地主のみなさん、相続税対策にアパートを建てればいいと思っていませんか? (1)

Mar 14, 2015

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回は相続税対策の続きとして不動産活用のお話です。

以前、埼玉にお住まいのNさんから相談がありました。

「祖母の所有する土地に、ハウスメーカーから相続税対策で
アパートを建てるといいですよ~、って提案が来ているんですが
よく分かんなくて・・・ 一度数字を見てもらえませんか?」

で、試算を見せてもらいました。
上尾中川邸_試算を1
(数字は実際のものから変えてあります)

ちょっと気になるところがいくつか・・・
あなたならNさんにどんなアドバイスをしますか?

さて、分析の前に相続税対策としての
アパート建設についておさらいしましょう。

今年から相続税が上がったこともあり、
アパートによる節税対策の記事が花盛り。
確かに地主さんの場合、アパートを建てることで評価額の大幅な圧縮が可能です。

しかも建物をローンで建てた場合は、借金部分がさらに差し引きされますので
なんとマイナス評価にすることも出来ます!
特に更地に新築した場合は評価額との乖離が大きくなり、その効果は絶大です。

具体的にその構造を見てみましょう。

「土地」
①土地の相続税評価額(A)は 路線価 × 面積 です。
(Aは公示価格×約80%とされます。公示価格は実勢を参考にしますので、
おおむね市場価格に近いと考えていいようです)

土地のままだとこの(A)がそのまま評価額ですが、
アパートを建てるとその土地は「貸家建付地」となり減額されます。

②貸家建付地=自用地の評価額(相続税評価額)×(1-借地権割合×借家権割合)です。
借地権割合は場所により異なりますがおおよそ60~70%程度です(上記の例では60%)
借家権割合は全国一律30%と定められています。

なので
A×(1-60%×30%)=A×(1-18%)=A×82% となり、
貸家建付地になると土地評価が約8割に圧縮されることが分かります。

③更にアパートの場合「小規模宅地等の特例」も受けられますので、
(~200㎡までが評価額の50%減額)②の評価減と合わせると、
相続税評価額の70%程度になります。

■アパート建設時の土地評価 = A×70%
②、③の効果により約3割、お得!

「建物」
建物についての相続税評価額(B)は固定資産評価額です。
(3年毎に評価替え。 市場価格の70%程度)

アパート(貸家)の場合は借家権割合で減額されます。
貸家の評価額=固定資産税評価額-借家権の評価額 です。
借家権割合は30%ですから =固定資産評価額×70%となります。
=(B×70%)

建築費に全額ローンを利用したとすると(建築費=市場価格とします)
市場価格の70%が相続税評価額なので
ローン額=固定資産税評価額÷70%=固定資産税評価額×143%
=(B×143%)
(実際には頭金が必要なので、その差し引きとなります)

⑥建物評価は 評価額-ローン残高になりますので
(B×70%)-(B×143%)=▲(B×73%)

■アパート建設時の建物評価 = ▲B×73%
時系列によって数字は変化しますが、
借金でアパートを建てると④、⑤の効果により
評価をマイナスに出来ることが分かります!

つまり何もしなければ(A)が評価額だったものが
アパート建設により

「土地」A×70% + 「建物」(▲B×73%)
と大幅圧縮できることが分かります。

ではNさんの例で、計算してみましょう。

①土地の相続税評価額(A)= 68千円×966㎡
=65,688 千円

借地権割合60%、借家権割合30% なので

②貸家建付地評価=65,688×(1-60%×30%)=65,688×82%
=53,864 千円

③小規模宅地減額=(966㎡-(200×50%))/966㎡=89.7%
減額後最終土地評価額=53,864×89.7%=48,291千円

市場価格=建築費とみると 108,000×70%=固定資産税評価額
④建物借家権評価=固定資産評価額×70%=108,000×70%×70%
=52,920千円

⑤ローン残高を建築費全額とすると108,000千円
(頭金等は簡略化のため省略)

⑥建物評価=52,920-108,000
=▲55,080千円

土地と建物の総合評価額は③+⑥なので
48,291+▲55,080
=▲6,789千円!

