丸刈りの社長は言った「で、今日はどういう話やねん?」

Mar 28, 2016

こんにちは、人生は50代からがもっと楽しい!不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

親父の夜逃げシリーズ(4)です。
さて親父の残した借金の概要が見えてきました。
地元の金融機関3行で1.8億円。
得体のしれないXX興産に1500万円の約束手形。

このあぶなそうなXX興産にも行く必要がありますが・・・。
そもそも何処の会社かもよく分かりません。

で、親父に聞くことにしました。

えっ!? 何それ?
父親は夜逃げしたんじゃないのか、ですか?
それはそうなんですが、実は親父の居所は分かっていました。

■親父の居所

当時の父親は52歳。料亭の仲居の愛人とその連れ子の3人で住んでいました。
場所はなんと同じ町の、実家から5Kmと離れていないところ!

わたしが借金の話を聞くもっと前から、ほとんど家には帰らなくなっていたようです。
借金のことで母から責められるのがいやだという心理もあったでしょう。

親戚から問い詰められるのがいやで、居場所がばれる度に何度か居所を変えたようです。

(迂闊な話ですが、わたしは大学からずっと関西に出ており、この辺の事情をあまり知りませんでした)

逃げたといっても、いつも車で実家から15分とかからないところにいたそうです。
せいぜい半径5Km以内です。

狭い町です。そんな近所にいれば、父の顔を見かける人もいて居所はいつもバレていました。

この時は探偵を使って突き止めたとか聞きました。
ただ、場所が分かっても親戚が行くと居留守を使って会おうとはしませんでした。

みんな困り果て、息子のわたしなら何とかかなるのではということで
親父の夜逃げ(1) の親族会議となったわけです。

借金から逃げ出した割には遠方へ行かず近くにいるとは変な話ですが、やはり自責の念あったんでしょう。
自分で返す力や方策はないが気にはなる、という感じでしょうか。

心理的にも追い詰められてたようで、当時は夜も寝れず睡眠薬を常用していました。

■岐阜のXX興産

愛人宅に転がり込んでいた親父を訪ね、XX興産の話をしました。
流石に親父もあそこは放置できないと思っていたのか、すんなり訪問を了承をしてくれました。
岐阜の会社であることはこの時知りました。

大阪から金沢への引っ越しも終えた、8月末だったと思います。
親父の運転で、2人で高速で岐阜大垣市に向かいました。

わたしは緊張していましたが、車の外は何だかとてもいい天気。

ドライブ_交差点

北陸道を米原まで2時間走り、そこから名神高速道路で大垣へ。

下町の大きな屋敷の前で車は停まります。
自宅の一角が事務所のようでした。

応接に通されると、丸刈りで恰幅のいいおっさんが正面の3人掛けのソファにどっかりと座ります。
実家に来たとかいう人でしょう。

ソファの後ろには若い衆が両脇で2人直立で立っています。

「で、山本さん、今日はどういう話やねん。

親父はソファに腰かけて手を膝につき背筋を伸ばしたまま、ややうつむき加減にほとんど硬直状態です。

「・・・・」

仕方がないので、勇気を振り絞ってわたしが話します。

「実は手形のことなんですが・・・
なんとか返しますので、3年待ってもらえませんか?

緊張していたんでしょう。その辺りから記憶が曖昧です。意外とすんなりと返済猶予がまとまったと思います。
若い息子に同情したのかもしれません。

ほっとして帰路につきました。

今考えると、向こうとしても遠く離れた田を押さえたところで現金化は大変です。
しかも手形の額面は1500万円ですが、実際にはいくらで入手したのか怪しいものです。
ある程度の金になれば御の字だったのかもしれません。

途中、養老サービスエリアで
「この辺にあの昔話で有名な養老の滝があるのか・・・」
とぼんやり思った記憶があります。

岐阜_養老の滝

片道3時間、往復6時間ほどの晴天の中のドライブ。
親父はほとんど口をききませんでした。

さて、こんな親父はどうして2億の借金を作ったんでしょう?その話は次回に。
(続く)

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
個人的な話ですが、お読みいただけると嬉しいです。

2億円の借金の実態・・・。 債権者は誰だ?

