利益による分配はたった3割! 毎月分配型投信の事実(2)

Jul 30, 2015

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

前回に引き続き毎月分配型投資信託について考えます。
前回の結論では、毎月分配型投資信託とは資産を運用しながら計画的に取り崩す商品 です。

では、もし取り崩すとすればどんなやり方がいいのか??

相続_黄金のリンゴ
米国には4%ルールというのがあるそうです。

年金生活者は資産の4%を目安に取り崩しながら生活するのがいい、というもの。
単純計算では25年かけて取り崩すことになります。

定年を60歳とすると85歳までです。

実際には資産を運用しながら取り崩します。
仮に利回り1.5%で運用しながら資産の4%を取り崩していくと、およそ30年で0になります。

60歳を基準とすると90歳まで。
利回りも1.5%運用なら堅実なレベルです。
まぁ安心といえる取り崩し方ではないでしょうか?

ではいくら資産があればいいのか?

厚労省の2014年年金財政検証によれば、夫婦の年金支給額の標準は21.8万円のようです。
(前回の2009年調査からややダウン。また実態はもっと少ないという声もあります)

生活費水準としては普通の生活で26万円、少しゆとりのある暮らしで35万円(月額)程度というのが相場。

年金以外に月10万円を貯金から補填するとすれば、年間120万円。
4%ルールを適用すると必要貯金額は
120 ÷ 4% = 3000万円!

年金以外に月15万円を貯金から補填するとすれば、年間180万円。
4%ルールを適用すると必要貯金額は
180 ÷ 4% = 4500万円!

少し幅はありますが、60歳定年時点で3000~4500万円の貯金があれば、
毎月取り崩しても30年はOKという計算が成り立ちます。

実際には60~65歳には定年から年金支給開始までの空白期間がありますが、
ここは再雇用や再就職で凌ぐことにしましょう。

前回調べたようにグロソブ(グローバルソブリンオープン)は18年間で分配金の累計が8316円です。

これは「自動取り崩し商品」として有効だったんでしょうか???

当初基準価格は1万円ですから
(8316÷18)/10000 = 4.6%
毎年4.6%相当を分配(取り崩し)してきた勘定です。

現在の基準価格(残価)は5579円なので、当初の約56%が残っている計算。
従来通りの分配金(平均年額462円)を支払い続けても12年~は残ります。

と、ここまでは4%ルール通りの商品という感じですが、そんなにうまい訳にはいきません。

2014年に分配金が減額され、それまでの年額420円が240円になっています。
(これで人気もだいぶ落ちてしまった様)

つまりファンドとしてはあと12年程度で0になっては困るので、
分配金を下げて延命を図っている訳です。

基準価格が下がっているので利回りで見た場合は、そんなに割り損ではないですよ~という理屈は成り立ちます。
420÷10000=4.2%
240÷ 5600=4.3% ほぼ同じ利回り水準になりますね。

ただ、「自動取り崩し商品」として見た場合、
判断基準は月額いくらもらえるかという絶対額だったはず。
利回りが基準ではありません。

とすると、取り崩し額が自分でコントロールできないという大きなマイナス面もありそうです。
月10万円の補填のつもりが、ファンドの都合で5万円にされては予定が狂います。

毎月分配型投資信託に取り崩しを託すのと、
面倒ながらも自分で管理しながら自ら取り崩すのと、どちらがいいか?

自分の運命と責任は自分で持ちたい、他人に委ねたくないと思うのはわたしだけでしょうか?

あなたはファンドという赤の他人に自分の貯金の取り崩しを任せますか?

少なくとも、
収入が無い恐怖に駆られて盲目的に毎月分配型を買うのではなく、この仕組みを理解したうえで選択したいもの。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

利益による分配はたった3割! 毎月分配型投信の事実(1)

Jul 26, 2015

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

たまたまマナー誌で悪名高き毎月分配型投資信託の特集をやっていました。
毎月分配型が税金的にもコスト的にも問題が多いのは、良く知られた話。

ほう、どんな理屈をつけて拡販しようとしとんじゃい!?
買って読んでみました。

今でも投信の売上の50%超が毎月分配型だそうです・・・(´Д` )

専門家諸氏もさすがに苦しいコメントだらけ。
・どうしても分配金が欲しい人向けですね
・安定的な分配金と資産を増やすという両立は困難です
(どっちかを諦めろってこと!?)
・自動的に利益確定してもらう仕組みですね

あげくには行動心理としての理由付け。
・現役には不要な商品ですが、年金者の心理としては嬉しいですね・・・

銀行の元支店長さんに聞いたことがあります。
「年金生活者の、収入が無く取り崩すだけの恐怖は大変なもの。毎月収入があることの安心感は何物にも代えがたいんです。
そこを無視して、毎月分配型には合理性が無いとかいうのは筋違い。」

