定で入居が決まるとは限りません。
一般的には5年で5%程度の下落があり、長期的には20~30%程度の下落で下げ止まります。
1)~5)の運用経費の記載が募集資料にないのは、変動するためと物件の販売と直接関係が無いためですが、購入側の常識として計算しておくべきです。
単年度ではなく長期の試算を習慣にしましょう。
この物件の購入後6年間での通算収益を見てみます。
計算対象を6年間とするのは、ちょうど長期譲渡になり売却を検討しやすい時期であることと、そろそろ退去が発生しそうな期間だからです。
(一般的には平均入居期間を5~6年とすることが多いです)
この家賃収入の関係者は
大家のあなた
管理会社
ローン会社 です。
さて、誰がどの位の儲けがあるのか?
計算結果は次回・・・
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
不動産投資は数字で語る! ですよ。