相続税対策 実践録(3) 生命保険は使わにゃ損ソン

Feb 28, 2015

こんにちは!53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回も相続税のお話です。

さて、節税対策といえば・・・
②【評価額の圧縮】
・生命保険
・借金
・貸家建付け地(アパート)
・小規模宅地の特例


などがありますが、
最低限まずはやりたいのが生命保険の活用です!

おばあちゃんたち
相続人×500万円が非課税限度額になります。

掛け金を払えば貯金が減りますので、金融資産の圧縮になります。
保険金の受取り時はそのお金を相続税の支払いに充てることが出来ますので、
納税資金としてのプールとも言えます。

使う可能性のない貯金があるならぜひ検討しましょう!

父親が被相続人、相続人が妻と子供2人のケースで考えてみます。

保険:一払い終身保険
 →契約時に保険料を一時払いすることで、一生涯の死亡保障を確保できる保険商品
契約者:父
被保険者:父
受取人:妻、長男、次男

この場合、500万円の保険を3本加入したとすると、
合計額1500万円を非課税で受け取ることが出来ます。

そのまま現金で持っていた場合、税率を10%とすると150万円の相続税です。

あるいは、3人にそれぞれ500万円を贈与したとしましょう。
基礎控除後の課税価格は 500-110(控除)=390万円です。
贈与税額は 390×20%-25=53万円
合計では159万円になります。

これらが掛かりません。
富裕層の方には小さな金額かもしれませんが、庶民にとっては大きな金額です。
生命保険は贈与税や相続税の対象にならずに実質的な贈与効果を持つということです。

わたしの母の話です。
アパート経営の収入などで生活費はなんとかなる状態にしてあります。

今後、出費があるとしても介護施設への入所費用くらいです。
まぁなんとかなるでしょう。貯金をしなければいけない状況ではありません。

ところが・・・
ある日、母の預金通帳をチェックしていると・・・

余った生活費がいつのまにか積み上がり、
つい最近それが定期預金になっています。

あれっ!? 何これ?

いまさら定期貯金をする意味はありません。
この低金利時代、どうせ利息も期待できません。

逆に、何かあった時には凍結されて引き出すことが出来ません。
タンス預金の方がましです。

本人に確認しても、高齢のためさっぱり要領を得ません。
どうやら身に覚えがないようです。

?????

おそらく顔馴染みの金融機関の営業マンが通帳に残高があるのを見て、
「おばあちゃん 残高が残ってるね~ どうせなら定期預金にしたら?」
「あーー、はいはい。 ハンコ押せばいいのね」
というようなことでしょう。

で、あわてて窓口へ行き、
定期預金を解約すると同時に保険に切り替えました。

ここで注意点
一般的な保険では被保険者になるのが可能なのは80歳までです。
つまり80歳を超えると契約できませんので、それまでに契約してしまう必要があります。

受取人を誰にするかも考えた方がいいですね。
上記のケースでは奥さんも受取人にしましたが、
相続税対策の保険の場合、配偶者を受取人にする意味はありません。
なぜなら配偶者控除が大きいから・・・

受取人が長男だけというのも問題かも・・・
後で知った次男からクレームの可能性が・・・
それでは争続になってしまいます。
事前にみんなで合意の上、対処したいものです。

無論、使う可能性のない貯金であることも大事です。
急に資金が必要になって解約すると損をする場合があります。

■「保険の豆知識」
お金を払った人(契約者)が誰で、誰が保険金をもらったかで
生命保険は税金の扱いが異なります。覚えておきましょう。
上記のケースは相続税でしたが・・・

契約者:母
被保険者:父
受取人:長男
・この場合は贈与税の対象となります。
なぜなら、払った人が生きていてその人からの贈与とみなされるから。

契約者:長男
被保険者:父
受取人:長男
・この場合は一時所得となり、所得税の対象となります。
なぜなら、払った人自身が受け取るので、その人の所得とみなされるから。

日本人はどうも保険を掛けすぎるきらいがあります。
わたしも以前は無意味にたくさん掛けていました・・・ (>_<)

どうせなら賢い掛け方を覚えておきたいですね!