Mar 23, 2016

こんにちは、人生は50代からがもっと楽しい!不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

親父の夜逃げシリーズ(3)です。

1983年5月のゴールデンウィークに親父の夜逃げが発覚し、帰郷せざるを得ない状況になりました。

運良く無職にはならず、当時の勤務先で大阪から金沢への転勤(営業所開設)が決定。
引越しは8月、事務所の準備を整えて10月からの営業所オープンだったと思います。
ただ、引越しまでのんびり構えてる余裕はありませんでした。

5月の連休明け以降は大阪と金沢のとんぼ返り生活。
金曜に仕事を終え、夜行に乗り土曜の朝に金沢着。
土~日と書類を整理し、日曜の夕方に特急で大阪に帰るという生活です。

散らかる書類を整理し、まずは借金の実態を把握しました。

■債権者は誰だ? -借金の棚卸し-

はっきりしていたのは金融機関の借金です。
地銀の北國(ほっこく)銀行、信金の金沢信用金庫と北陸信用金庫の3行でした。

確か、返済利息だけで月100万円を超えていたと思います。
借入れ金利が6~7%程度で、3行でおよそ1.8億円程度の借入れでした。

利息だけで月額100万とは驚きますが、長期金利が8.4%の時代です。(日銀 預金・貸出関連統計)
ゼロ金利の今からは想像しにくい金利ですが、当時はそんなもの。

実家の農業収入が年400万円程度(生産者米価18226円)、わたしの給料は約14万円、年収で230万円ほど。

この中で農業経費や生活を賄います。
毎月100万円なんて払えるわけがありません。
自己破産という手もあるのかもしれませんが、それではすっからかんになってしまいます。

返済活動の前にとにかく「返済猶予交渉」です。
一旦、支払いを猶予してもらわないとどうにもなりません。
また、資産の処分のためには差し押さえも回避する必要があります。

親戚から当座の資金繰りとして1200万円をなんとか借入れ、銀行に利息を払いつつ交渉しました。
資金提供してくれた親戚も決して裕福なわけではありません。
みんな無理をして出してくれました。

金沢信用金庫のY支店長にはすんなり「返済の一時猶予」を了承してもらいました。
(むしろ、若いのに大変だねという労いの言葉を頂戴し、嬉しかったです)

北國銀行はかなり渋ったものの、
返さないのではない返済努力をするから一時的に待って欲しいんだ、という説明に仕方なく納得。
残る北陸信用金庫が難航しました。

「山本さん、うちは払ってもらわな困る。払えんがやったら担保を差し押さえな仕方ないね。」
眼鏡をかけた気の小さそうな支店長に冷たく言われました。

それは困ります。家屋敷が無くなれば母が路頭に迷います。

「銀行は晴れた日には傘を貸してくれるが、雨の日には取り上げる」という言葉をこの時覚えました。

差し押さえたところで、競売では満額の回収が難しいことを話して説得します。

「頑張って借金は必ず返しますから!」
自信はありませんでしたが、気持ちだけは伝えます。

何度も足を運びました。

農協職員で有力者でもあったH叔父の働きかけもあり、狭い町で事を荒立てるとマズイと判断したようです。
交渉の末、なんとか返済を待ってもらえることになりました。

これで少し時間が稼げました。

■約束手形

金融機関の借金は「返済の一時猶予」をしてもらいひと息ついたものの、困ったのは約束手形でした。

約束手形とは、振出人が一定の期日に一定の金額を支払うことを約束する有価証券のこと。
銀行の「当座預金」に基づき手形帳として支給されます。
小切手などと同じで帳面形式になっていて、半券をミシン目から切り離して使います。

支払期日を記入し、漢数字で金額を記載、発行者印を押印して相手に渡します。
残る半券を手形の耳といい、こちらにも支払期日、振り出し先、金額を控えとして記載します。

ところが親父の残した手形帳の耳には何も書いてありません!
これでは誰に振り出したかが分かりません・・・
いくら振り出したのかも分かりません・・・

これには参りました。

手形は譲渡できますので、何時どんな人が手形を持って債権者として現れるか分かりません。
アブナイ人に渡ることも往々にしてある話。

やはりというか、実際にアブナイ人が現れました。
岐阜のXX興産という反社会的団体のような匂いのする会社。

わたしが父親の夜逃げのことを聞く少し前でした。
黒塗りのベンツに乗ったでっぷりとした丸刈りのおっさんが、若い衆を2人ほど連れて1500万円ほどの手形を持って実家に現れたようです。

黒塗りベンツ

親父が不在だと知ると、伝言だけ残してその時は静かに帰った模様。
対応したお袋が腰を抜かして親戚中大騒ぎになったと、後で聞きました。

その他の事業関係の小さな支払を除くと、判明した大口はこんなところでした。
おおよそ2億円。

後は、新たなる債権者が現れないことを祈るばかり。

金融機関との交渉が一段落した次には、このXX興産にも行く必要があります。
(続く)

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
個人的な話ですが、お読みいただけると嬉しいです。

ビットコインが意外なところで大活躍。はたして天使か悪魔か?