な・なんと
6,600万円の土地が評価額マイナス680万円の新築アパート
になりました!
しかも家賃収入を生んでくれます!

こりゃ凄い!!

みなんなであっちでもこっちでもアパート建てるはずだぁ~!

税金も節約できて収入が得られる! ス・テ・キ・
いいこと尽くめのような気がします。

ん・ん・? 本当にそんなウマイ話があるんでしょうか??
なにかリスクは潜んでないんでしょうか??

更地の上にアパートをたて、価値は上がっているはずなのに、
下がるどころかマイナスになってしまう。
何かおかしい・・・??

そうです。この話には一つポイントがあります・・・
こうなった要因が潜んでいます。

次回はこの話に潜むワナについて考えてみます。
(えっ、もう分かりました!?・・・・・)

あなたはお金に振り回されない自信がありますか? 「お金の知恵大全」Ver3.0です。

Mar 9, 2015

こんにちは!53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
少しブログ記事が溜まってきましたので「お金の知恵大全」を見直しました。
大幅な変更ではありませんがVer3.0です。(*2018/05/29更新)
黄金のリンゴの木

お金に振り回されないために・・・
お金を軽やかに使いこなすため・・・
そのためにはお金の知恵が必要です。

今回からインデックスにリンクを貼るのではなく、
(作業が大変なので)
サイドバーのカテゴリーを大全に合わせる形で改善いたしました。
カテゴリーにない部分はこれから追記していきたいと思っている部分ですw
(う~ん、何時できるんでしょうか・・・(´Д` ))

カテゴリーの中であなたの関心のある部分だけでも
見ていただければ嬉しいです。

『お金の知恵 大全』Ver3.0
お金に関し、適切な意思決定と行動ができるようになるためのスキルと知識
 

1)お金への心がまえ(マインドセットとライフプラン)

 お金の知恵とは
 偏見とリテラシー不足
 お金の基本方程式
 収入の種類
 お金のメリット・デメリット
 成功への習慣
 目標設定
 ライフプラン・エイジフリーライフ
 リタイアメントプラン
 

2)お金を知る(ファイナンスの基本知識)

 経済、金融概論
 経済史、金融史
 金利と時間軸
 貨幣、為替
 クレジット
 リスクとリターン
 ストックとフロー
 レバレッジ
 年金、社会保険
 税制、法律
 

3)お金を稼ぐ

 キャッシュフロークワドランド
 社会構造とトレンド
 ビジネスコア、顧客開発
 ビジネススキル
 資格、スキルアップ
 副業、週末起業
 資金調達
 FC
 起業
 マーケティング
 ブランディング
 

4)お金を使う、守る

 住宅資金、教育資金、老後資金(3大費用)
 貯蓄
 クレジットカード、ポイント
 ローン活用
 リスク管理、保険
 タックスコンロール
 相続・事業承継
 

5)お金に働いてもらう(投資、運用)

 投資戦略と資産配分
 401K、NISA
 投資信託
 株式
 FX
 不動産投資
 コモディティ、他
 融資、レバレッジ
 投資評価
 投資記録
 

6)推薦図書、その他

 TOPICS
 推薦図書
 その他

わたしなりに学んだことをまとめていきますので、
何か参考になればいいんですが・・・。

お金を稼ぐことも大変ですが、正しく使うことはもっと大変ですw。
無敵の50代目指して頑張りまっしょい!

日経平均18,500円超え! プチバブルの匂いはするか、しないか?