相続税対策 実践録(2) 節税対策の基本

Feb 25, 2015

こんにちは!53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回も相続税のお話です。
老人とお金
前回お話ししたように相続税対策といえば
まず①贈与の活用テクニックがあります。

①【贈与の活用】
・住宅取得等資金の贈与
・教育資金の一括贈与
・相続時精算課税制度
・暦年贈与】


この中で、あまり知られていないけど知っておいたほうがいいのが
「相続時精算課税制度」です。

生前贈与を円滑化するため2003年に導入されました。
高齢者から若年層への資産の早期移転と活用を目的としたもので、
65歳以上の直系尊属(両親)より20歳以上の直系卑属(子、孫)への1人当たり2,500万円までの贈与に関し贈与税を繰り延べするものです。

税金が掛からない訳ではなく、相続時に清算します。
わたしもこれを活用しました。

父親が入退院を繰り返していた晩年、
やっとローンを払い終えた築古アパートがありました。

築古のため客付も苦戦しており、母は持て余し思い余って処分したいと相談してきました。
管理会社と話したところ、リフォームすれば運営可能との意見。
そこでわたしが管理を引き受けることにしました。

ところが所有権は父のままです。
何をするにも入院中の父にサインをもらう必要があります。
これでは面倒なばかりです。

そんな時に銀行に勤めていた友人が、
「相続時精算課税制度というのがあるよ~」
と教えてくれました。

これで贈与税を払わず資産活用が出来る!
収益が上がれば、それをプールして納税資金の備えにも出来る!

こうして資産活用のスタートを切ることができました。
(と言っても、本格的に勉強し出すのは2010年からですが・・・)

「相続時精算課税制度」のメリットです。

・相続財産を早めに活用できる
→何といってもこれが大きいですね。資産運用の自由度とスピードが違います。
利回りを生みだす事ができればその収益を享受でき、その差はとても大きなものになります。

・贈与時の評価額で固定できる。
→これは資産が贈与後値上がりした場合にお得です。
精算は相続時ですが、評価額の計算は贈与時が基準となります。
評価額が低いうちに適用できれば評価額が上がってもへっちゃらです。
まぁこれは、土地神話が崩壊した今はあまり該当しないかもしれません。
今は相続時に下がっていることの方が多いかも・・・

・適用枠が大きい
→2,500万円が上限であり、かなり使い出があります。
上限を超えても超えた部分に20%の贈与税を納税することで利用可能です。
納税分も相続時に再度清算されます。

良いことだらけではなく、注意点もあります。

・贈与税としての節税効果がない
→110万円の基礎控除がないためその効果を享受できません。
全て相続時に計算対象となります。逆に相続税の控除額対象にはなります。

・二度と通常の贈与税に戻れない
→いったん選択すると、普通の贈与が出来なくなります。
今後も相続税の増税が想定される場合は、その回避策にはなりませんね。

・制度が複雑、手続きが煩雑
→配偶者は適用対象外です。子に関しては20歳以上の子。
孫に関しては既に子が亡くなっている場合に限ります(当時。2015年からは緩和)
また「相続時精算課税制度選択の届け出」が必要です。
後で相続放棄をしても、本制度適用部分は除外されます。

結果、この制度を適用した場合としなかった場合の損得計算が大変です。
どちらが得か判断が難しいです。

今年は適用条件が緩和されましたが、
どちらかというと傾向は、贈与税の減税と相続税増税がトレンドです。
使わない方がお得というケースが増えてくるかもしれません。

将来は相続税と贈与税が統合化される可能性もあります。
相続税を止めて資産税にシフトという議論もあります。

活用の場面は少し減るのかもしれませんが………
まぁ覚えておいて損はないと思いますよ。

次回は生命保険の活用です。

相続税対策 実践録(1) 節税対策の基本

Feb 21, 2015

こんにちは!53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回も相続税のお話です。

お札の家のプレゼント
前回、相続税対策の前に話し合いのできる土台を作ってください、
とお願いしました。
これが出来ればいよいよ相続対策の4ステップです。
1)争続対策(分割協議)
2)節税対策(相続税対策)
3)納税資金対策
4)各種継承・事後管理