Mar 10, 2016

こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・

金融+ITでFintech(フィンテック、Financial technology)という言葉がちょっとしたブームです。
金融業界がITで大きく変ると大騒ぎ・・・。

そんな中、久しぶりに仮想通貨であるビットコインに関する2つのニュースを目にしましたのでご紹介。
天使の顔と悪魔の顔の二つをを見せています。

2014年03月に、「ビットコインが世界ネット通貨になるための2つの壁」というお話をさせていただきました。

ビットコインが大きく普及するには
①ダークサイドとの決別
②(使いやすく便利な)キラーソフトの出現

が必要と考えていました。

あれから2年。どんな進化を遂げたのでしょうか?

■ 天使の顔

ビットコインでお寿司が食べられる、と銀座沼津港さんがTVニュースになりました。
こちら

寿司

たまたま、ビットコインが使える店が少ないと小耳に挟まれたマネジャーさんが、外国人のお客様に対して多様な支払い環境を提供するために導入されたようです。

「お客様にとって決済手段は多いことに越したことはない。」
「導入費、維持費がかからず、操作が簡単であることが決め手。」
「手数料が低いクレジットカードみたいなもの」と店長さんは語ります。

ビットコインは裏付けになる直接的貨幣価値を持たないため、価格が投機的に変動します。
商品相場のように上がったり、下がったり・・・
そのため決済手段としては使いにくいのですが、価格変動は取引所が吸収するモデルです。
(たぶん、普及のためと考えられます)

銀座沼津港さんでは板前チップスという新しい試みもされています。
お店に貼られた板前さんの写真とQRコードをスマホで読み取り、腕前やサービスを気に入った場合にビットコインでチップを上げるというもの。

ただ、いかんせん流通量が限られています。
貨幣単位であるウォレット数が1100万。世界での保有者は数十万人と見られていますが、日本では約3万人。(2015年9月:ビットバンク推計)
実際に銀座沼津港さんで使うのはビットコイン取引所関係者以外にはいなさそう。

とは言え、各メディアに取り上げられて広告宣伝効果は絶大だったようです。
テレビ局、雑誌、新聞などに取り上げられました。
銀座沼津港さんはしてやったりでしょう。

クレジットカードに変る決済手段として、キラーソフトになるんでしょうか?
クレジットカードの保有者は約8000万人、3万人との差はまだまだ大きそうです。

■ 悪魔の顔

IPA(情報処理推進機構)は2016年に入り「ランサムウェア」への注意を喚起しています。
2016年1月の呼びかけ

ランサムウェア (身代金要求型不正プログラム)とはネット恐喝とも呼ばれ、ウイルスに感染させてPCをロックしたり、ファイルを暗号化したりすることによって使用不能にしたのち、元に戻すことと引き換えに「身代金」を要求するというものです。

セキュリティ_不審な男
ある日、あなたのパソコンがアクセス不能となり、画面には「身代金を指定口座に振り込むように」とのメッセージが・・・
見たくない光景ですが、米国を中心に被害が広がりつつあります。

やっかいなのは「身代金」の要求額が500~1000ドル(日本円で6万~12万円)と小額であること。
小さな金額であるため、かえって「これくらいなら払ってもいいかも・・」と思わせます。
日本語化されたランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)の報告が急増しているようなのです。

この身代金送金手段にビットコインが選ばれています。
銀行を経由しない世界中どこでも使える、手数料の安い通貨という理由なよう。

便利な通貨は、悪人にとっても便利だということ・・・
2016年はランサムウェアやフィッシング詐欺にいっそう注意を払うべき年だとされています。

■ 本命は?

ビットコインが見せた天使の顔と悪魔の顔の2つのニュース。
どちらが本当の顔なんでしょうか?

結局、仮想通貨といってもただのチェーン型暗号化技術。
お金に色が付いていないように、ビットコインにも色はありません。

値段を付けるのも価値を決めるのも人間です。
覗き込んだわたし達の顔を、鏡のように写しているだけなんでしょう。

Fintechといっても、それがもたらすわたし達にとっての利便性が問題。
言葉や技術に振り回されずに、使いこなすようになりたいもの。

ビットコインが話題になる一方で、2014年7月に仮想通貨の本命かも? と書いた Ripple は海外送金用として銀行向けに静かに進展しています。

変に決済用に手を出さない分、賢いのかもしれません。
今後もそれぞれの動向をウォッチしたいと思います。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。

管理人プロフィール

やんつ写真

やんつ(山本 常勝)

合同会社モンテリーブロ 代表
資産形成、資産運用専門FP
Webディレクター

こんな方は入室をお断りしています。
・楽をして一攫千金を狙う人
・受身で自己研鑽意欲のない人
・節約志向で年金だけの老後を送ろうとしている人。

お金の知恵で身を守り、豊かな人生を目指す人は歓迎です!

各種実績はこちら

不動産投資収支シミュレーション

人気シリーズ

最新記事

カテゴリ