新競争時代、あなたを非正規に追いやる犯人は誰だ!? (1)
こんにちは!50代であわててお金の勉強中の、不動産投資家やんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
前回の サラリーマン以外の選択肢 でご紹介した
日本FP協会によるガイドブック「10代から学ぶパーソナルファイナンス」に考えさせられるグラフがありました。
「総務省労働力調査」による雇用形態の推移です。
2000年以降、非正規雇用が割合(緑の線)がどんどん増えています。
赤い線が正規雇用割合。
棒グラフは下から派遣・契約社員(紫)、パート・アルバイト(緑)、正規社員、役員等、です。
グラフの最初、1987年には17.6%だった非正規割合が、2007年では33.5%、2012年では35.0%と倍増しています。
グラフは2012までですが、2014年の総務省労働力調査では37.4%だった様。
非正規雇用が3人にひとりを超え、40%になろうかという時代です。
正社員になる事がとても大変な時代・・・。
正規雇用(正社員)と非正規雇用では収入や福利厚生などの雇用条件に大きな隔たりがあります。
最も収入格差が広がる40代では、非正規雇用者の年収は正社員の半分以下!
これが子供の教育環境にも影響し、格差の固定につながっているという指摘もあります。
雇用する側の企業にとっては、非正規やパートは労務費を安く押さえることが出来、且つ変動費化できる有難い制度です。
だからこんなに増加したわけです。
では、規制して正社員化を義務付ければいいんでしょうか?
それだけで企業は全員を正社員採用するんでしょうか?
(派遣法の改正などをそれを目指しているようですが・・・)
ちょっと待ってください・・・
そんなに単純に行くんでしょうか?
もともと少子高齢化で労働者人口は減少しています。とても貴重な労働力のはず。
ならば需要と供給の原則から、賃金が高くなったり正社員雇用が増えてもいいはずでは?
そうならず労働者人口の減少と非正規雇用の増加が同時に起こるのは何故でしょう?
企業がコストの安い派遣社員を雇いたくなる、あるいは雇わざるを得ない要因が何かありそうな気がします。
非正規増加の後ろに潜む真因を色々考えるべきです。
実は正規雇用(正社員)の座を巡ってあなたが争っているのは隣の応募者だけではありません。
目に見えないタフなライバルが2人います。
■対 ICT技術
一人目のライバルはICT(情報通信技術)です。
いわばテクノロジーそのものがあなたの競争相手ということ。
エリック・ブリニョルフソン著の「機械との競争」という書籍があります。
従来は、技術の進歩があると古い産業を駆逐するものの、代わりの新しい産業と新しい雇用を生み出してきたそうです。
古い産業から新しい産業へ雇用がシフトしながら、技術革新が進んできたのです。
馬車が鉄道になったように・・・
木炭が石油に取って代わったように・・・
レコードがCDに駆逐されたように・・・
ところが近年は、技術の進歩が早すぎて人々が付いていけないという「雇用の喪失」が起きていると言います。
まだパソコンが職場にない時代、コピー、お茶くみ、集計計算、文書の清書、検算という一般事務という職位で働いている女性が大量にいました。
今は、単に計算してアンケート集計するだけではなく、どんな分析の仕方でどんな課題を抽出するのか、課題抽出能力が問われます。
でも、そんなことが出来るのは一握り。
オックスフォード大学の「コンピューター(ロボット化)の影響を受けやすい未来の仕事」という2013年の調査レポートがあります。
・コンピュータ化によって代替される可能性の高い仕事の上位です(分かりやすく意訳しています)
電話営業 →自動音声にて代替
マーケット調査 →インターネットで自動化
裁縫師 →機械に代替
数理系技術者 →コンピュータの方が正確
保険代理店 →インターネットで自動化
時計の修理工 →時計自体が減少、且つ壊れない
倉庫の荷積みスタッフ →機械に代替
税理士、税務代行 →インターネットで自動化
などなど
米国では総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いとも言われています。
厄介なことに、近年のICTはそのデジタル化のため無限に複製が可能で、さらにインターネットにより時間と空間を越えていきます。
結果としてICTは(それほど)雇用を生まないのです。
新しい産業での雇用創出は古い産業の雇用喪失に及ばないのです。
ネットでの買い物は24時間可能ですが、店員が待機しているわけではありません。
サーバー上のソフトウェアが勝手に対応してくれます。
買い物後のサンキューメールは自動返信です。
文言を書くのは人間ですが、一度だけ。
後は、何万人が購入しようと正確無比に返信してくれます。
相手によって文言を変化させるなんて芸当も軽いもんです。
安川電機やファナックの産業用ロボットが活躍する工場では、
人間はわずか数人という場合が珍しくありません。
オランダのレタス工場では毎月何万株も出荷しますが、
人の手は最後の出荷工程のみで、わずか3人だそうです。
これからの雇用は高い品質で価値を提供する一部のプロフェッショナル労働と、マニアルさえ読めば誰でも出来る多数の低賃金労働に2分化されるでしょう。
(もう、そうなっているのかも知れません)
誰でも出来る労働にはコストは掛けられません。
時間労働型では単価は簡単に上がらないのです。
企業間競争に負けてしまいますから・・・
ICT(情報通信技術)と人間の競争において、
社会人として身に付けるべきスキルとは何でしょう?
価値提供型収入を得るスキルとは何でしょう?
ググれば誰でも調べられる「知識」にはあまり意味は無さそうです。
複数の「知識」を組合わせて有意な「知恵」にすることが肝心です。
ICTがどんどんその守備範囲を広げている今、わたしたちはより「知恵」を磨く必要がありそうです。
うかうかしていると簡単にICTに取って代わられます。
マツコロイドを見て笑っている場合ではないのかもしれません。
雇用も自己責任の時代に突入しているのかも・・・
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回はもう一人のライバルです。