とまぁ、偉そうに言ってますが、
わたしもきちんと順序良く出来た訳ではありません。

2006年に父が75歳で亡くなりましたが、
存命中は財産の話について相談したこともありませんでした。(´Д` )

相続手続きを進める中で、資産と負債を洗い出す必要があり、その時に初めて財産の確認をしました。
相続人は母と兄とわたし(次男)の3人です。

母がいますので、法廷相続分としても1/2は権利があります。
わたし達兄弟もすでに生活基盤があり、そんなに多く相続したい希望がある訳でもなく、
分割については特に揉めることもありませんでした。

相続財産のかなりの部分が田であり、
もらってもあまり意味はない(稲作はほとんど収益にならない)、ということも大きかったのかもしれません。
相続税も配偶者控除が大きいのであまり税金は掛かりませんでした。

ただ、この時に始めて相続というものを知ったのです。
なんだか相続って面倒くさい・・・
ちゃんと準備した方がいいかも・・・

念のため、母が亡くなった時の試算をしてみました。
(残る配偶者の死亡による相続、これを2次相続といいます)
計算してみてビックリ!

父の相続の時には、既に母名義になっていたため対象外だった実家の家屋敷が
今度は対象となるためかなりの金額になりそうです。

えーーーーっ! こんなに税金かかんの!?
サラリーマンじゃぁ払えんがね・・・

こういうと、ずいぶん資産家で贅沢な悩みのようですが・・・

相続財産のほとんどが田や実家などの収益を生まない資産です。
キャッシュフローを生まない不動産は資産とは言えません!
むしろ、持っているだけで固定資産税はかかる・・・

このままでは資産家どころか死惨家になってしまう!
なんとかしなくては!
と、慌てふためいて勉強を始めたという次第です・・・(>_<)

あなたにはこんな泥縄にならないようにして欲しいと思います。 m(__)m

一般的に相続税対策といえば4ステップのうち
2)~3)の部分を言います。

対策は大きく4つに分かれ、その戦術はこんな感じです。

①【贈与の活用】
・住宅取得等資金の贈与
・教育資金の一括贈与
・相続時精算課税制度
・暦年贈与


②【評価額の圧縮】
・生命保険
・借金
・貸家建付け地(アパート)
・小規模宅地の特例


③【法人の活用】

④【養子の活用】


③は富裕層向けで、「相続時に活用する」というより事前に資産管理会社を作って(法人成り)、所有を分散します。
自営業、経営者の方向けです。
一般向けではないのでここでは説明は省きます。

④は、子の配偶者や孫を養子にしてしまうという荒業です。
相続人を増やすとともに相続税の発生回数を減らす効果があります。
(祖父→子→孫 の2回を 祖父→子+孫(養子)の1回に)

相続税のために養子縁組をするなんて!、と思いますが
実は一世代前には意外とよく使われた手法のようです。

家督を守り、相続していく意識が強かったんだと思います。
子だくさんの時代で子供の権利なんて考えもしなかったんでしょう。

今でも、事情によっては強力な手法になるかもしれませんが・・・

③、④はやや特殊なので、主たる戦略としては①、②になります。
色んな手段がありますが、ちょっとお薦めは「相続時精算課税制度」です。

その理由と注意点は次回・・・

管理人プロフィール

やんつ写真

やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
Webディレクター

こんな方は入室をお断りしています。
・楽をして一攫千金を狙う人
・受身で自己研鑽意欲のない人
・節約志向で年金だけの老後を送ろうとしている人。

お金の知恵で身を守り、豊かな人生を目指す人は歓迎です!

各種実績はこちら

不動産投資収支シミュレーション

人気シリーズ

最新記事

カテゴリ