人生はわくわくとドキドキで出来ている! サラリーマン上がりの運用相談専門FPやんつです。
社会人としてお金のことを勉強したいあなたと、アクティブシニアになりたいあなたへ・・
約6000本という膨大な投資信託の正しい選び方を考えるシリーズ、四回目です。
ここまで
・売れ筋商品
・プロの選んだ優良商品
・資産残高の大きさ
で検証してきましたが、なかなかパッシブ型のインデックスファンドを上回るものがありません。やっぱり良いアクティブファンドを選ぶ手掛かりはないんでしょうか…?
そこで思いついたのが、金融を勉強すると出てくる「シャープレシオ」
今回は、このシャープレシオに注目してみることにしました。
■ シャープレシオとは
シャープレシオとはリスク当たりの超過リターンで、リスク(標準偏差)に対しどれだけ効率的なリターンを上げているかを見るもので、超過リターン÷リスクで計算します。数値が高いほど効率的にリターンを上げていることを示します。
図の商品A、Bを見るとリターンは、それぞれ
商品A=8%
商品B=7%
です。これだけ見ると商品Aの方がリターンが高いですが、リスク値が違います。
リターン÷リスク値(標準偏差)をみると
商品A=0.5
商品B=0.7 でBの方が数値が高く、リスクに対し効率的であることが分かります。
つまり商品Bは平均リターンは低いものの価格の上下動(リスク)がAより小さく、損失確率がBより低いということです。
ただ注意点としては、あまり異なるリスク値のものを比較するのは適当とはいえません。リスク値に対する選考は各個人ごとに異なるため、アセットクラスが異なると一律に論じる訳にはいかなくなるからです。
図では同じリスク値である商品Aと商品Cを比較する方が指標としての妥当性が高くなります。(明らかに商品Cの方が優れている)
つまり、できるだけ
先進国株式なら先進国株式のファンド同士で比較する。
日本株なら日本株同士、先進国債権なら先進国債権同士、です。
■ シャープレシオ上位のファンド比較
モーニングスターで5年間のシャープレシオ上位10本を選んでみました。
国内小型グロース(成長株)に分類されるものが5本
国際株式(北米)に分類されるものが4本
国内債券1本 になりました。
前段で述べた通り、同じアセットクラスで比較するため分類ごとにまとめました。
ベンチマークとしては米国株の有名なETF、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
(VTI)を選んでみました。
類似のETFにVOOがありますが、VTIは米国株式約3600銘柄、VOOは米国株式S&P500という違いがあります。VTIの方が中小株を含むことからこちらにしました。
まず国内株式グループを見てみましょう。この5本です。
・東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
・SBI 中小型成長株F ジェイネクスト「愛称:jnext」
・新成長株ファンド 「愛称:グローイング・カバーズ」
・DIAM 新興市場日本株ファンド
・マネックス・日本成長株ファンド 「愛称:ザ・ファンド@マネックス」
利回りは5年間で年利16~23%といずれも優秀。目論見書をみても、なかなか納得感のある銘柄選定です。
「ジャパン・オーナーズ株式オープン」では、オーナー経営者に注目し企業の成長性・収益性に比較して割安であると判断される銘柄を選別とあり、なかなか面白い着眼点です。
ベンチマークと比較して信託報酬は高いですが、その分の価値はありそうな実績です
5本からあえて絞り込むと
「ジェイネクスト」、「ザ・ファンド@マネックス」は資産残高が小さく、売却手数料に当たる信託財産留保額がかかるのがたまに傷。また「ザ・ファンド@マネックス」はマネックス以外では買いにくいというのもマイナス材料。
「DIAM 新興市場日本株ファンド」は新興市場という性質でしょうか、リスク値が他と比較して26.56とやや高いのが気になります。(ただリターンも高いので、この辺は好みの問題かもしれません)
残る「ジャパン・オーナーズ株式オープン」、「グローイング・カバーズ」 は有力候補といえそうです。コロナ後の値戻り、純資産の推移をみて購入してもいいかもしれません。
面白いのは運用会社です。
「ジェイネクスト」、「グローイング・カバーズ」は実はエンジェルジャパン・アセットマネジメントという同じ投資会社が組成しています。
「DIAM 新興市場日本株ファンド」と「ザ・ファンド@マネックス」はアセットマネジメントOneです。
この2社の組成方針が優秀だということかもしれません。今後も注目ですね。
次に、国際株式グループをみてみます。次の4本です。
・AB(アライアンス・バーンスタイン)米国成長株投信Cコース(ヘッジ有)
・AB(アライアンス・バーンスタイン)米国成長株投信Aコース(ヘッジ有)
・netWIN GSテクノロジー株式ファンド A(ヘッジ有)
・米国NASDAQオープンAコース
いずれも利回りは12~15%と優秀です。リスク値も14~17程度。
日本株より米国株の方が上下動が少なく、安定的なリターンだったことが分かります。
「NASDAQオープンA」は残高が小さく、除外してもいいかもしれません。
AB米国成長株投信は2本ありますが、「Cコース」と「Aコース」の違いは選定セクター(業種)の違いの様です。「Cコース」が月次分配というのは長期的にはマイナスかもしれません。
「AB米国成長株投信Aコース」と「GSテクノロジー株式ファンド A」がこの中では有力候補とえます。
「GSテクノロジー株式ファンド A」はプロの選んだ優良商品のチェックでも唯一ベンチマークを上回った商品でした。お見事!
最後の「日本債権ファンド」は当然リスクも小さいですがリターンが1.89%では低すぎます。低金利時代では仕方がないですが、今の時代には債権をポートフォリオに入れる必然性はない、というのが持論です。
今回ははなかなか有力なファンドを幾つも発見することができました。
シャープレシオはファンド選択に非常に役立つ指標だ!
これが今回の結論です。
相場状況で数値の評価は異なりますが、0.7以上は欲しいところです。
惜しむらくは、ファンド毎にシャープレシオを比較することはできても3年間の数字が多い。できれば5年、10年といった長期での情報整備をお願いしたいところです。証券会社の更なる進歩を期待します。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
※本記事は特定の商品を推奨、あるいは誹謗中傷するものではなくあくまで個人的な見解に基づく記事です。