投資信託はこう選ぶ NISA、iDeCoの正しい選び方(6)リスク値について
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iDeCoの正しい商品の選び方について、フリーランスの宮田(50代、女性)さんを迎えてご説明しているシリーズです。
宮田さん、ここまでの話を整理しますね。
宮田「はい。」
まず、投資対象としてアセットクラス別の実績値を見ましょうという話をしました。
宮田
「株式、債券、REIT(不動産投資信託)、コモデティ、金などが、過去どんなパフォーマンスだったかですよね。」
そうです。それぞれが国内、海外(先進国、新興国)などに分類されていますので、アセットクラス毎の実績をみて、どんな投資が良いのか考えるわけです。
リーマンショック以降の実績値によれば、結局当面は「海外株式」が良さそうという結論でした。
海外株式を買う場合に、次は全世界を買うのか、先進国に期待するのか、米国に絞るのかという選択になります。
将来は誰にも分からないので、ざっくり決めて、負けにくいインデックスの積立で買いましょう、というのが結論でした。
ここまではいいですか?
「はい。おかげでiDeCoを始めることができました。ちょっと上がってます、むふ。」
それは良かったです。
実は、第2回でアセットクラス別の実績値について見た時に、「平均リターンが高くてリスク値が低いのが優良な投資対象です」とお話したんですが、リスク値そのものの説明については説明を端折ってました。今日はそのリスク値の補足説明をしていきますね。
ちょっと数学的な説明が入るので、難しくなるかもしれません。
「あのう…。数学は大の苦手なんですが…。」
(笑) 細かな式は覚えなくてもいいですよ。使い方だけしっかり理解すれば全然大丈夫です。
「……。 ちょっと不安ですが、頑張ってみます。」
■ リスク値とは
リスク値とは平均に対するブレ幅、平均値からのばらつき具合を意味します。
例えば、ブレ幅が大きいということは、投資でいえば、儲かれば利益は大きいが、失敗すると損失も大きいことを表します。ハイリスクハイリターンというやつですね。
「聞いたことあります。」
このリスク値は標準偏差で表されます。
「うわーっ、なんだか受験を思い出しますね。(汗)」
(笑) そう、構えないでください。
計算式はこうです。
実績から期待値(平均値)との差を求め、2乗した値の平方根で求めます。平均値から実績値との乖離幅をみるわけです。
「????」
式は覚える必要ないので、とりあえず聞き流してくださいね。
これがどんな意味を持つか、説明します。
標準偏差はシグマ(σ)とも言い、1σ(いちシグマ)とも呼びます。
将来の投資リターンはどんな値になるかは予測できませんが、その分布を正規分布と考えます。こんな図です。
正規分布では、平均値を中央に持つ左右対称の釣り鐘型の分布図になります。見たことありますよね?
「はい。そういえば、よく見る分布図ですね。」
正規分布の場合、プラス1σの範囲に含まれる面積は34.1%です。プラスマイナスで考えると、34.1%×2で全体の68.2%の面積になります。
つまり平均からプラスマイナスの1σの範囲で変動する確率が約7割ということです。7割ではあまり高い確率とも言えないので、一般的には2σを使います。
プラスマイナス2σで考えると、47.7%×2で全体の約95.5%です。つまり平均からプラスマイナスの2σの範囲に含まれる確率が約95%ということ。
95%の確率ならほとんどの場合は含まれるので、この程度の幅を見ておけば大体はいいだろうということです。
「その95%というのは一体どんな意味があるんですか?」
■ リスク値の意味
ここで、第2回で使った13年間の集計値を思い出しましょう。
《株式》では、平均リターンとリスク値はこうでした。
・国 内 4.0%、21.5
・先進国 8.2%、22.0
・新興国 4.8%、32.1
それぞれ2σを求めてみます。
・国 内 21.5×2=43.0
・先進国 22.0×2=44.0
・新興国 32.1×2=64.2
この幅の間に将来のリターンが含まれる確率が95%です。最大のリターンが平均値+2σ、最悪のリターンが平均値ー2σです。
計算してみると
・国 内 4.0%+43.0=+44.0%(最良)
・国 内 4.0%ー43.0=ー39.0%(最悪)
つまり国内株式に投資した場合、上手くいけば44.0%のリターンになることもあれば、最悪の場合はマイナス39.0%の損失になることもある、ということが95%の確率で推定されるということです。
「上手くいって44.0%のリターンになれば嬉しいですけど、マイナス39.0%になったら、ちょっと立ち直れないかも…。」
他も計算してみましょう。
・先進国 8.2%+44.0=+52.2%(最良)
・先進国 8.2%ー44.0=ー35.8%(最悪)
・新興国 4.8%+64.2=+69.0%
・新興国 4.8%ー64.2=ー59.4%
国内株と先進国株を比較すると、最大リターンが先進国の方が大きい(44%に対し52.2%)のに、最大損失が先進国の方が小さい(マイナス39%に対しマイナス35.8%)ことが分かります。
つまりあくまで統計上の確率の話ですが、過去13年間の平均からは、先進国株式の方が良さそう、という結論になるというわけです。
「でも3割、4割も減ってしまう可能性もあるって言うことですよね?」
確かに株式投資がハイリスクハイリターンと呼ばれる所以ですね。100万円が60万円に減るかも…。と言ったら皆さん敬遠しそうですよね。
そのリスクを避けるために積立があるんですよ。
「そうか、ドルコスト平均法ですね! 安心しました。」
リスク値は、2倍して平均リターンにプラスマイナスするんだ、と覚えてください。
リスク値の話はここまでです。次回は投資信託のコストについて補足しますね。
お金を味方に付ければ、人生二馬力、三馬力!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です。