確かにそうなんでしょうが、それでも手数料の高い商品を買っているのは残念です。
せめて商品特性を理解して、再投資コースで買うようにしたいもの。

毎月分配型資産は運用しながら計画的に取り崩す商品、というのが正しい理解でしょう。

かつて一世を風びしたグロソブ(グローバルソブリンオープン)は18年間で分配金の累計が8316円だとか。
現在の基準価格は5579円なので、5579-(10000-8316)=3895
18年かかっての純増が3895円、39%程度。
年利にすると結局2%にも届いてません。

にも、と言っていいのか、
計画的に取り崩しても39%も残っている、と言うべきか・・・

毎月分配型投資信託の多くは手数料3%、信託報酬1.0~1.5%程度のコストです。
一方、良心的なお勧めの投信は手数料0%、信託報酬0.5%程度。

このコスト差は、自動取崩し機能の料金としては大き過ぎると思いませんか?

マネー誌では、毎月分配型投信の分配金余力も見ておきましょう、とあります。
そのために分配金健全性という指標を目安として挙げています。
普通分配率とでも呼ぶべき指標です。

普通分配率=普通分配金/分配金

分配金のうち運用収益から払い出された普通分配金のウェイトをみるもの。
当然100%が理想です。(普通分配と特別分配についてはこちら

純資産残高のベスト10が載っていましたので、普通分配率を計算してみました。 

投信_分配金健全性

しかし、いざ作成しようとすると普通分配と特別分配の内訳を探すのが大変です。
一般的な商品紹介サイトでは分配金合計しか記載がありません。
(こんなことでいいのか!?)

それぞれの運用報告書を見るしかありませんでした。
(最近、内訳開示が義務付けられています)

掲載されている直近6ヶ月間の実績で計算したのが、この表です。
1口当たりの分配金で計算しています。
(対象期間は商品によって若干異なります)

合格と呼べるのが3本です(青色)

本来あるべき普通分配率100%なのが
野村ドイチェ・高配当インフラ関連株・投信(ドル)
ピクテ・新興国インカム株式ファンド

です。

次点で、ピクテ・グローバルインカム株式ファンド

ではこの3本なら絶対お得かというと、これが難しい。
これは過去の実績(しかもたった半年)で未来を保証するものではありません。
この3本が次の半年も100%であるとは限りません。
まぁ、この半年の株式相場が良かっただけという気も・・・

全体では3勝7敗・・・ 70%未満が4本もあります!
これだけ多くの人が買っている分配型投信なのに、
ちゃんと収益から分配を出せているのがわずか3割!

毎月の収入が魅力とはいえ、やはりこの数字を知って買って欲しいもの。
というか、証券会社にはこんな数字も公開して欲しいですね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この話、次回も続きます。

堅実で楽ちんな投資法はこれだ! 「ほったらかし投資術」

Jul 21, 2015

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

2010/12に出版された「ほったらかし投資術」が内容を刷新し、「全面改訂 ほったらかし投資術」として発売されています。



梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーというブログを運営されている著名ブロガーである水瀬ケンイチさんと、
金融業界に対する辛口、且つ投資家寄りのコメントで知られる山崎元さんの共著です。

内容は、ETFを含めたインデックス投資を勧めるもの。

タイミングは誰にも分からないもののリスクに見合う程度には有利な投資法としてインデックス投資法を紹介し、
自分の許容範囲でリスクを取ることを勧めています。

5%程度のリターンを確実に狙う堅実で楽ちんな投資法です。

インデックス投資の特徴としては
1.手数料が安い
2.分かりやすい
3.負けにくい

が、上げられています。

初心者向けの投資法、というかベテランにとっても実に有効な投資法です。
わたしもここに上げられた商品の幾つかを購入しています。

一方、欠点としては
・大きなリターンは狙いにくい(アーリーリタイア狙いには不向き)
・退屈、面白みに欠ける
ということがあります。
まぁ、欠点というほどのものではありません。

わたしの様に投資を趣味的に楽しむ人以外の、
貯蓄として時間を掛けずに実践したい人にはピッタリの内容です。

前作も良書でしたが、改訂版では
・DC、NISAの活用法をより強化
・ETFの解説もより詳しく
・売りについての章を追加
・最新情報による推薦商品の改定

と各所がバージョンアップされています。

それぞれの個人見解部分には名前入りにするなど、非常に好感が持てます。

レバレッジを掛けない投資なら黙ってインデックス投資!
これが正解のよう。

必読です。

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やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
Webディレクター

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