Mar 5, 2015

こんにちは!53歳からあわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
今回も相続税のお話の続きの予定でしたが、ここのところ日経平均が18,500円超え!
これはいったいどこまで上がるのか!? 急遽、考えてみることにします。

さて、株価の上下動の要因は色々あり過ぎて、誰にも正解は分からないというのが本当のとこですが・・・

個人的な見解です。
・リーマンショック前の円安水準は123円程度だった。
・その後米国がQE(量的緩和)で通貨量を増大させ、円高が進展。
 出遅れていた日本もついに黒田バズーカで通貨量を増大し、リーマン前のバランスへ。
・海外勢からみた日本株式市場の評価はいつの時代も150ドルという説がある。

この観点から 123×150=18,450  つまり概ね18,500円程度が
為替から見た日経平均の上値ではないか、と想定していました。

ところがここへ来てこのラインを突破。
次のボックス圏を窺うような状況になっています。

いろいろ好材料が出て来たのは確かです。
2014年10-12月の実質成長率が伸長。3四半期ぶりに前期比プラス。
貿易収支が赤字ではあるものの大きく改善。原油安も追い風。
大企業の業績を中心に3月末決算が好調見通し・・etc

メディアでも強気の記事が目立ってきました。
日経ビジネスで今年は2万円が狙える!との記事が・・・

「主要証券7社に聞き取り調査したところ、主要企業の経常増益率見通しやPER(株価収益率)から見て、
日経平均の「実力」は2万1150円程度との計算もできる。」とか・・・ほんとかぁ?

「NNNNNNという見方なら(仮定)、XXXX円でも割高とは言えない。」
というのは便利な言い回しです。
割高に見えない仮定をうまく理由付けできれば、何時でも見通しは明るいです。

まぁ、メディアは上昇期待しか書けません。
そろそろ危ないなんて書いても売上は伸びませんから・・・
商売上、まだまだ上がる可能性はある(上がらないかもしれない)なんて書くわけです。

こんな記事が出だすと、そろそろキナ臭いなぁ~
と感じるのはわたしだけでしょうか?

そこで株高の原因を探るべく、買っているのは誰か調べてみました。
投資主体別株式売買動向2015
海外投資家と国内法人、国内個人の約半年間の売買動向です。

グラフにはしてませんが、ここ数年のアベノミクスでの株高期間は
実は海外投資家が大きく買い越しています。

2013年はなんと15兆円!の買い越しでその他の年も2~3兆円の買い越しです。

個人投資家はむしろほぼ一貫して売り越しです。
リーマンショック以降、塩漬けしていた株をやっと処分できて
ほっとしているというところですね。

国内法人は2012~13年は売り越しでしたが2014年は買い越しに転じています。
(どんな機関投資家が買い始めたのか気になります。
GPIF(年金積立金)の残高はどのくらい増えているのか、機会があれば調べてみたいと思います。)

さて、上のグラフにもどります。
これを見てあなたは何を感じますか??

国内法人は引き続き買い越しモードで、あまり変化は無いように見えます。

少し気になることは、
海外勢が凸凹はあるもののやや売り越しモードだったのが、
年末から急に売りに転じています。青矢印
逆に、個人投資家が逆に年末から買い越しに転じてきました。(グレー矢印)

これは短期的状況なのか?
それともトレンドが変わったのか?
いよいよ個人投資家が本格的に動き始めたのか?

グラフのように株価を売買主体という需給の関係から見る以外に、
株価は企業が生み出す将来価値の総和の現在価値である、という考え方があります。

EV/EBITDA倍率などが有名ですが、
もっと簡易にPER(株価収益率)を目安にするやり方もあります。

海外を含めて歴史的なPERの標準は16倍程度です。
バブル期には60倍と言う異常値だったこともあります。
時代によって上下し、20~30倍になると危険と言われます。

現在は17倍程度で、まだまだ許容範囲ではあります。
ただ、企業業績(営業利益)が改善しないままの株高は危険かもしれません。

まだプチバブルの匂いがするほどでは無さそうですが、
予断を許さない状況になってきたのではないでしょうか?

引き続き、3月~4月に
・個人投資家が本格的に動くか?
・PERはどういう値を示すのか?

をウォッチして、このブログでご報告したいと思います。

この道はいつか来た道・・・なんてことにならないように・・・
ご用心、ご用心。

※本記事はあくまで個人的な見解です。投資判断は自己責任でお願いします。

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やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
Webディレクター

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